一章二十九話 『復讐』
明け方が寒くて死にそうになってきているパル猫です…。暖房器具買わなきゃ今年は乗り越えられないかもしれない…。
「「「……」」」
無言の六つの目が信じられない物を見たとでもいうような目をしてルークを見つめている。
それもそのはずだ目の前にはたくさんの獣人達が居るのだから、その全てがヴァレニシア帝国に囚われていた獣人ということもある。その全容を話すには数時間程遡る。
――――数時間前―アルビオンの砦―応接室―
ルークはアルビオンの砦に常駐しているメイド…ではなく騎士団の団長をしているセシアが入れた紅茶を飲み干して戻す。それに気付いたのかセシアが紅茶のお代わりを入れる。
これはセシアのオススメの紅茶らしい、うん美味しいとしか言えないのが悔しい。それよりセシアは団長よりメイドに向いていると思うのだがどうかな?まぁ今聞いても仕方がないので今度勧誘してみようと思う。
今は目の前で震えている狐耳の女の子に話を聞かなければ。緊張で固まっている、ここはまぁ無難に名前を聞くとかがいいかな?
「そういえば名前を聞いていなかったね。」
「わ、私はリーリアと言います公爵様!」
目の前で緊張に震えながら真っ直ぐな目でこちらを見ている。
まだ緊張しているのだろう。彼女の後ろで隠れているしっぽがふるふると震えている…あぁモフりたい…。
「私はここの騎士団の団長をしているセシアだ。」
「副団長のハイデルです。」
二人の自己紹介に狐耳の(先程の自己紹介でリーリアと名乗った)女の子が涙をぽろぽろと流しながら俯く。
リーリアのしっぽもシュンと垂れ下がっている。この娘自身よりしっぽの方が話がしやすいかもしれない…。
「あ、泣かした…」
そう呟いた瞬間二人はオロオロとし出してルークに助けの目線を送る。それに気付いたルークは軽く頷いて応接室のソファーから腰を上げて向かい側に座る少女の頭を撫でる。
「……えへへ…」
撫でると泣き止んで笑顔を作る。あぁやっぱりモフりたい。
因みにこの泣いていた少女なのだが10歳にしてこの体型とは恐れ入る。身長は狐族というのもあってか小さいが10歳にしては高い方だと思う…いや絶対高い。
この異世界では人型種族の成長具合に違いがあり大体人間は1.5倍の速度で成長し13歳程からゆっくりとした成長になる。獣人族達は大体2倍の速度で成長し10歳でもう大人の仲間入りだという。逆にその他種族は成長が通常と変わらない。(リシーやエリシアなどのハイフェアリーエルフ族とドワーフ族を除いて。)
まぁそんな小話もさておき今は現実を見るとしよう。
「はぁ…とりあえずヴァレニシア帝国に乗り込むとするかな。」
「「……はぁ!?」」
「……」
俺の後ろで控えていたセシアとハイデルは事の重大さに驚いて声を上げるがリーリアは「え?何言ってるのこの人?」みたいな哀れむ目でこちらを見ている。
そりゃぁ一人で国に攻め込むなんて馬鹿げた話を誰が信じると言うのだろうか、一個人対国である。
「あ、因みにここからヴァレニシア帝国ってどの方向?」
そう聞くとセシアが応接室の扉の方を指差す。ルークは指差された扉の方を正面に向き魔法を発動する。
―周囲索敵魔法・付与魔法『千里眼』―
常時発動させている周囲索敵魔法に神の目の効果の一つである『千里眼』を付与する。そうすることでヴァレニシア帝国の詳細な位置と向かう場所を把握出来るという訳だ。
見た感じファルネシウス王国王都の半分位の大きさの街があるこれが王都…いや帝都なのだろう。その街の周囲は城壁とも言えるもので囲まれておりまだその全てが完成している訳ではないようだ。そしてその一番端に街の象徴とも言うべき城が建っているようだ。
「じゃあ早速…あ、セシアとハイデルは砦前の広場に騎士達を集めて置いて広いスペースの確保をお願い。それじゃあ。」
―転移―
そうルークは手を振りながら魔力の渦へ消えていった。目的を果たす為に誰にも知られてはならない…これは俺達の問題だ。
――――ヴァレニシア帝国・王城―謁見の間―
「やぁヴァレニシア帝国の帝王、クラウス君。いや王国の裏切り者ヴァレンティノ=ゼルディア。」
そう俺は復讐の為にヴァレニシア帝国を滅ぼすのだから。
セシアのメイド姿…あぁいいかも…。




