一章十六話 『暗殺者③』
最近暑くなってきましたね。夏はやられたスライムの様に溶けてしまうパル猫です。
というかお昼頃の外は今でも暑いです。今年は夏を乗り越えられないかもしれない…
では本編どうぞ?
――魂の解放――
聞こえる筈のないその声、先程その命の灯火を私自ら奪った筈の少女から
死の超越の効果で一度死ぬことで限界を越えることが出来る。これは魂というものにストックを持つ死神くらいだろう出来るのは。
その言葉と共に死者だった彼女は蘇る。みるみるうちに傷の修復が行われほぼ戦闘前の状態だ。
ただ違うのその身に纏う闘気だ…殺意を通り越して狂気にも見えるその濃い濃密な死の闘気。禍々しささえ感じる程の……
「……僕は君を救う……」
「な、何を言ってぇ……?」
瞬間目の前に鎌の刃が迫る。間一髪で避けるが前髪を何本か切られてしまう。風を切るその音さえ聞こえなかった……というよりは自分がその闘気に凄まれたから反応出来なかった……?
いや暗殺者である自分が恐れる程の相手?
恐怖で壁際まで後退る。
「貴女はぁ一体何者なのぉ?」
「……」
彼女は答えない。その何処か遠くを見つめるような目で私を…いや私の全てを見通す様に………
イヴは女の過去を視ていた。歪な程に狂ったその過去を。そして彼女さえ覚えていない過去の断片を。
「一体何者なのぉ?」
「……」
答えられない。いや答えはある死神だ。しかし今の自分はルークの配下であり無闇な殺生はしないとの約束もした。
第一もう神性を持っていないので、ただの力を持った小娘に過ぎない。
「そこの者っ!何をしている!」
そこで騒ぎをに気付いたのか衛兵らしき人物が駆けてくる。
「ちっ…」
女は暗殺者だ。顔を見られる訳にはいかない舌打ちをして逃げる準備に入ろうとする。
「えぇ…?」
女は動けなかった…。気付くと右肩から漆黒の槍が深々と突き刺さり貫通して壁に縫い付けられていた。
痛みを感じなかった。その槍いつ投擲され自分を貫いたのかにも気付かず。
「君は絶対に逃がさない…」
「くぅ…うぅぅ……」
女は自分の右肩に槍が刺さっていることを確認して理解したところで痛みが追ってきたのだろう。顔を痛みで歪めながら身体を捩って逃げようとする。
しかし漆黒の槍には返しが付いているため抜けることはない、それこそ無理やりにでも抜かなければ。
「何をしているっ!今すぐ戦闘行為を止めなければ武力行使に出る!」
先程から衛兵は仕切りに戦闘を止めさせようとするが止めてしまえば女は逃げるしなによりこの程度の人間にあの女が捕まえられるとは到底思えない。
見つけた所で反応も出来ずに殺されるのが落ちだろう。
「例え君達が衛兵だろうと手を出すのなら容赦はしないよ?」
そう言って衛兵の方に鎌と殺気を向ける。
衛兵達は恐怖でなのか滝のような汗をかきつつそれでも衛兵としてのプライドなのか構えた剣を下げようとはしない。
「お前達…衛兵として!ここを死地だと思って'アレ'を止めるぞ!」
「「おおおっ!」」
アレとは心外だ。多分自分の事を'アレ'呼ばわりしたあの人が衛兵長なのか。人ではないがちょっと傷付く。
衛兵長っぽい人の見た目も他の衛兵と比べて一回り厚い鎧を着ているし持っている剣もなかなか良いものであるのは分かる。
なにより指揮系統を担っているのはあの男である。
「出来れば引いてくれないかな?」
「ならば武器を置いて投降してくれるか?」
まだ女は逃げ出そうとしている。抜けないのは百も承知だがもしも抜け出したときに武器を投げ出していたら対応できない。
「それは無理だね。」
「ならば私達も武力行使しかあるまい。」
この衛兵長脳筋なのか、あるいは自分の力に酔いしれる者か。前者なら救いようがないのだが…
衛兵長のその言葉の後この試合の為に深呼吸をして目を閉じた。そして目を開けた時に目の前にあったのは痛みで悶絶している自分の部下達であった。
「なっ!?い、一体何が……!?」
「君…戦闘中に目を閉じるなんて自殺行為もいいところだよ?」
「……しかし君をここで逃がしては…っ」
そう自分を奮い立たせ衛兵長は剣をイヴに向け直す。相対するのは二メートルを越える鎌を持つ12歳~14歳位の銀髪金眼の少女。その身の丈に合わない武器を持っているのにまるで何年何十年も使ってきたかのように合っている。
駆け出しの冒険者がミスリルの剣を持っても映えないがどこにでも売っているようなアイアンソードは合っていると言った感じだろうか?それだけ少女と鎌は合っているということだ。
この場合持っているのはミスリルの剣の方だが…
ー身体強化ー第六感ー
「うぉぉぉぉぉぉっっ!!」
衛兵長は自身を強化してイヴに剣を振り上げながら立ち向かう。それは竜に立ち向かうアリと言った比喩が一番しっくりくるはずだ。
それくらいの力量の差が二人にはある。
「うぉぉっ……?…ぐおっ!?」
気付いた。先程まで目の前に居た少女が居ないことに。瞬間背中に強い痛みが走った。
イヴは男の背後から鎌の柄で一撃見舞った。男は何度か地面をバウンドして広場のステージに頭から突っ込む。本来はそれで終わりだった。
強化しているとはいえ神経が通っている背骨にダメージが行くように調整した強さだ。すぐには立てないはずだった。
「私は負けるわけには…!」
何だろうこの人は…何故立つのだろう?もう負けを認めて気絶すればいいのに。死なない程度に手加減しているイヴは少し腹立たしくなっていた。
「はぁ…一回逝っとく?」
イヴは加速して男に止めをさそうとする。
「待て」
その言葉と共にイヴの鎌は止められる。ルークの手によって。
リシーの家(ギルド宵闇亭)に着いたルークは今の時間も賑わっている隣のギルド酒場を見て、変わらないなと苦笑いしつつリシーの家に侵入する。
これはドアノックしようものなら自分がいますと敵にもばれてしまうためだ。広間に出ると犯人たちが5人程伸びていた。
「ダレン?」
「どうしたんだいルーク?こんな夜中に……まさかリシーに夜這い?」
「違うわっ!」
「まさかクラリアに……」
「ほう?そんなに消して欲しいなら言ってくれればいつだって消してやるのに」
そう言って手のひらに魔力の塊を作る
「ま、待ってって!それは結構洒落にならない魔力量だよっ!?」
どうせ本体はユグドラシアにあるんだ。消えないだろう?と言ってニヤりと笑うとダレンはガクブルと震えて部屋の隅へと逃げていった。
「んで、これはダレンが?」
「ん?いや?リシーだよ?」
「へぇ?リシーが?マジか強かったんだな?」
「そりゃぁルークの弟子である私の弟子だからね!」
何故こいつは弟子であることに喜んでいるんだろう?普通は越えたいものじゃないのか?
「ルーク様っ♪」
腰に衝撃が走る。リシーが抱き付いて来たのだろう。
「ごふっ!?」
逝った…腰が逝った……腰を押さえて床に蹲る。
「ルーク様どうしたのですか?はっ!?殿方は女性を見て興奮すると前屈みになると言いますが!まさか!」
「リシー?多分違うと思うよ?だけどよくやった!」
やっと立ち上がったルークは手を魔力で覆ってガシッとダレンを掴む。
「あ、あれ?」
魔力で覆ってしまえば魔力体であるダレンだって霊体だって掴むことができる。まぁかなりの魔力精密制御能力が必要ではあるが。
「そぉいっ!」
ー魔法無力化空間ー
ルークはその掴んだダレンを掛け声と共に外へと投げる。抵抗出来ないように魔法を封じて。因みに魔術系も封じることができるためダレンはなすがまま飛ばされて逝った……
「よしでは次はリシーの番な?」
「ふぇ?ふわぁぁぁぁぁぁ!?」
その日のギルド酒場では2つの悲鳴が聞こえて大騒ぎになったとかなってないとか。
無双って結構書くの難しいですね…あとから見直してあれ?無双じゃない…なんてなってますwすこし他の作者さんの作品を読み漁るべきか…次回の投稿は少しだけ遅れるかもしれません!




