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君の笑顔が、本当になるまで  作者: 兎の毛


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2)モブの一年間

高校に入学してすぐに、桜の天使の七瀬澪の名前は嫌でも耳に入った。1-C七瀬 澪。


「C組の七瀬さんみた?」


「めっちゃ可愛くない?」


「男子がずっと見てた」


有名人だった。誰にでも優しく愛嬌があり、男子にも女子にも人気がある。学校で一番かわいいという噂にも納得しかなかった。そして冬真は、見事なまでに“その他大勢”になっていた。廊下ですれ違えば目で追い、中庭で見かければ視線が向く。友達と笑っているだけで胸が苦しくなる。「・・キモ・・」自分で自分に引いたが止まらない。別に話したこともないし接点もない、クラスも違う。向こうは自分の存在すら知らないだろう。それでも、どうしようもなく好きだった。


放課後、ファミレスのバイト帰り夜道を自転車で走りながら、自分に呆れる。


「なにやってんだ俺・・・」


でも、たまに妄想する。もし話しかけてくれたら。もし仲良くなれたら。現実世界では女子と話す勇気すらない人間だった。きっと一生関わることはない。そう思っていた。


季節は流れ移り変わる。春が終わり、夏が過ぎ、秋が来て、冬になる、そしてまた春が来る。


何も起きなかった、本当に何も・・・。ただ遠くから見ていただけ。それだけの一年だった。・・・・・けれど、奇跡みたいな日は来る。

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