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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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キャンプの夜中に見たものは?

 アレは寝苦しい夜のことだった。中途半端な寒さ、しかしエアコンをかけると暑い。そんな微妙な空気の中、何とか寝ていた。


 そんな時、PCから音が鳴ったので目が覚めた。普段はそのくらいで目は覚めないのだが、その日は寝苦しかったのもあり些細なことで目が覚めた。


 メールには、家族に隠れてこっそり送ったメールだと書いてあった。送信者は田舎住みだそうだが、なんだか奇妙な風習に巻き込まれそうなのだそうだ。


 俺が住んでいるところにはなんとも奇妙な事がある。なかなかに田舎なので子供は数が少ないのだが、その子供が小学校から中学に上がるとき、春休みに奇妙な事をさせられる。


 小学生を集めてキャンプをするのだが、そのキャンプがなんとも奇妙なものだった。たき火をしたり、飯盒炊爨をしたりは普通のキャンプなのだが、寝る場所が問題だ。町内の神社で行われるキャンプなのだが、その敷地内で寝るときに使うテントが布製なのだ。最近ならナイロンなりなんなりの、雨をしのげるモノを素材にするだろうが、その時だけは専用の布のテントで寝かされる。


 不思議な話なのだが、そのキャンプの間町には決して雨が降らないそうだ。どこまで本当なのか怪しいものだとは思ったが、実際毎年使っているというテントが布製なのにやたら綺麗なので本当かもしれないと思わされる。


 キャンプは普通に行われたのだが、その時は大人達が妙に気前が良い。夜は皆で作ったカレーなのだが、材料に結構な牛肉が使われている。ソレも結構いい肉だろうと予想出来るくらいの小学生にも分かる肉だ。


 さらに食事中はジュースが飲み放題と、かなりの大盤振る舞いだった。いつもはジュースは体に悪いからダメと言われているような子でも好きなだけ飲んでいいといわれていた。


 そんなことからせっかくだしと、ジュースをがぶ飲みした。皆は程々だったのだが、自分だけがぶ飲みしたせいだろう、夜中に目が覚めてトイレに行くことになった。


 目が覚めたので見つからないようにコソコソテントを出て、トイレに行くと用を足してテントに戻ろうとした。ところが、テントの近く人影が見えた。誰なんだろうかと思いながら、あの位置にいられるとバレずにテントに戻るのは無理じゃないかと思われる。


 こっそりと近寄るとテントが見えたのだが、そのテントが何か妙に汚れている。バレないようにコソコソ近づいてよく見てみると、寝る前までは普通の無地の布だったのに、テントに使われている布に何か書かれているようだ。


 近寄ってみて息を呑んだ。それは詳しくない自分にも分かるお経が書かれていて、その近くで火をたきながら、何か呪文のようなものをあげている人と、ソレに手を合わせている大人が集まっていた。


 どうしようかと思っていたのだが、雰囲気からテント中にしれっと入るのも難しく、大人が解散してくれないかと待っていると、お経か祝詞のようなものが終わるとき、テントに浮き出ていた文字がたき火に吸いこまれていってテントは無地の布に戻り、大人達は解散していった。


 さて、そうなって人が居なくなったのでこっそりテントに入って布団を被って寝た。


 ソレだけの出来事であり、参加人数からしても偶然かもしれないのだが、あのキャンプに参加していた子供達は全員品行方正になった。悪ガキのような子も居たのだが、その日を境にすっかり優等生になる。


 今思えばあそこで浮き出ていたのは子供達の悪い心なのではないかと思うのだが検証のしようは無い。


 あの時見ていたことがバレないように自分もいい人として暮らしているのだが、なんとなくあの時キャンプに参加したメンバーがおとなしく立派な子供になったのでバレないように自分も立派な子供になろうとしている。ただ、なんの疑問もなく善行を積んでいる他の子からはどこか疎外感を感じて仕方ない。


 そんなことが書かれていた。そう言う儀式ってあるんでしょうか? と書かれていたので、『除夜の鐘』がソレに近いものですねとだけ答えておいた真相は不明だが、その町は犯罪というものがほぼ起きていないのだそうだ。


 最後に『良いことなんですが、なんか人間が住んでいないような気が時々するんですよね』と書かれていた。

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