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#16廃棄+おまけ。






ひとしきり笑い終えると初期ナンバーの少年は、さて、とわざとらしくこぼした。


「そろそろ行こうかな。明るくなってきたし」


まだ他に聞きたい事はたくさんあったが、それは聞きたい事であって、聞くべき事ではない。

名前や、これからどうするつもりなのか、どこへ行くのか。聞けば答えは返ってくるかもしれない。でも返ってきたところでそれが何だというのか。

不可避のうちに同族にされただけの間柄。

友達でも同志でもない。


必要ならまた会う時がくるかもしれない。

それでも道を同じくする事はないだろう。

リュカは開きかけた口から、無理矢理別の言葉をひねり出した。


「ああと……うん。……お腹、お大事に」


少年は返事の代わりに短く笑うと、屋上の縁からするりと落ちていった。


見送っているうちに瑛人が横に並ぶ。


「俺のも一緒に処分してくれるんだろ?」


回収したガラスの容器は持ち帰って、誰にも触れさせる前に自分で処分すると決めていた。


「……そのつもりだけど?」

「うん。……じゃあ」

「瑛人?」

「俺も、ここで」

「そう?……元気でな、だな?」


瑛人とも道を同じくする事は無い気はしていた。いつかまた道が交わる時に、できればその時、敵対してなければいいと思う。

さっきの少年とは違って、瑛人とは一緒に過ごした時間が少しでもある分、言いたいことも言えるし、聞きたいことも聞ける。


「瑛人、本当の名前はなんていうの?」

「……いいよ、瑛人で」

「じゃ、次に会った時も瑛人って呼べばいいんだ?」

「……好きにすれば」


思春期の息子の言葉に、思春期の息子を持つお母さんのようにはいはいと返事をする。


瑛人はそのまま動き出す気配がない。


リュカは屋上の縁に上がり、辺りに人の気配がないのを確認した。

またねと声を掛けても思春期の息子から返事はなかった。代わりにふいと顔を逸らされる。


隣の屋上に渡り、その隣に移ってもしばらく背中に視線は感じたままだった。







「……って、なんかノリで別れてみたけど……」


自分の移動手段がリュカのバイクの後部座席だったのを今更ながら思い出す。

こんな何も無い田舎に、こんな朝早く。所持金もほとんど無い。

所員の駐車場から適当に乗り物を調達してもいいけど、追われる要素はなるべく作らないでおきたい。


それにもうそろそろ何か食べないと体が動かなくなりそうだった。

どう考えても自力で町まで走るのは、いくらなんでもキツ過ぎる。というかムリ過ぎる。


「カッコ悪……でも……」


リュカの去った方向と、バイクの置いてあった場所を思い出して、どうにか出発に間に合ってくれと走り出した。




ーーーーついでに体の中にある通信機をどこかで捨てないと。



それで少しは身軽になれるはずだ。







「間に合っ……た!」



走り出そうと向きを変えた黒いバイクの少しだけ手前に瑛人は飛び出して行く。


どう理由を説明しようか。

考えて、どう言ってもきっとまたバイクの後ろには乗せてくれるだろうと確信があった。

なら理由は何でもいい。

漏れそうだと言えばトイレにだって連れて行ってくれるに違いない。





その日、数名のナンバーホルダーとの通信が途絶える。

マルクス本社は追跡の必要無しと即日に決断。

負った損失を補填するよりも新たな利益を確保する事を優先する旨を日本支社に通達。




消えたナンバーホルダーはナンバー抹消、廃棄処分と記録された。





















◻︎◻︎◻︎おまけ◻︎◻︎◻︎

(44話 はじめのいっぽ。の直後にあたる話です)









始めの一歩を踏み出した瑛人は、二歩目をどちらに向けようかとコンビニの前でしばし途方にくれた。


目の前に古い型のSUV車が横付けされる。


まるで瑛人が店から出るのを待ち構えて、送迎に現れたかのように、するりと停車。

助手席の窓が下りて、中を覗くと知っている顔が笑ってこっちを見ている。


「お〜疲れ〜」

「あんた……史隆ーーーーなんでここに?」

「あ〜。ハズレ〜。ーーーー弟の方でした〜」

「は?……え?」

「使えそうなら拾ってこいって上の方の人から言われてさ。どうする?来る?それとも死ぬ?」

「……ホントに弟なんだな」

「わかっちゃう?」

「あんたの兄ちゃんは、そんなに物騒じゃないからね」

「あはは〜。そうね〜……。で?どうする?ずっとこっそり付いて回ってたから疲れてんだよね」

「……だからなに」

「車、運転できるんでしょ?」

「使えるって、そういうレベル?」




二歩目は運転席に向かっていた。


あの兄のこの弟なら、そんなに悪い奴ではないのかもしれない。

性格は……どうかあやしいけど。



助手席(そっち)、移ってよ……」




車に乗り込むと学園とは反対方向の道を指示される。そちらに車を回しながら、瑛人はどのタイミングでご飯を食べさせてと頼もうか、今にも鳴き出しそうなお腹の虫と相談を開始した。
















この章はこれにておしまいでございます。


ここまでお付き合いいただきました皆様に、感謝をさせていただきます‼︎‼︎

読んでいただいて、ありがとうございます‼︎‼︎

つまらないものですが↓↓ご笑納下さい。



挿絵(By みてみん)


というソレで。

今後ともごひいきに。

ありがとうございますとよろしくお願いしますを添えて。



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