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(89)待つ

 待つという行為は、正直なところ疲れる。一般的には身体の疲れというより気疲れが多い。では、疲れることなく待つにはどうすればいいのか? という話になる。^^ 今日はそんな待つ場合、疲れることのないアイデアっぽいお話だ。^^

 とある大衆食堂である。一人のサラリーマン風の男が注文したカレーライスを待っている。かれこれもう30分近くなろうかというのに、いっこうに注文のカレーライスが運ばれてこない。誰しもこれだけ待たされれば、『おいっ! どうなってんだっ!』くらいのことは言うのだろうが、この男はまったく関知せずで、手持ちのノート・パソコンのWi-Fi機能でキーを(いじ)り、仕事を続けている。女店員の方が逆にこの男の動きが気になり出した。

「お客さんっ!」

「んっ!? ああ、カレーライスはまだなのっ?」

「も、もうすぐ出来ると思います…」

 これはなかなか(あなど)れない男だわ…と思えたのか、女店員はそれ以上、突っ込まず、笑って(ぼか)した。そのときである。

『カレーライス! 上がったよっ!』

 奥の厨房(ちゅうぼう)から店主の声が響いた。女店員はソソクサとカレーライスを男の席へ運んだ。

「あの…お仕事ですかっ!?」

「んっ!? ああ、出来たの? そうだよっ! 僕の会社、フレックスタイム制だからさっ! ここの時間も勤務時間に入ってんだっ! ははは…」

「というと?」

「難しいから簡単に言えばさっ! これもタイムレコーダーに記録されてんだっ!!」

「そ、そうなんですかっ! す、すごいっ!!」

「ははは…今の時代、それほどのこっちゃないよっ! お決まりの時間分だけ働けば、いつでもいいのさっ!」

「夜でも、ですかっ!?」

「ああ! 労基に抵触(ていしょく)しない拘束抜きの24時間っ!」

「労基?」

「ああ、労基。労働基準法! おっ! 冷めちまうっ!」

「す、すいませんっ! どうぞ、ごゆっくりっ!」

「んっ!? ああ、いいさ…」

 男は待つことにはまったく無頓着だったのか、笑って流した。

 待つ場合は、事前に待たされる場合を想定し、その間でやれるコトを準備しておけば、疲れることから回避(かいひ)出来る訳である。^^


                  完

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