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(26)倍(ばい)

 ばいを軽く考えれば疲れることになる。どういうことか? といえば、まあ、そういうことです…と小声でポツリと返すしかない。^^ 分かりにくいことを言ってないで、分かりやすく説明しろっ! と怒る方もおられようから、一つのお話を例として説明させていただくことにしよう。^^

 二人のひまな老人が、とある公園を散策している。

「ほう…梅もそろそろ終わりですなっ!」

「はい、さようで…。しばらくすれば桜ですかっ?

「また楽しい宴会ですなっ! ははは…」

「まあ、私らの毎年の楽しみですから…」

「コロナとかいう自動車のような肺炎が増えてるようですが、大丈夫ですかなっ!?」

「まあ、今のところは…。先は分かりませんが…」

「政治家の方々も疲れる顔が増えてますなっ!」

「見えずに倍ですから、こわいっ!!」

「倍っ!? …どういうことです?」

「だから、倍ですよ、倍っ!」

「だから、それはどういうことですっ?」

「…仕方がありません。ご説明いたしましょう! どっこいしょ!! まあ、あなたも、おかけになって…」

「ああ、はい…」

 二人は散策を中断し、木陰こかげに設置された木製のベンチに腰を下ろした。

「いいですかな。たとえばあなたに一円、貸したとしましょう!

「一円ですか? まあ、借りませんが…」

「例えですよ、飽くまで例えっ!」

「はい、借りましょう!」

「その貸したお金の倍を毎日、返してください! と私が言ったとしましょう。ははは…まあ、言いませんが…」

「はい!」

「すると、翌日はいくらになります?」

「一円借りたんですから二円ですなっ!」

「その翌日はっ!?」

「四円です…」

「その翌日は!?」

「ははは…八円でしょ!」

「そうですっ! ハ円、十六円、三十二円、六十四円、百二十八円…と、まあ、みるみるうちに大きな額になっていく訳ですっ!」

「はあ、まあ、そうですな。それが?」

「だから倍なんです。いや、実際は乗数かも知れんのですが…」

「なにが倍で乗数なんです?」

「ウイルスですよ、見えないウイルス!」

「だから怖いと?」

「はい! 見えないから、余計に疲れるっ!!」

「確かに…。なにか、いい手立ては?」

「ウイルスにはウイルスしかないでしょ! 幸い、エイズウイルスワクチン+以前のコロナウイルスワクチンの混合ワクチン剤が有効だとかなんとか…」

「早く完治かんちすればいいですがなっ!」

「桜の宴会が呼んでますっ!」

「まあ、中止にならんことを祈りますかっ?」

「はいっ! 私らにできるのはそれくらいですからなっ!」

「ほんとに…」

 二人の老人は重い腰をベンチから上げると、ふたたび散策し始めた。

 倍で見えないものは怖く、結果として疲れる訳である。^^


                  完

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