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元勇者だった最強魔法師  作者: パル猫
一章 『ファルネシア大陸編』
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一章十九話 『女心は分からない』

外はだんだんと暑くなって続々と海開きしていますね!海では泳ぐより砂でお城などを作りたくなるパル猫です!

ではでは!本編どうぞ!

 左頬に手形の腫れを残した俺はギルド宵闇亭の応接室に居た。今は幽体であるダレンと二人きりである。


「ダレン…頼みたいことがある。」


「うんわかった了解だよ!」


「ち、ちょっと待て!早過ぎだ!」


「いやルークの言いたい事は分かるしもう動いているからね。大丈夫だよ。」


 流石としか言いようがないこの手際の良さ。昔からダレンは先回りでの戦法など相手との頭脳戦が得意であった。日常でも先に情報を仕入れていたりなどしていた。

 さぁこれから情報を集めようとした時にはもう情報が手元にあったりとダレンの斥候としての能力は群を抜いている。


「流石だなダレン。じゃぁよろしく頼む。」


「大丈夫任せて。それといい忘れていたんだけど僕達の時代の王からの伝言だよ。「お帰り」と伝えておいてと言われたから。」


「……そうか…ありがとう。」


 やっぱり当時の王もいい奴だ。こんな消えていた奴のことなんて心配してそれでいて信用しているからこそ「お帰り」なんて言葉を掛けれる。くそ…泣きそうになったじゃねぇか…。


「…そうだあの勇者の子はどうだ?」


「多分そろそろ目が覚めるとは思うけどね?うん?いや覚めたようだよ?」


「そうか…なら挨拶に行くか。」


 そういって席を立ち、勇者の子の部屋まで行く。そして返事があるか分からないがノックしてみる。


「は、はぃ…」


 返事があったので扉を開けるがそこには涙をぽろぽろと落としながら泣いている勇者の子がいた。


「えっと…なんだ…出直そうか?」


「い、いえ大丈夫です…。」


 そう言って彼女は涙を袖で拭う。


「あー自己紹介がまだだったな。俺はルーク=レインだ。」


「僕はダレン=クロノス=ヴェルランドって知ってるよね?」


「はい。ダレンさんは召喚の時にいらっしゃって説明してくれましたから。」


 こいつなにも言ってないぞ、そんなこと。どーせ俺は仲間外れですよーだ。そう思いながらジト目でダレンを見る。


「…」


「ルーク…ごめんって…」

 

「私は白崎(しろさき) 寧音(ねね)17歳です。」


 神の目で見ていたため名前は知っているが誰にも神の目のことは黙っていたため仕方がない。


「よろしく。白崎さん。」


「あ、あの…」


「ん?なんだい?ルークがきになる?」


 ん?俺の顔に何か付いているだろうか?と思い首を傾げながらダレンを見る。


「もしかして四天勇者のルーク様ですか?」


「…」


 四天勇者…恥ずかしい。どうしてだ!人に言われるのがこんなに恥ずかしかったなんて。黒歴史をほじくりかえされたかのような…いやそういえば黒歴史だったわ。


「何故ルークは黙ってるんだい?ははーん?もしかして恥ずかしいんだ?」


「ダレン…お前は後でちゃんと消滅させてやる。」


 大丈夫。塵すら残さない。


「ちょっと待って!冗談だって!」


「本当にルーク様なんですね!」


「そうだな。」


「もしかして怪我を治してくれたのも?」


「そうだな。」


「助けてくれたのも?」


「そうだな。」


「着替えさせてくれたのも?」


「そうだ…ん?ちょっとまてそれは俺じゃない。」


「ルーク様のえっち…」


「ルーク大胆だね…?衛兵所なら連れていってあげるよ?」


 どうしてそうなった…。とりあえずダレンは絞めるとして。


「白崎さんは日本からの転移者だよね?」


「寧音でいいですよ?そうですね。私は多分転移になるんだと思います。……うっ…」


 先程まで普通に会話していたはずなのに寧音は急に真っ青になって嘔吐く。左手は口を押さえて右腕で身体を抱くようにしてガタガタと震えている。


「やっぱり思い出したか…」


「ルーク…精霊天使の慈愛では直し切れなかったと?」


「仕方ないだろう…も(・)う(・)壊(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)のが確定してしまった心は強制的な矯正ではどうしようもないからな。」


 ダレンには通じたようで神妙な顔で頷いている。


「ルーク……抱き締めてあげて。」


「はぁ!?ちょっと待てどういう…」


「いいから。女心を一切分かってない君は僕の言うことを聞きなさい。」


「……わ、分かった。」


 ダレンの有無を言わさない目に頷く。しかしただ抱き締めることになんの意味があるのかさっぱりなんだが…っていうか意味なくね?

 しかしダレンの言うことは間違いはない。仕方ないとばかりに寧音を抱き締める。


「んぅ…」


 なすがままに抱き締められた寧音は先程まで真っ青だった顔から普通に会話していたときの白く透き通る肌の顔へと変わっていく。どうやら身体の震えも治まったようだ。


「る、ルーク様…あ、ありがとうございます。」


「あ、あぁ」


 普通に会話が出来るまで回復したようだ。流石ダレンと言ったところだろうか?最終手段としてまた魔力吸収(マナドレイン)も考えていたのだが大丈夫だったようだ。


「ルーク様…えっと…その…離して貰えると……」


「あぁ!すまない!」


 その指摘に驚いてパッと離れる。柔らかくてちょっと名残惜しかったのは内緒だ。


「これはイヴちゃんに報告かな?」


「ダレン…大丈夫だ。言う前に消滅させてやる。さっきまでのこと忘れたとは言わさないぞ?」


「と、取引しようルーク!今回のことは忘れる!だから消さないで!」


「いいだろう。寧音、とりあえずこれからは俺が側に付こう。気分が悪くなったりしたらこれを鳴らしてくれ。」


 そう言って空中に出来た渦に手を突っ込んで白い鈴を取り出して寧音に持たせる。


「それが鳴ったら俺がすぐ駆けつける。」


「は、はい!あ、ありがとうございます」


 寧音は嬉しそうに鈴を抱き締める。何故そんなに嬉しそうにするんだろうか?これが女心というやつなのだろうか?

 寧音と今後のことを話しつつ色んな取り決めをして、ダレンをまた外へと投げたりしているといつの間にか日も傾いていた。

 不意に扉が叩かれる。ディルが夕方に使いを出すと言っていたのでその事だろう。


「ルーク様、クラリアです。ファルネシウス王の使いの方がいらっしゃっています。ダレン様もご一緒に。」


「えっ?僕も?」


「分かった。ダレンも連れていこう。」


 王はダレンにも用があるらしい。寧音に別れを言ってダレンと共に部屋を後にする。そう言えば昨日から寝てないなと思い苦笑いをこぼした。

この度用語集「大陸編」と「人物紹介」を作らせて頂きました。これからも分からない用語などはそちらの方に載せて行こうと思いますのでもし分からない言葉がありましたらTwitterの方で報告の方よろしくお願いします!


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