二章八話 『亜人の街アルビオン』
お久しぶりのパル猫です!スランプから立ち直ったと言うわけではないのですがちょこちょこ書き直しつつ書き上げたので投稿させて頂きます。
これからも少しずつになるかもしれませんがよろしくお願いします。
ルークが冒険者の更新をして2月ほど寒さも和らいで暖かくなってくる時期である。アルビオンは夏場は暑すぎず冬は寒過ぎずといった快適な気候の土地でそれ故に何度も国同士……ファルネシウス王国、パーネル王国、そしてルークが滅ぼしたヴァレニシア帝国……の戦場としても使われて来た。
「ルーク様こちらに認証印を…」
「あぁ」
セルジオから渡される重要書類に認証と書かれた魔術印を押していく。これは特殊な判子みたいなもので押したその絵柄そのものが魔術陣となっているので流れている魔力で誰が押したかまで分かるといったものだ。書類の不正防止にルークが作ったものだが一万年経っても何一つ改良されていなかった…技術の進歩を期待したのだが…少し残念だ。
「ルーク様こちらにも認証印を…」
「あぁ、わかった」
セルジオに言われた書類に黙々と魔力を流しながら認証印を押していく。静かな部屋に一定のリズムでポンッポンッと認証印を押す音が響く。
ポンポンッポンッポンポンポンッ………
唐突に認証印を押す音が止んで、ルークが大きく息を吸い込んで叫んだ。
「あぁ駄目だっ!冒険者やりたい!旅に出たいっ!こんな雑務出来るかっ!」
そう言って椅子の背もたれへと体重をかける。
「フフッ、ルーク様がそろそろそう言われると思っておりました。最近はアルビオンも落ち着いておりますし書類ももうほとんど残ってはおりません。なのでルーク様がお好きな事をしてはいかがでしょうか?」
「しかしそういうわけにもいかないだろう?まだ色々片付いてないことも多いわけで……」
――ちりりりりりりりりりっ
「この音は…」
この音はルークが作った遠距離通信機器だ。最近改良して呼び出し音が出るようになった。
「はい、もしもし。ルークだが。」
「あ、もしもし?僕だよ僕。ダレンだよ。」
珍しくダレンからだったようだ。最近はディルから愚痴の電話が来るぐらいだったのでダレンからの電話は少しありがたい…がダレンは用もなしに掛けてきたりはしない。
「ダレンか、どうしたんだ?」
「それがね!《アレ》の場所が分かったよ。」
「…そうか、わかった。今日中に王城で会えるか?」
「もちろん。待ってるよ。」
「ありがとう。すぐに行く。」
すぐに判子を押す手を止めて席を立つ。
「いってらっしゃいませ。案外早く願いが叶うかもしれませんね。」
「あぁ、そうなるな。その時は任せた。」
「お任せ下さい。」
短い言葉をセルジオと交わして椅子の背に掛けてあるコートを取って部屋の真ん中に立つ。
―転移―
瞬間目の前の景色が変わり華やかな装飾の壁が視界に映る。
「や、やぁルーク待っていたよ。」
その声に導かれるように後ろを向いたルークの目に映ったのは首から下を魔力の塊に捕らわれたダレンとダレンに向けて左手を突き出し魔力を身体中から溢れだしている少女だった。




