まもるちから
――翌朝。
ユイの家。
朝ごはん。
「ユイ。」
「ん?」
「うーちゃん、まもれた♡」
「うん。」
「イズナ――」
両手を、
ぱっ♡
「なおした♡」
「うん。」
「それから――」
「うん。」
「ユイ――」
ユイを指して。
「まもった♡」
「うん。」
「えへへ〜♡」
とっても――
ごきげん。
「うーちゃん。」
「?」
「それ、さっきも聞いた。」
「…………。」
「もう三回くらい――」
「カナタ。」
「なに?」
「うーちゃん――」
にこっ♡
「まもれた♡」
「また言った!」
「ふふっ。」
「えへへ♡」
みんな集合。
ピンポーン。
「あ。」
がちゃ。
「おはよ。」
「おはよー。」
「イズナ!」
ぺたぺたぺた!
「イズナ!」
「なに?」
「きのう――」
「うん。」
「なおした♡」
「知ってるよ。」
「コヨリ。」
「なに?」
「ユイも、まもった♡」
「見てた。」
「…………。」
「すごかった。」
「…………!」
ぱあっ♡
少しして――
「それで、お姉ちゃん。」
「ん?」
「昨日のあれ。」
「あれ?」
「光ってたやつ。」
「ぴかーってやつ!」
「私もよく分からないんだよね。」
「?」
「うーちゃん。」
「なに?」
「昨日、どうやったの?」
「…………。」
「ユイ……。」
「うん。」
「まもった♡」
「それは分かってるんだけど。」
「?」
「本人も分かってないね。」
「調べる?」
「うん。」
「じっけん!?」
「そう。」
「やる!」
「なんでカナタが一番楽しそうなの?」
「じっけんだから♡」
「理由になってないよ。」
「じゃあ、うーちゃん。」
「うん♡」
すっ。
二人の手が――
重なります。
きらっ。
ふわあっ――。
――換装。
〈モデル・うーちゃん〉
「うーちゃん。」
胸の奥から――
『なに?』
「昨日みたいに、私を守れる?」
『…………。』
少し考えて。
『まもる♡』
ぽうっ――。
ユイの周囲に、
淡い光。
「でた!」
「昨日の。」
「うん。」
「ちゃんと出せるんだ……。」
「触っていい?」
「え?」
「結界。」
「優しくね。」
「うん。」
すっ。
指先を――
結界へ。
ぺち。
ぽよん。
「…………。」
もう一回。
ぺち。
ぽよん。
「やわらかい。」
「感想そこ?」
「ぼくも!」
「優しくね。」
「うん!」
たたたっ!
「待って、勢いつけなくていいから!」
「えー。」
「実験で壊さないで。」
「でも――」
「?」
「お姉ちゃんにしか張れないのかな。」
「…………。」
「確かに。」
胸の奥へ。
「うーちゃん。」
『なに?』
「イズナを守ってみて。」
『イズナ?』
「うん。」
『…………。』
「…………。」
『まもる♡』
ぽうっ――。
イズナの周囲を――
光が包みます。
「…………!」
「イズナ、ぴかぴか!」
「光ってる。」
「見れば分かる。」
「他の人にもできるんだ。」
「次ぼく!」
「はいはい。」
「うーちゃん。」
『うん♡』
「今度はカナタ。」
『カナタ、まもる♡』
ぽうっ――。
カナタの周りに――
結界。
「…………!」
「でた♡」
その横。
「…………。」
「…………。」
「消えた。」
さっきまであった――
イズナの結界。
なくなっています。
「もしかして……。」
「同時には無理なのかも。」
「?」
「もう一回やる?」
「じゃあ――」
「うーちゃん、イズナ。」
『うん。』
ぽうっ。
イズナに――
結界。
同時に。
「あっ。」
カナタの結界が――
すうっ。
「やっぱり。」
「一人だけなんだ。」
胸の奥から――
『ひとり?』
「うん。」
『…………。』
うーちゃんの声が――
少しだけ、
しょんぼり。
「あと――」
「?」
「換装をやめたらどうなるんだろ。」
「やってみようか。」
「うーちゃん。」
『うん。』
ふわっ――。
換装解除。
ぽすっ。
「ただいま♡」
「おかえり。」
そして――
すうっ――。
イズナの周りの結界も、
消えます。
「あ。」
「消えた。」
「換装してる間だけみたい。」
「なるほど……。」
「つまり。」
指を――
一本。
「うーちゃんと換装してる間だけ。」
二本。
「お姉ちゃんか、誰か一人を守れる。」
「うん。」
「二人は無理。」
「今のところはね。」
「…………。」
みんなを――
見ます。
ユイ。
イズナ。
コヨリ。
カナタ。
「…………。」
「うーちゃん?」
「ユイ。」
「ん?」
「ひとり?」
「うん。」
「…………。」
「みんなは?」
「…………。」
「うーちゃん……。」
自分の手を――
見ます。
「みんな、まもりたい。」
「うん。」
「でも――」
小さく。
「ひとりしか、まもれない?」
長い耳が――
ぺたん。
「…………。」
「うーちゃん……。」
「…………。」
「…………。」
ユイは――
うーちゃんの前へ。
「うーちゃん。」
「?」
「昨日ね。」
「うん。」
「うーちゃん、一人でみんなを守った?」
「…………。」
「うーちゃんは――」
うーちゃんを見る。
「私を守ってくれた。」
「うん。」
「私は――」
少し考えて。
「フレイを引きつけた。」
「イズナは――」
「倒した。」
「どーんって!」
「そんな感じではないけど。」
「だいたい合ってる。」
「合ってるんだ……。」
「だから。」
「?」
「一人で全部やらなくていいんだよ。」
「…………。」
「うーちゃんが一人を守って。」
「別の誰かが――」
「また別の誰かを守る。」
「それを――」
みんなを見る。
「みんなでやればいいんじゃないかな。」
「…………。」
「一人しか守れないんじゃなくて。」
にこっ。
「一人を、ちゃんと守れるんだよ。」
「…………。」
自分の手を見る。
「ひとり……。」
「うん。」
「ちゃんと、まもれる?」
「うん。」
「昨日、私を守ってくれたでしょ?」
「…………。」
昨日。
ユイを包んだ――
淡い光。
「…………!」
ぱあっ♡
「まもれた♡」
「うん。」
「じゃあ――」
「?」
「うーちゃん。」
胸を――
ぺた。
「ひとり、まもる♡」
「うん。」
うーちゃんは――
イズナ。
コヨリ。
カナタ。
そして――
ユイを見ます。
「みんなで――」
両手を、
ぱっ♡
「みんな、まもる♡」
「…………。」
にこっ。
「うん。」
「じゃあ!」
「?」
「ぼくも、うーちゃん守る!」
「…………!」
「私も。」
「もちろん私も。」
「…………。」
きょろ。
きょろ。
みんなを見て――
ぱあっ♡
「えへへ〜♡」
ぺたぺたぺた。
ユイへ――
ぎゅっ♡
「ふふっ。」
なで。
なで。
守るって――
一人で、
全部を背負うことじゃない。
一人にできることを、
みんなでつないでいけばいい。
守って。
守られて。
そうやって――
みんなで、
みんなを守っていく。




