一章三十話 『敗国①』
明日から10月ですね!衣替えの所もあるのではないでしょうか?寒いのも苦手なパル猫です…。
みなさんは風邪を引かないように気を付けてください!(毎年一回は風邪を引きます。)
ではでは本編どうぞ。
「王国の裏切り者、ヴァレンティノ=ゼルディア。」
その一声が帝国の玉座がある場所に響き渡る。その声が響き渡るや否や玉座の周りに控えていた近衛騎士が飛び掛かってくる。
――ガキィィンッ――ガキィィン――ガキィィン――
その行為や空しくルークが無詠唱で発動させていた六芒結界に弾かれる。二度三度と剣を振るうが傷一つ付いていない。
「これならセシアの方が強いな…。」
今さらながらセシアの強さを実感する。セシアならこの結界に傷くらいは付けられる、しかし帝国の近衛騎士は傷一つ付けられない、ようはそれくらいの差があると言うわけだ。
「こ、こいつ化け物かっ!?へ、陛下お下がりをっ!ギャッ!?」
こいつも所詮は帝国で飼い慣らされた犬でしかない。こんな雑魚には興味すら湧かない、ただの五月蝿いハエでしかない。
なので魔力で覆った右手で近衛騎士の首をはねる、一瞬で首が飛び首を失った身体は血の噴水を撒き散らしながら後ろへと倒れる。ルークは結界で一滴の血も浴びないが。
「化け物呼ばわりは酷いんじゃないか?そこの汚れた椅子に座っている奴こそ化け物じゃないか?」
周りに立つ宰相っぽい人や大貴族っぽい人達は今の惨状を理解出来ないのか完全にフリーズしている。
「なぁ?久しぶりだなヴァレンティノ宰相?」
「や、やはりお前であったか…!ルークっ!」
綺麗事は言わないこれは何を隠そうただの復讐であり、こいつをこの世界から塵一つ、いや魂すら滅することが目的なのだ。
「ま、待て俺はっ!」
「……何も言うな」
そう呟いて右手をかざす
「ま、待てっ!!」
――消滅――
その魔法はルークが造り出した魔法の中でも禁呪…いやその魔法の存在すら消された魔法。当時の仲間からも使うなと言われたもの…だがこれは復讐だ。仲間を殺したこいつへの復讐。だから使う。
右手のさきから黒い球体が現れて玉座やヴァレンティノ、後ろに控えていた密偵達を呑み込む。この球体に触れたものは全て消し飛ぶそれが何であろうと。だから球体が消え去った後には何も残らない。
残るのは抉れた城と王を失ったことで統制の取れない貴族共だけだった。
「お、お前は何をしたのか分かっているのか!?王を殺し…」
「お黙りなさいっ」
デブ貴族の発言を遮るように扉が開いて幼い声が響き渡る。
入って来たのは頭の上にちょこんと小さなティアラを乗せた女の子だった。そして入ってくるなりルークに跪く。
「私はフィーネ=シルア=ヴァレニシア。このヴァレニシア帝国の第一王女です。私の叔父が申し訳ありませんでした。出来れば私の命一つで穏便に済ませては頂けないでしょうか?」
相手が条件を出す前に自分から最大限の条件を出す、確かにこの条件だったら通常の奴なら呑んだだろう。しかしルークは違う。
「残念だったな。お前の命では足りない…圧倒的に足りない…。」
ルークは別にこの姫に価値がないと言っている訳ではない…。ただ大切な仲間を殺されたという恨みは晴れないと言うことなのだ。
「そ、そんな……で、ではどうすれば…。」
「今回の一件はファルネシウス王より許可を得て私が独断で進行した…そう、これは戦争で私が敵将を討ったただそれだけの話だ。」
その言葉に場が騒然となる。
それもそのはずルークはこれは戦争だと言ったのだ。ただ一人で敵陣に飛び込み敵将を殺しただけだと。そんなことを出来る人物がこの世界にどれだけいるだろうか?
そして戦争と言うことは負けた国は勝った国へ色々と支払わなければならない。たとえばそれが国民の命だったとしても。
そうそれは本日をもってヴァレニシア帝国の終焉を意味する一言であった。




