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なおしたい

――翌朝。

ユイの家。

ちゅん。

ちゅん。

うーちゃん

「…………。」

ぱちっ。

朝です。

隣には――

ユイ。

「すぅ……。」

「ユイ♡」

むぎゅっ。

まだ眠っているユイへ――

くっつきます。

「ん……。」

ぱちっ。

「……うーちゃん?」

「おはよ♡」

「おはよう。」

なで。

なで。

「えへへ♡」

そのとき――

外から。

「いくよー!」

「…………。」

「!」

「まさか……。」

庭。

たっ!

ふわっ――!

「…………!」

すーーーーっ。

「カナタ♡」

「あ!」

ぽふっ。

「おはよ!」

「また朝から飛んでたの?」

「うん!」

「元気だね……。」

「とぶの、すき♡」

「うーちゃんも♡」

「うーちゃんは飛ばないよ。」

「…………。」

「もういっかい!」

たたっ。

「がんばれ〜♡」

「…………。」

昨日――

あんなことがあったのに。

いつもの朝が、

戻っています。

「…………。」

ふと――

自分の手を見ます。

昨日。

黒いフレイ。

傷ついたイズナ。

戦っていたユイとカナタ。

そして――

何もできなかった、

自分。

「…………。」

ぎゅっ。

小さな手を――

握ります。

「うーちゃん?」

「!」

「どうしたの?」

「…………。」

ふるふる。

――しばらくして。

三人で、

朝ごはん。

「おいしい♡」

「おいし♡」

「いっぱい食べてね。」

もぐ。

もぐ。

「うーちゃん。」

「?」

「ここ。」

自分のほっぺを――

ちょん。

「?」

「パンくずついてる。」

ぴっ。

「とれた?」

「取れた。」

「えへへ♡」

「ぼくは?」

「カナタもついてる。」

「えっ。」

「いっしょ♡」

「いっしょ♡」

朝ごはんのあと。

「二人とも。」

「?」

「なに?」

「そろそろ行こっか。」

「イズナ?」

「うん。」

「…………。」

「今日は家にいてもいいよ?」

「…………。」

少しだけ、

考えて。

「いく。」

「……そっか。」

「いっしょにいこ♡」

「うん♡」

――いつもの森。

「お姉ちゃん。」

「おはよう。」

イズナの隣には――

もちろん、

コヨリ。

「うーちゃん。」

「コヨリ♡」

ぺた。

ぺた。

ぺた!

「コヨリ〜♡」

ぎゅっ。

「わっ。」

「おはよ!」

「おはよー。」

いつもの五人です。

「うーちゃん。」

「?」

「あそぼ。」

「うん♡」

――と、

言いかけて。

「…………。」

視線の先。

「?」

「…………。」

じーーーーっ。

「……どうしたの?」

うーちゃんは――

ぺた。

ぺた。

イズナのところへ。

「イズナ。」

「ん?」

「……いたい?」

「え?」

うーちゃんは――

昨日傷ついたところを、

じっと見ています。

小さな手で――

そっと。

「ここ。」

「…………。」

「まだ、いたい?」

「……ああ。」

昨日のことだと、

気づきます。

「もう大丈夫だよ。」

「…………。」

「ほんと。」

腕を――

ぶん。

ぶん。

「ほら。」

「…………。」

「なおった?」

「うん。」

「ほんと?」

「ほんと。」

ぽん。

頭を――

なで。

「心配してくれたの?」

「うん。」

「ありがと。」

「…………。」

ほっ。

「よかった♡」

「よかったね。」

「うん♡」

「…………。」

また――

自分の両手を、

じっ。

ぎゅっ。

ぱっ。

ぎゅっ。

「…………。」

「うーちゃん?」

「コヨリ。」

「なに?」

「いたいところ、ある?」

「ないよ。」

「…………。」

くるっ。

「カナタ。」

「なに?」

「いたい?」

「ぼく?」

「うん。」

「いたくないよ!」

「…………。」

「げんき♡」

ぱっ!

両手を広げます。

「私も。」

「私も大丈夫。」

「…………。」

「みんな元気だね。」

「……うん。」

「うーちゃん。」

「?」

「どうして痛いところ探してるの?」

「…………。」

自分の手を――

じっ。

「きのう……。」

みんな

「…………。」

「イズナ、いたかった。」

「…………。」

「ユイも、あぶなかった。」

「うん。」

「カナタも……。」

「…………。」

「でも。」

ぎゅっ。

小さな手を、

握ります。

「うーちゃん……。」

「なにも、できなかった。」

「…………。」

「うーちゃん。」

「?」

イズナが――

しゃがみます。

「でも、今はみんな大丈夫。」

「……うん。」

「だから。」

なで。

「そんな顔しなくていいよ。」

「…………。」

でも――

ふるふる。

「?」

「また……。」

「また、いたくなったら……。」

自分の両手を見ます。

「うーちゃん……。」

顔を上げます。

「なおしたい。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「じゃあ。」

すっ。

手を差し出します。

「今は誰も痛くないから。」

「…………。」

「今は、あそぼ。」

「…………。」

きゅっ♡

「うん♡」

――原っぱ。

「よーい……。」

「待って。」

「まって♡」

「どん!」

たたたっ!

「カナタ速い。」

「まって〜♡」

ぺた。

ぺた。

ぺた!

「あっ。」

つるっ。

ころん。

「…………!」

「コヨリ!」

ぺたぺたぺた!

「コヨリ!」

「だいじょうぶ。」

でも――

膝には、

小さな擦り傷。

「いたい?」

「ちょっと。」

「…………!」

すぐに――

小さな両手を、

傷へ。

「なおす。」

ぺたっ。

「なおれ……。」

…………。

何も、

起きません。

「…………?」

もう一度。

「なおれ……。」

…………。

光は――

出ません。

「……なんで?」

耳が――

しゅん。

「うーちゃん。」

「…………。」

ユイが隣へ――

しゃがみます。

「あのときは。」

そっと、

うーちゃんの手を握ります。

「私と一緒だったよね。」

「…………!」

「……ユイと?」

「うん。」

ぎゅっ。

「うーちゃん一人じゃなくて。」

「…………。」

「私一人でもなくて。」

にこっ。

「二人で、やってみようか。」

「…………!」

「いっしょ?」

「一緒。」

きゅっ♡

うーちゃんは――

ユイの手を握ります。

そして、

コヨリを見て。

「コヨリ。」

「なに?」

「まってて。」

「うん。」

「うーちゃん――」

小さな手に、

ぎゅっ。

力を込めます。

「なおすから。」

昨日は――

怖くて、

何もできなかった。

でも今日は。

自分から――

「なおしたい」と、

手を伸ばしました。

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