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(90)待たす

 (89)待つの逆で、相手を待たす場合は疲れることがないのかな? と、ひまそうに考えれば、^^ あながちそうでもないことに気づかされる。この逆の場合も待つ場合と同じで、疲れるのは心理面の気持や気分である。ということで、今日は昨日きのうに引き続き、そんなお話をしたいと思う。^^

 とある駅近くである。一人の男が少し息を切らせながら小走りで駅の入口へ近づいてきた。散り初めた桜が、『なにをバタついてるのよっ!?』といった風情ふぜいで男を見下ろしている。^^

「ハァハァ! やれやれ、どうにか間に合ったみたいだなっ! あと10分か…」

 男は腕を見ながらそうつぶやくと、駅構内へと駆け込んでいった。

 駅構内は多くの人でごった返しているかに思えたが、蔓延する新型ウイルスの影響からか、案に相違して少なかった。

「なんだ…ほとんど人がいやしないじゃないかっ!」

 男はふたたび呟きながら、駅の改札へと急いだ。そのときだった。

『誠に申し訳ございません! ○○:◇▽到着の急行ハゲワシは40分遅れで到着する見込みです。お待ちのお客様にはご迷惑をおかけいたし、誠に申し訳ございません。今しばらくお待ちください』

 流暢りゅうちょうな若い駅員の声が構内アナウンスで流れた。その声は待たせる心苦しさなど微塵みじんも感じさせず、ただ淡々と語るだけで溌溂はつらつとしていた。

「なんだよっ! 待たすのかよ…」

 男は力のえたやや大きめの声でわめいた。

 待たす側の理由がどうしようもない場合、待つ側は怒っても仕方がないという結論に至る。故意に待たさなければ、待たしたことにはならないという訳だ。^^


                  完

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