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(65)期待

 期待を余りしなければ疲れることはない。要は、期待することでコトが期待通りに行かなくなったとき、気疲れする訳である。宝くじがそうで、〇千万円とか〇億円という額にかすかな期待を寄せる訳だが、結果は残念ながらガックリする期待外れとなる。今日はそんなテンションを下げさせる疲れるお話だ。^^

 オリンピックが延期となり、金メダルを期待されていた選手がアングリとした顔で街を歩く人々をながめていた。人々の顔はマスクも、マスク、そしてマスク姿だった。選手自身にも期待されている自分が、まんざらでもなかったのである。

「ぅぅぅ…」

 選手はうめくような無念の声をらした。その時、選手のコーチが静かにやってきた。

「おい、喜べっ! お前の好きな店の予約が取れたぞっ!!」

「ええっ! それ、本当っすかっ!!」

「お前にうそを言ってどうするっ! ははは…一日中、お前の好きなウナギ三昧ざんまいだっ!」

「特上のうな重、きも吸い、うなぎもの串焼き、ひつまむし、白焼きっ!」

「それに、ウナ茶漬けっ! たまりませんねぇ~~っ!」

 選手の下がったテンションはにわかに回復した。ところが、その二日後である。

「すまんっ!! 店がしばらく閉店するそうだっ!」

「ええ~~っ!!」

 選手はふたたびの期待外れで、倍、疲れることになった。

 期待しなければ疲れることはないというその一例である。^^


                  完

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