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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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庭にある大木で……

 その日のメールにはすぐに気が付いた。何しろソシャゲをPCでプレイしているときに届いた通知が来たからだ。ただ、ミッションをこなしているところだったので全部こなすまで放置してからメールを見た。


 メールには昔の奇妙な思い出と、今どうしたものかという悩みが書かれていた。


 俺の実家は田舎にあり、庭には大きな木がある。それ自体は田舎ならそこまで珍しくはないし、大きな木と言っても山の中で目立つような物ではない、ただ人二三人分の高さまで伸びていて枝に葉が茂っているだけのものだ。


 普段はそんなことを気にしたことは無かった。ただ、どうにも妙なことがあった。ちょっとしたことが起きただけなので深く考えなかったのだが、夜に寝ていると、庭の方からガサガサと音がする。子どもなりに目が覚めたのだが、バレてはマズいと思い音を立てないようにそっち窓の方に行き、カーテンの隙間から庭を覗くと、木の枝の上に鳥が止まっていた。


 その木に鳥の巣など無い、ただ、その鳥は白かった。白い鳥を夜に見るなど滅多にあることではない。ソレが庭の木に停まっていたので木になってしまった。ただの鳥だとは分かっているのだが、なんとなくその鳥が気になった。


 しかし、鳥は小さく高い鳴き声を出すと木から飛び立っていった。アレはなんだったのだろうかと不思議に思いつつも、もう何も不思議なものが居なくなった庭に興味は無く、素直に布団に戻って寝た。


 それから少しして、親戚が結婚をすると報告をしてきた。親族一同でその結婚式に出て祝福をしたのだが、他の人が結婚を祝っている中、一人ぼんやりとあの鳥の事を考えていた。


 それからも折に触れて鳥は現れた。次に木に停まっていたときは、結婚をしそうな親族が居ないのにどうして停まっているのだろうと思いながら木を見ていると、その鳥はまた高い声で鳴いて飛び立っていった。


 その鳥は自分以外見ていないようだ。どうしてそんなものが庭の木に停まっているのか分からないが、とにかくその時は鳥を見て翌月、親戚から入試の第一志望に合格したと報告があって、親がお祝いを用意していたのを覚えている。


 そう、その鳥は幸せを知らせてくれるのだと思っている。それからも何度か鳥が停まっているのを見たのだが必ずその後いい知らせが来た。


 では何故こんなメールを送っているのかと言えば、娘が大学を卒業して就職をし、手を離れたのだが、正月に実家に集合したときだ。その時は娘本人は忙しいと言い実家に帰ってこなかったのだが、その晩のことだ、夜に目が覚め、思わず庭の方をこっそりと見ると、あの木に白い鳥が停まっていた。だが、現在幼い子供のいる親族もおらず、皆独身と言うこともない。


 さて、ではあの鳥はもしや娘が結婚することを予告しているのではないか? そう思うと気が気ではない。なんとかあの鳥を追い払う方法は無いだろうか?


 とまあこんなメールが届いたわけだが、どうしろというのかと困り果てた。困ったあげくに存在しないメールアドレスにメールを送り、メールが不着だった時に出てくるメッセージをコピペして返信した。


 メールの送り主からネットにあまり詳しい感じを受けなかったので、英語でエラーが返ってきたら分からない人なのではないかと思い、私は回答から逃げた。この彼からの返信は無いのでなんとか誤魔化すことに成功したのだろう。今は平和な日々となっている。

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