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ドラゴン大戦

ゴーレム輸送用の、大補給船でネトゲ廃人の部隊は東方港街に到着した。

ドラゴンは村人Aの豚30頭を殺した後それを食らい去って行ったようだ。

「ドラゴンは1頭なのか?それとも複数いるのか?」

ネトゲ廃人は、村人BとCを問いただしてドラゴンが4頭だと結論付けた。

このドラゴンも、ファーリと同じで冬眠出来なかったのかもしれないな。

「他に損害はないのか?金を盗まれたとか、誘拐されたとか・・・」

ファーリの行動規範から推察して、今時のドラゴンは龍の姿で街を襲撃などやらないと思うんだが、誰かがドラゴンに罪をなすり付けたんじゃないか?

「いえ。本当に食べ物がほしいだけのようでした。金貨をもらっています」

全部で金貨240枚位だったから、代金としてなら十分妥当であるが。

「金をもらってるのか?それは商取引と言うのではないのか?」

ネトゲ廃人は、この案件を調べ直す事にした。

誰が早まって、ドラゴンが街を襲撃したと言っ他のか知らぬが、最近のドラゴンは、金も支払わずに食べ物を強請る程愚かではないようだ。

まずはギルドに調査を依頼してみる事にする。

ドラゴンの冬篭りの代金は、ギルドでのアルバイトで手に入れたに決まっているので、怪しげな4人組がいなかったかどうか、調べれば良いのだ。

「ああ。やたらでかい牛肉を大量に買い込んでいた若者が4人いましたよ」

あんなでかい牛肉を食べるなんてきっと噂のドラゴンに違いないですねぇ。

「あの4人はギルドのアルバイト職員ですよ。いつもは金貨で給料を支払うように要求するのに、最近肉でくれと言い出して、困ってたんですよね」

それでクビにすることにしたのか?

幾らなんでも酷くないか?

「クビになどしてませんよ。冬は有給休暇扱いが、雇用条件なので」

じゃあ今でも採用しているのか?

あのドラゴン共にどんな容疑がかけられてるか、コイツ知らんのか?

「ネトゲ廃人様・・・」

「それを言ってら、あいつらクビにされるかも知れないだろ」

ネトゲ廃人はギルドの長に金貨を握らせると、ギルドを出る事にした。

「どうなっているのでしょう?人間と接触する言語能力があるのなら、話し合いで豚を譲ってもらう事も出来ると思うのですが」

豚を殺害された農民も、それ程怒っていなかったし、どうなってるんだ?

「ここは火山島から3千キロも離れているから火山灰の影響はない筈です」

4頭のドラゴンもここまで用意周到な奴らなら、冬篭りの食料位蓄えると思うし、ファーリが無計画なのは、キートンに養ってもらう前提なだけだ。

「取り合えずドラゴンと話し合おうぜ。俺らの武装でドラゴンに勝てるとも思えないからな」

あのドラゴンがファーリ並に強かったら、たった50機のティミッド0で何が出来ると言うのだ?

「ああ。俺達はまだ死にたくはない」

俺達は、火山の粉塵を一撃で消し飛ばしたファーリを見ている。

神龍みたいなのが存在するなら、ファーリこそその後継者に相応しい。

だが1月25日になっても、ドラゴンは姿を現さなかった。

「何だ?直に姿を現すかと思ったが、案外ゆっくりとしてるんだな」

部下は不思議がるが、ファーリの噂を聞けば当然だろう。

一食で1万ディルスを使ったドラゴンである。

あのギルドがどんな金持ちか知らないが、1万ディルスも給料はだせんだろうし、ドラゴン共も、相当に飢餓に苦しんでいるのではないのか?

取り合えず、話し合いが最優先事項だ。

ドラゴン共が多少威嚇攻撃を仕掛けてきても、いちいち気にするな。

「ドラゴン共の住処はどこなんだ?挨拶にいかないといけない」

「それはあの金貨渓谷だそうです」

別に金貨が転がってる訳ではなさそうだ。

「出陣だ。ドラゴン語を話せるお前はここに残れ」

人間とある程度共存の出来るドラゴンなら、利害が一致すれば和平出来る。

ティミッド部隊は40機出撃すると、ドラゴンに気付かれぬように探索を始めたが、露骨に草食動物の死骸が目立った。

「ドラゴン共。余程腹を減らしているようですな」

キートンの奴、こんな厄介な獣を2頭もどうやって飼いならしたのだ?

「金貨渓谷は昔の鉱山の跡地です。出土したのは金貨ではなく銀だったそうですが、エルザスで一番豊かな金持ち村だったらしいですよ」

ネトゲ廃人は、ゴーレムを潜ませるように部下に命じた。

ドラゴンが4頭飛来して、獲物を持ってくる。

「あいつら、廃鉱をそのまま寝床にしているらしいな」

「どうしますか?今なら廃鉱を潰せばドラゴンは一網打尽・・・」

ズドン。

愚かな事を口走った部下が、ネトゲ廃人に処刑されかけた。

ゴーレムは破壊され、部下は寸前で逃げおおせる。

「二度と俺の命令に逆らうな。次は見逃さないぞ・・・」

失言位で、貴重なゴーレムをぶっ壊すな・・・。

「ドラゴンが来るのを待ち構えて話し合いをする。地面にドラゴン語で文字を書け。出来るだけ大きい文字をだぞ」

話し合いに徹する心算であるからには、徹底しないと・・・。

やがて地上文字を確認したドラゴン4人は、人間の姿に変身すると、ネトゲ廃人を招き寄せた。

「話し合いに応じよう。代金に金貨千枚置いて行け」

有料の会見かよと思ったが、ドラゴンを怒らせない様に黙っていた。

怒らせたら、ネトゲ廃人の部隊39機が全滅する。

「今金貨をそちらに投げるから、確認したら代表者を寄越してくれ」

ドラゴンはこの金貨千枚を確認すると、ネトゲ廃人に聞いた。

「東方港街で飯食ってからでいいか?心配するな。約束は守る」

ドラゴンを食わせるだけの食料の余裕はないんだが、我慢しよう。

この近辺から、草食動物が一掃されるよりマシだ。

ドラゴン達は、ネトゲ廃人も連れて街の定食屋に入店すると、腹一杯料理を詰め込み、3軒ハシゴしてやっと腹一杯になった。

それでやっと話し合う段取りが出来る。

「俺らが冬眠して、春まで起きてこなければ何の問題も起きないんだろう?

ならもう大丈夫だ。これだけ食べれば冬眠は出来る」

案外話の分かるドラゴン達のようだが、何で村人Aの食糧盗んだんだ?

この一件を精査すると、ドラゴンが怒った様に不貞腐れる。

「代金は支払っただろ?相場の倍はするぞ。240ディルスなら」

流石にこの大災害の時に、食糧分けてくれとは言えずにかっぱらったんだ。

その後で普通の店が営業再開してたの知ったから、食わせてもらった。

「それだけなのか?エルザス帝国の中枢は、物凄い誤解をしてるんだが」

「どうせ俺達が街を襲撃したように言われているんだろうな。心配するな。食料調達は今年の春になるまでは行わないから」

そうか。

早まって討伐軍を送り込まないでよかった。

大戦争が起こる寸前だった。

「じゃあな。街の住民は何とかなだめといてくれ。俺達は冬眠する」

俺達が東方港町に行っても「ドラゴン軍団港町襲撃」とか言われるだけだ。

実際討伐軍がやって来て、俺らを詰問している。

どうせ戦闘用の空戦用ゴーレムを隠し持っているんだろうが。

ディミッドをこの地に送り込んで来たのは俺らも知っているんだぞ。

ドラゴン達が洞窟の中に入っていくと、ドアを閉じてしまった。

この廃鉱ドアつきだったのかよ。

部下がドアを蹴破ろうとしたが、びくともしない。

「止めろ。ドラゴンの安眠を妨害したら港町が壊滅する・・・」

ファーリの例から考えて、冬眠中のドラゴンは恐ろしく不機嫌だ。

それにそのドアの強度から考えて我々の攻撃力ではドラゴンには勝てない。

「五月蝿い。俺らの安眠を邪魔するな」

ドアを開けて爆裂魔法をぶちかますと、ドアを閉めてしまった。

この爆裂魔法で、ティミッド部隊はほぼ壊滅した。

あの神の使徒でも倒せなかった、ティミッド部隊を一撃で?

「本当に怖いのはキートンじゃない。このドラゴン族だ」

データから考えて、ファーリの爆裂魔法ならかろうじてかわせる。

だがこのドラゴンの魔法はどうにもならない。

ファーリも本気で鍛えたら、あのチートな能力より、更に上にいけるのか?

「どうしましょう?ネトゲ廃人様・・・」

「素手でどうやって戦うのだ?東方港町に引き上げて補給を待つしかないだろう」

ネトゲ廃人は、唯一残った補給車に乗って撤退を開始した。

リサ姫にはどう言い訳しようか悩むところだ。


「何だと?そなたらあれだけの部隊を持ちながら撤退して来たと言うのか」

リサは激怒したが、実際敗北したのだからしょうがない。

リサは東方港町で、ネトゲ廃人の戦況報告を聞いていた。

「飯は食わせましたので、春までは起きないと言ってました・・・」

ファーリはちょくちょく起きて働かされているじゃないか。

いまいち信用出来ないのだがな。

「どうしましょう?補給が済んだら討伐しますか?」

「勝てると思ってるのか?この大馬鹿者・・・」

放し聞いていると、そのドラゴンファーリより強そうだぞ。

ディールギス0でも勝てるかどうか分からんぞ。

「戦うならお前の部下が言ったように、廃鉱に閉じ込めるべきだった」

こうなったら、ファーリを呼び寄せて、説得させるしかないだろう。

春になったら。

「全く。この街に来る前に、105ヶ所のドラゴン族を説得したが、皆話の分かるドラゴン達だったぞ」

全員がブラックドラゴンだった。

何故か銀貨20枚(日給)で私の配下になる事に同意した。

「御蔭で豊かなゴブリン自治区で狩猟許可を得るのに苦労したのだ」

ドラゴン共がなんて言ったか聞きたいか?

「弱虫ファーリだそうだ・・・」

「・・・」

あのファーリですら弱虫の部類に入ってしまうのか?

「本気で修行させたら、ファーリの方が才能あると嘆いていた」

「・・・」

あの小娘、画家として偉そうにしていてくれた方が、エルザス帝国と私の安眠の為にはなりそうだな。

まあ最近思うが、キートンの下には、エルシリアといい、ファーリといい、チートな破壊趣味の女が集まってくる・・・。

「春になったら部下になるように説得する。それまでディールギス0を2機配備しておけ。これは皇帝の命令だ」

春になってドラゴン達が出てきたら、ディールギス0は確実に破壊される。

こうなったら春までドラゴンには大人しくしていて貰おう。

只でさえ生産力が落ち込んでいるのに、ドラゴン敵に回したら大変だ。

エルザス帝国で、ドラゴン大戦と呼ばれるこの戦いは一応終わったが、エルザス帝国南部の食糧事情に、深刻な影を落としたのは言うまでもない。





ドラゴンは案外低賃金で、馬車馬のごとく働かされる・・・。


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