二章十話 「夫婦漫才」
はいっ!お久しぶりのパル猫です!
月一投稿して申し訳ないです…それでも見ていただいているのは凄く嬉しいです!
ではでは本編どうぞ!
転移した先は窓が一つもない木造の建物の中だった。一つ不思議に思う事があるとすれば建物に繋ぎ目が一つもないことだろうか?
「いらっしゃい、ルーク。我が家へようこそ。」
そうか…ここはユグドラシア大陸の中央都市ユグドラシルにある世界樹の中だということだ。世界樹はエルフ達の象徴でありながらユグドラシルの王城でもある、ということはそこの王族であるエリシアやダレンの家ということでもある。
「まぁここは王族でも僕とエリシアしか入れない区域になるから他の者は君しか居な…」
「ところでダレン強制転移で自分も飛べるのか?全く転移の後のラグがなかったが…」
「……ルークは魔法の事になるといっつも話を聞かないんだから…まぁ言ってしまえば強制転移の時に自分もついでに対象にすれば問題ないよ。多分出来ない人は強制の意味に囚われすぎなんだよ。」
強制の対象を自分に、か。大丈夫だな問題ない。
「ありがとう。大丈夫だ出来る。」
「この説明だけで出来る君に戦慄を覚えるんだけどね?」
隣のエリシアもすぐには理解出来てなかったのだろう。とても不満げにこちらを睨んでいる。
「それよりルーク、着いてきてもらってもいいかな?」
ルークは無言で頷くとダレンの後を着いて歩いた。転移した部屋から続く廊下を歩くと重々しい扉の前へと着いた。
「これはまた凄い防犯対策だな…」
ルークがそう呟くのも仕方がない凄い数の魔法封印や結界、魔術封印に伴う魔法陣の回路などが施されている扉なのだ、ここがかの邪神の封印されている部屋だと言われても信じるくらいには。
「ふむ、魔力を規定の量ぴったりに注がないと開かなく、もしも少しでも間違えたら別の所へと転移させられる、それを扉の端と端で同時にするのか、最低でも二人居ないと開かないし居たところで魔力操作に長けているやつじゃないと絶対に無理だな。」
「「………」」
一発で見破られたダレンとエリシアの顔はもう何とも言えないと言ったような苦虫を噛み潰したような複雑な顔をしている。
「ま、まぁいいのじゃ!早くするのじゃ!」
エリシアがそう言いながら扉の右へ立つとダレンは困ったような顔をして扉の左へと立った。そして扉に手を翳すと扉へと直接魔力を流し込んでいる。そして規定の量を扉へと流し込んだのか扉はゆっくり重々しく開いていった。
「さぁ、ルーク入って。」
ルークが部屋に入いろうと扉を潜ると少し妙な感覚に襲われた、体の隅々まで覗かれたような不快感だ。
「大丈夫、この部屋は一切の菌がない無菌室にするために部屋自体に監視魔術や滅菌魔術、あと部屋に入ってくる人に対して鑑定魔術を掛けているだけだよ。」
万全の対策のようだ。まぁ日本だったら死んだはずの人間が生きてるとか普通にヤバいもんな…それも姫様と来たら国家機密レベルの対策位はするか。
「何を考えてるか分かるけどここは異世界だからね気にしたら負けだよ?」
「まぁ日本に魔法が混ざると大変なことになると思うけどな?帝国の二の舞になりかねんな。」
「帝国を潰したのは御主だろうに…しかしやはり主らが来たニホンという場所は不思議でならんな。魔法がない世界とは気になるものじゃ。」
軽く帝国の顛末についてはエリシアに話した…フィーネのことでからかわれるのは頂けないが。違うんだ…断じてロリコンでは無いんだ…何故か小さい子が集まるんだ、そしてその魅力に負けるんだ………あ、うんもうロリコンでいいや…。
心の中で小さいルークが吐血しているがその顔はなにやら諦めたような顔をしている。それどころか「ぐっへっへっ」と下衆のような顔をし始めた…もう手遅れかもしれない…。
「さぁ着いたよ」
そこには三つの病院のベッドのようなものがあり、そのベッドには横たわる女の子が三人居た。
「この三人が勇者のパーティーなのか?」
「そうだよ、左からディルの娘で王女のアルフェミア=アリアシア=ファルネシウス第一王女、ファルネシウス王国の宰相であるシェルスパイド公爵の娘、ルーシア=シェルスパイド、ファルネシウス王国の騎士団長であるメルクリウス伯爵の娘、メルティア=メルクリウス。さぁ好きなのを選びたまえ!…痛い痛い痛い痛いっ!ご、ごめんって!」
後半のセリフを吐くと同時に無言の魔力操作でダレンを握りつぶす勢いで掴む。次はないぞ?と睨みを効かせるとダレンはコクコクと首が千切れるんじゃないかという勢いで振るので離してやった。
死人(植物人間であることには変わりがない)のように青白い顔をした人間の何処を好きになれと言うのだろう?そもそも初対面なのだが。
「取り敢えず精霊天使の慈愛を使うから二人とも離れてくれ。」
「「わかった(のじゃ)よ」」
ダレンとエリシアは頷いて返事をしつつ入ってきた扉の方まで下がる。二人が下がったのを確認するとルークは魔力を練りだす魔力を体内で高速で循環させて魔力の錬度を高めると共に魔法の威力、精度、制御を飛躍的に高めるのだ。
「ほぅ、やはりここまでの魔力循環による魔力錬成が出来るのはルークぐらいなのじゃ」
「そうだね。一万年と生きてきて彼以上の魔法の使い手は見たことがない。そもそもこの幻想的な空間を作れるのは彼ぐらいさ。」
ダレンがそう呟くのも仕方がない何度見てもこの景色は目を奪われる。魔力が結晶化し雪のようにゆっくりと降る、そして床に触れると共に音も立てずに弾けて消える、それはまるで部屋の中で降る虹色の雪と言える。
「し、しかしのぉ、ダレンよ。これはちょっと魔力錬成しすぎじゃないのかぇ?揺れておるぞ?」
「あーうん、ちょっとまずいかも…これはユグドラシル自体が揺れてるね、ユグドラシアでも地震が起きてるよ…。」
「!? お、御主!やめるのじゃそれ以上はユグドラシルが持たないのじゃ!?」
静止の言葉が聞こえているのかは定かではない、ルークは目を瞑っているが真剣な表情をして魔力循環をしている。
「十中八九聞こえていないと思うけどなぁ…それにこれは悪い方向には向かないと思うけどなぁ。」
「何を言っておるのじゃ、ダレン?頭でもやられてしまったのかぇ?」
「……そうなるとエリシアはイカれた奴の嫁になるわけだ。」
その言葉に目を点にして分からないとでもいうような顔をするエリシア。
「……?………はっ!?…ダレンよ、今すぐ別れるのじゃ、もしくは死別するために死ぬのじゃダレン!」
「いやまぁ一回死んでるんだけどね?」
「はぁ…邪魔をするなら出ていってくれて良かったんだがな、他人の惚気ほど嫌なものはないんだが?」
エリシアとダレンが夫婦漫才をしている間にユグドラシルの揺れは収まりあの幻想的な光景も綺麗さっぱり無くなっていた。
ではまた一月後にお会いしましょう
(。・ω・。)ゞ




