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エルシリアの憂鬱

5月1日の税収は、脅威の2億と3千万ディルスであり実入りが良かった。

別途の寄付金は、6千万ディルスであるがエルシリアへの寄付が多かった。

志願兵も、エルシリアの部下に成りたがる者が、非常に多く困っている。

エルシリアの収入では、集まった5千の志願兵を養う事が出来ないからだ。

「キートン様が私の正体を軽率に暴露するので兵を養う羽目に陥りました」

この部下を働かせて、収入を得る方法を、何とか考えないといけないな。

部下には取り合えず都の警備をさせておくが、キートンはロクにエルシリアの部下の給料を支給してくれないので、自活しないといけないのだ。

「ルーシェリー。キートンの部下を辞めて私の娘として帝国を継がんか?」

リサが娘に会いにキートン王国にやって来ると、娘を口説き始めた。

「キートンの部下になっていても、一生コキ使われるだけだよ。それよりは帝国に帰ってきて、栄耀栄華を極めようではないか」

何を今更とエルシリアは思うが、一応話位は聞くのが、娘としての礼儀だ。

「何が欲しい?金か?それとも権力か?」

この皇帝は、実の娘さえ金の力でしか口説けんのか?

人付き合いの下手な皇帝だ。

これで良くカリスマ40を維持していられる・・・。

「私はキートン王国を去る心算はありません。私がこの国を去るときは、私が病死するか、キートン様が簒奪を決意なされたその時です」

ホントに予言の英雄がリサの敵に回ってしまったとリサ本人は思っていた。

「そうか。一応言っておくが、私はラビットから報告をうけるまで、そなたの正体は知らなかった。知っていたらたとえ偽善でも和平を望んだだろう」

簒奪者であるリサに、他人の簒奪行為を批判する権利はないが、私とて国内では、人気の高い皇帝である。

そう簡単にキートンなどに滅ぼされたりはしないぞ。

「キートンには頑張るように伝えておけ。そなたを手放したのは失敗だったようだな。外で身を隠した方が、神の使徒に狙われないと思ったのだ」

私は娘を見捨てた訳ではない。

そう思われていたら、全く持って不条理である。

「分かっていますから、気になさらないでください」

エルシリアはこのリサを早く追い返したくなってきた。

私はキートン王国宰相としての仕事が急がしいのだ。

暇な皇帝の愚痴を聞いてる暇はない。

「ではファーリに命令して、食事を作らせましょう」

一応歓迎しておくが、エルシリアは憂鬱だ。

大体皇帝の一人娘であるにもかかわらず、皇帝にはなれないと決め付け、冒険者として教育したのはリサ姫である。

もはや帝位にな興味はないので、今更後を継げと言われても困るんだが。

「駄目なのか?キートンとの争いを回避するには他に方法がない」

エルシリアの親衛隊5千も、リサと意見は同じである。

「キートン王国の国王は、ルーシェリー様が赴任するべきです」

厄介な事になってきた。

所詮親戚筋のキートンより、リサの直系であるエルシリアに部下の人望を集めるのも、仕方がないとは本人も思ったが、説得して諦めてもらうしかないな。

「美味い。流石はファーリの作る料理だ」

接待はファーリに任せておいて、自分は部下の訓練をしておこう。

部下になめられると、部下がエルシリアの命令を聞かなくなるだろう。

「部下の訓練をする。キートン王国を守る為の兵が弱くては話にならない」

モーガンが兵の訓練を始める事にしたが、常備軍は魔法薬の効果もあって、90レベルにまで上昇していた。

エルシリアの親衛隊は、レベル1である。

「この兵にも魔法薬を投与せよ。これで楽にレベルアップ出来るかも知れん。お金でレベルアップ出来るなら、訓練時間を大幅に短縮出来る」

「火炎弾」

兵士の一人が覚えたての魔法の練習を行っていた。

兵士の訓練は魔法戦士の訓練に切り替え、新兵の訓練をメインに行う事にしたのだが、多分複数の職業を極めれば、兵士のレベルも向上する筈だ。

「魔法戦士なら、確実に強くなれるぞ。何でもいいから魔法を覚えろ」

人には得意な分野がある筈だから、覚えられる魔法を覚えれば良く。

魔力は最大限に高めてあるから、訓練さえすればレベルアップする筈だ。

「国王陛下。Z卿からの魔法の武具が手に入りました」

隊長用の鎧や剣を調達したキートンは、それを部下に気前良く与えた。

「キートン様。こんな高価な武具をいただいて良かったのですか?」

「流石はキートン様だ。部下の心情を良く分かってる」

エルシリアの訓練の下、レベルアップに励んでいた兵士は、この短期間にレベル50までに成長していた。

常備軍の魔法戦士のレベルも、30レベルまで向上している。

これは元々の兵士のレベルが高い為だろうと思われる。

魔法戦のコツさえつかめば、レベルの上がるのも早い筈だ。

「素晴らしい。この僅かな期間にここまでレベルが上がるとは・・・」

キートンは、レベル90の常備軍の兵に国境を守らせる事にした。

総勢2万の大軍であるが、国軍の司令官はファーリなので、絶対破られる事のない無敵の軍隊である。

「軍隊は増強する予定であるが、どの位が良いだろうか?」

西方の国民を訓練して、レベルの底上げを計ろうではないか。

民衆に戦闘訓練さえ積ませれば、犯罪事件で殺される若者はいなくなる。

「軍隊のレベルアップほど、厄介な事はないからな」

魔法薬の効果もあって、ゴーレムを一撃で破壊できる能力を得られるようになり、リサ姫を恐れさせる事になるが、5月2日にリサは本国に帰り、兵の訓練を繰り広げる事になるが、エルザす帝国の軍拡はゴーレムに頼る傾向にあるので、ティミッド00量産型タイプを生産する事にしていた。

「真一さん。ゴーレムの大量生産に力を注いでくれませんかね?」

リサは7色兵団をリストラし、新兵を補充した。

本気でキートン王国に抵抗する心算なら、本気で軍を整えるしかない。

キートンを哀れに思って見逃してやったのは、完全に間違っていた。

「心配しなくても、キートンなんかにエルザス帝国は負けませんぜ」

アベルとルシアがリサを補佐して、軍隊を鍛えている。

南部太守の御崎は、国境守備隊を訓練して30レベルまで底上げしていたのだが、キートン王国の兵の3分の一にも満たないレベルだ。

御崎の統率能力では、兵のレベルは30位が限界らしい。

「7色兵団の現在のレベルは、250レベル位ですかね・・・」

シエル騎士団は300レベルだ。

レベルだけなら、エルザス帝国軍のほうが凄いが、実際戦ったらキートン軍とは互角の戦いしか出来ないであろうと、指揮官達は思う。

「ネトゲ廃人の部隊のレベルを底上げするのが先決かと思います」

ネトゲ廃人の戦争遂行能力は、エルザス帝国随一であり、エルザス帝国を陰日向と支えてきた。

最近西方では活躍していないが、それは敵が狡猾なだけである。

純粋に戦うだけなら、ネトゲ廃人の敵はいない。

「あのネトゲ廃人の能力では、ファーリには勝てないだろう」

リサも多少はそんな気もするが、それを言って、ネトゲ廃人の機嫌を損ねても、エルザス帝国の国力が低下するだけであり、何の利益もないのだ。

「ネトゲ廃人。ファーリに勝てる自信があるのか?ないなら正直に言っても良いぞ。左遷したりは絶対にしない」

この言葉でネトゲ廃人は、安心してリサに進言した。

正直なところ、犠牲なくして勝てる自信はない。

「全滅を覚悟して戦えば、キートン、ファーリ、ルーシェリーの3人を討ち取る事は可能だと思います。我々にはそれ位の戦力はあります」

かと言って、アトラスで地上戦をやれば、貴重な農地を荒廃させるだけだ。

それに放射能汚染の心配も、もしかしたらあるかも知れない。

「キートンの奴。ルーシェリーを味方につけたからって、私がキートン王国を攻撃しない保証にはならないのだぞ。

ハッキリ言って、キートンもリサもお互いを全く信用していないのだ。

キッカケがあれば、直に西方は火の海になり、戦火はエルザスを覆う。

「出来るだけ訓練をするように。ネトゲ廃人にはディールギス0を、約束通り与える事にするから、ファーリを殺害せよ」

ネトゲ廃人はこのディールギス0で訓練を繰り返して兵を鍛える事にした。

ファーリの得意技は魔法である。

魔法の一撃さえかわせば、ファーリとまともに戦う事は可能である。

「だが火山の粉塵を魔法で吹き飛ばすような奴に勝てるのだろうか?」

エルザスの為に死ねと言うなら死ぬが、可能ならば思いとどまってほしい。

「心配するな。どうしてもキートン王国を倒せないなら降伏するだけだ」

だがそなたらも私の部下なら、私を敗軍の将などにするな。

この時、エルザス帝国軍は、リサの為に戦おうと心に誓った。

後日このエルザス軍の悲壮な覚悟を聞いたエルシリアは、憂鬱になったらしいが、それはリサも知らぬ事である。

「ルーシェリーよ。そなたさえエルザス帝国に戻ってくれば、キートン王国とは戦わなくて済むかも知れなかったのにな」

エルザス人は、ルーシェリーが家出をしてキートンに匿われているとでも思ってるらしいが、これはエルシリアが完全否定した。

「真一さんに新型ゴーレムの量産を急がせろ。キートン王国壊滅に備える」

ついに反逆の意思を示し始めたキートンを討伐するべく軍備を整える。

「おう。任せておけ。改良型は絶対的防御システム採用だから壊されない」

ファーリの魔法は、ティミッド00で押さえ込み、ティミッド0の魔法攻撃で、ファーリを消耗させれば、楽をしてファーリに勝てる事間違えない。

「エルザス帝国の3勇の1人であるこの真一をなめるなぁ」

キートン王国を叩き潰して、刑の減刑をリサに嘆願するのだ。

落ち着け、真一。

冷静に戦えば、キートン王国のような弱小国に勝ち目はない。

「念の為ゴーレム隊の新規操縦者の募集を行っておく事にする」

真一は確実に勝つ為に、新型ゴーレムの操縦者を公募する事にした。

この公募は一応秘密裏に行われた筈であったが、キートン王国にも情報が漏れており、操縦者の志願者が、キートン王国から送られて来る事になる。

エルザス側は、全く気付いていなかった・・・。




気力が尽きました。

今日は一回のみの投稿になります。

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