一章十八話 『早朝の謁見』
雨です…雨が多いのです。雨は憂鬱になるパル猫です…。そうです雨のせいで風邪を引きました。風邪をなんて久しぶりに引きましたよ…というか風邪って結構しんどいんですね…今更ですが…。
夜も明けきってないころ王宮の謁見の間にてルークは報告に来ていた。こんな早い時間にも関わらず大臣や宰相などもいるとは中々手の早い人物である。
因みにイヴはリシーの所に置いてきた。
「こんな早い時間に申し訳ありません。」
「よい。それで報告に来たのであろう?」
流石にルークでも久しぶりの謁見の間は緊張していた。まぁ顔ぶれを知らないと言うのもあるが。
「出来れば王と二人でお話がしたく存じます。」
「あい分かった。」
「お、王よ!得体の知れない人物を招き入れあまつあえ二人きりなど許される訳がありませんぞ!」
宰相が吠える。まぁ確かにそうなのだがあまり王以外に聞かれたくはないので王に目で合図を送る。王も分かったようで軽く頷いた。
「よい、彼の者は儂の友人じゃ。儂と二人きりにしてくれ。」
「しかし…」
「よいのだ。」
「は、はい…」
宰相は渋々と言った形で大臣達と宰相とメイド達が出ていった。出る前に宰相に睨まれたのはちょっと腹が立つが…
「それで昨日今日でどうしたのだ?あと堅苦しいのはなしだ。」
「そ、それより王様…昨日との喋り方に違いがありすぎて…」
「普段はあんな喋り方はしないのだ。あんな堅苦しいのはこういう場のみだよ。それとルーク、私のことはディルでいい。」
「分かりま…いや分かったよディル。」
凄くびっくりした。昨日は別に王様というよりは親しい貴族みたいな喋り方だったのにさっきのはもう本物の王様みたいだった。いや本物の王様だけどさ。
「それでだが今回の犯人が分かった。」
「き、昨日の今日でか!?は、早過ぎやしないか?」
確かにそう思うのも仕方がない。自分も昨日の今日で分かるなんて
「まぁ取り逃がしてしまってどうしようもないが…」
「そうか…それで犯人とは?」
つい間を開けてしまう。それはそうだこの名を出すのは自分達勇者の軌跡を否定する事になるのだから。
「……まだ憶測の域をでないけど多分…『暴食』…」
「なっ!?」
『暴食』、その名を知らない人はほとんどいないだろう。かの偉大なる四天勇者が倒した強敵だ。そう自分達が倒したはずの敵だった。そして多分邪神戦より何倍も辛かった相手である。
「し、しかしそれは当時のルーク達一行が倒したのでは?」
「だからこそ戸惑っている…ダレンにも確認したが確証がない…と。」
「そうか…実際災厄とまで言われる『暴食』はどれ程強い?」
「どう戦おうと俺達が倒した邪神より強い。」
その言葉に二度目の驚きの顔を見せるディル、その顔は王の顔ではなく怯える一般人の顔と大差ない。彼もまた一人間なのだ。
『暴食』による犠牲者は自分達が呼ばれるまでの大戦などの犠牲者より遥かに多い。人種だけでも五分の一の人種が犠牲となっているほどの被害が出ている。
「ディル、これは俺の…いや俺達の後始末だ。すまない…」
「何を言ってるんだ。ルーク達のせいではないかもしれないだろ?それに一万年も行方不明だった者に何が出来るというのだ?」
そういって豪快に笑ってみせる。こんな状況でも気遣ってくれるこの人はやはり王としての器や才能があるのだなと思う。
「そうだ、ルークの名を借りてもよいか?」
不意にディルがそう言う。名というのは勇者の肩書きという事だろうか?
「多分ルークが思っている事で間違いないぞ?ルークの勇者としての名を借りたい。」
「それは全然いいがどうするのだ?」
「まぁなんだ…今宵を楽しみに待っているがいい」
何を企んでいるんだこの人は…。でもこの人なら悪いようにはしないだろう。
「夕方頃に使いをだそう。宿の方でいいか?」
宿か…また迷惑が掛かりそうだな…。リシーのとこで夕方までいさせて貰うか。勇者の子も目を覚ますかもしれないからな。
「いやリシーの所に用があるからそっちがいい。」
「あぁあの勇者の様子か…」
「それもあるがな。」
確かに様子を見に行く事にはかわりないがダレンやリシーにも関わる話があるしな。その相談にも行かなければならない。
「わかったとりあえず使いはリシー殿の所に行かせる。」
「わかった。ありがとう。」
「何を言ってるんだ友人の事を聞くのもまた友人の役目だぞ?」
「そうだな…よろしく頼む。」
本当に出来た男だ。そういえば当時の王もこう親しい男だった…もう会えないが最後に別れくらい言いたかったな。
そのあとも世間話をしながら王城を後にした。
リシー邸…いや正しくはギルド宵闇亭の前なのだがいつも以上に人が多い。というか前に進めないだと…!?一部分だけ東京にでもなったのか!?というほど人が溢れ返っている。
「あ、ルーク様!」
そう呼ばれて振り替えると元気のいい赤髪と猫耳…?いや犬耳?やっぱり分からんが耳が生えた女の子がこちらに向けて手を振っている。
「クラリアさんか。ちょうど良かった。このままリシーのところへ行ってもいいか?」
「大丈夫です!あ、イヴちゃんはこちらで預かっていますね!」
「ありがとうございます。」
イヴはクラリアさんに預かって貰っているらしい…あれでも元死神とは思えないな…本当に子供…なんだろう寒気がした。これ以上はやめよう。
とりあえず階段を上がりリシーの部屋まで行くと扉が開いていた。中から声が聞こえるがダレンでもいるのだろうか?
「清掃♪清掃♪清掃♪」
そこには鼻歌混じりにくるくる回りながら魔法を使っているリシーの姿が……
「今日のリシーはテンションが高いね。」
「うお!?…ダレンか…」
扉の角からリシーの部屋を覗いているとダレンも来たようで二人で覗く。リシーはそれでも気付いていない。
「清掃♪清掃♪清掃♪清掃♪清…」
くるくる回るリシーと一瞬目が合う。俺とダレンの存在に気付いたリシーは魔法を掛けるのを止めるがそのままくるくると回っている。回るのも止めればいいと思うのだがそれでもリシーは回り続け、回る度に目が合う。
「えっと…その…なんだ…おはようリシー…」
「おはようリシー♪」
俺はなんとか気まずいながらもリシーに挨拶をし、ダレンはこれは面白いものがみれたとばかりにテンションMAXで挨拶をする。
「ひ…」
「ひ?」
「ひやぁぁぁあいぁぁぁぁあ!?」
ギルド宵闇亭に朝から少女の良い悲鳴が轟いた。
早く治しながらちゃんと小説も書かなきゃ!しかしくるくる回るリシーちゃんが可愛い…(妄想)




