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(14)攻守(こうしゅ)

 世の中の出来事のすべては攻守こうしゅで構成されている。どういうこと? と問われれば、まあ、そういうこと…と返す他はない。^^ 事実、そうなのだから、考えても疲れるだけだろう。^^ 例えば株や宝くじ、馬券、パチンコなどでもうけてとくをする人がいたとすれば、必ずそんをする人が逆にいるということである。世の中は、実に上手うまく出来ている訳だ。今日はそんな疲れるような馬鹿馬鹿しいお話である。^^

 馬鞍うまくらは疲れていた。疲れる原因が何なのか? 馬鞍にはそれが明確に分かっていた。職場で守りに入ったからである。? と、首をかしげる人もおられようから、もう少しかみ砕いて説明すれば、攻めているときはよかったのである。?? 益々(ますます)、分からんぞっ! とお怒りになるだろうから、詳細に説明することにしよう。馬鞍は上司の課長、あぶみに言われる前に…と、ひそかに先回りして予算書の草案を作っておいたのである。要は攻めていた訳だ。ところがである。その労はむくわれず、全てをやり直す破目になったのである。政府対策の甘さから全国各地に蔓延まんえんしたVRE[耐性菌]により、毎年、計上される予算額が調停されない見通しとなったためだ。ぅぅぅ…と、泣けるような思いで馬鞍は攻めから守りへと撤退てったいを余儀なくされた。攻守、ところを変え、急遽きゅうきょ、計上する予算を修正しなければならなくなったのである。完全な負けいくさだった。しかし、世の中はそう捨てたものではない。^^ 『全軍撤退じゃ…』と、深い溜息ためいきを吐きながら馬鞍がデスクで仕事に取りかかり始めたそのとき、新たな朗報が飛び込んできた。新たなワクチンの開発が成功したという朗報だった。守りを覚悟していた馬鞍は攻めへと思考を方向転換させ、にやけた。馬鞍が先回りして作っておいた予算書の草案が復活し、攻守はふたたび逆転したのである。

 このように、世の中の出来事は、どう変化するか分からない・・という疲れる妙味みょうみを秘めている。この妙味は芸術や芸能のいきはるかに超越し、実に面白い。^^


                  完

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