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(80)昨日(きのう)

 (79)の明日あしたがあれば当然、昨日きのうだってある。^^ っていうか、昨日がなければ明日もない訳である。分かりきった話だが、これがどうしてどうして、当たり前のように日々を生きていると忘れがちになる。明日の話は(79)で書いたとおりだが、同じように昨日のことを思い出せば、あ~すりゃよかった…こう~すりゃよかったな…とやんで気持が疲れることになる。むろん、ああしてよかった! こうしてよかったなっ! と思うことだって多かろうが…。今日はそんな昨日を思い出して疲れるお話である。^^

 夕暮れ時、とある家族五人が連休で出かけた旅行から帰ってきた。夫婦と小学校の子供三人である。長男は生意気盛りの小六、次男は少三、長女は今年入学したピッカピカの一年生である。

「やっぱりあの温泉の方がよかったんじゃないっ!?」

「お前はそう言うがな。込んで泊まれないかったかもしれんだろっ!」

「そんなに怒らなくたっていいじゃないっ!」

「まあまあ、お二人さん…」

 夫婦の険悪な雰囲気を未然に察知したのは生意気盛りの長男だ。止めようと二人の話に割って入った。

「こうして、帰れたんだからいいんじゃないのっ?」

 子分の次男が長男を援護えんごする。

凧見たこみの言うとおりだ。予定どおり楽しめたんだから、それでいいだろっ!」

「パパっ! 凧見はやめてくんないっ! 僕、気にいらないんだっ、凧見…」

「なに言ってんだっ! 凧見…いい名じゃないかっ!」

「だって学校で、『今日はげないのっ?』って言われるんだよっ!」

「それってパワハラじゃないかっ! 言え言えっ!! 先生に言えっ!!」

「まあ、いじめじゃないんだけどね…」

「話が脱線してるでしょ!!」

「ママ…お腹、いたっ!」

「はい、はいっ!」

「ああっ! もう、昨日の話はもうやめよう!」

 ピッカピカの小学校一年生のひと言で、昨日の話はご破算となった。

 過ぎたことはどうにもならないから、昨日のことは昨日のこと・・として忘れるのが疲れることなくいいようだ。^^


                  完

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