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お城の自慢の庭を生中継したら王太子殿下が男と熱いデートをしていた  作者: 水桜


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3/18

それぞれの翌日

朝の馬車乗り場には、様々な馬車がやって来る。

家紋を誇らしく付けた高位貴族の豪華な馬車や、個性的な装飾の馬車が目を引くが、ほとんどは一般的なものだ。


「お嬢様、いってらっしゃいませ。

今日はこのまま待機しておりますので、早退の際にはこちらにおいで下さい」


馬車乗り場の中で一番豪華な馬車を降りたユーリに、御者は告げた。


「あら、お父様の指示?」


にっこりと微笑んだユーリに、忠誠心の強い御者は真剣な顔で頷いた。


「はい。

今日は学院のほうにも話をつけており、当家の騎士も数人、学院内に配置しているそうです」


あらあら。

お父様ったら過保護ね。でも、追い詰められたら何をしでかすか分からないから、当然ね。


今日、お父様は国王陛下たちに婚約破棄の

話をしに行っている。

お父様は昨日の生中継の録画映像、王太子と私の交流記録、贈り物記録を持ち、「お友達」の中央教会の教皇様と共に登城している。


わが国は同性愛には否定的だ。


女性である私に興味を持たず、婚約者として当然の交流もない。

同性の恋人とふしだらな触れ合いをしている。


教皇様はどう思っていらっしゃるのかしら?


「それじゃ、もう行くわ」


御者は、歩き出したユーリの後ろ姿を、見えなくなるまで見送った。


「ごきげんよう」

「ごきげんよう」


登校する学生たちの声が飛び交う朝の学院の風景。


今日はやけに視線を感じるわね。

あちこちから、さりげなさを装いながら、私のことを観察し、噂している。


昨日の生中継のせいで、注目を集めている私。

正確には、注目を集める男の婚約者である私。

私も、他人なら面白がって見ている。


わが国の王太子が、実は「複数の同性の恋人たちと体の関係をもつ男」だと知られてしまったのだ。


面白すぎるわ。


「ごきげんよう、ユーリ様」


友達の、いえ親友のエリザベス・アロウ侯爵令嬢が声をかけてきた。

エリザベスは何か含みのある笑みを浮かべていた。


「ごきげんよう、エリザベス様」


〝面白いことになっているわね〟

〝後で話すわ〟


視線で会話した私たちは、並んで教室へ向かった。


教室に入っても、好奇心の視線は続いた。

距離が近い分、噂話はしないが視線は向ける。


始業のベルが鳴るまで、視線は止まらなかった。


そして、授業のためにやって来た教室まで、ユーリのことをかなり意識していた。



その頃、噂の現場となった王城では激震が走っていた。

物理的にも精神的にも、激しく揺れていた。


「カーティス公爵、落ち着いて下さいーーー!!」

「うわーっ、城が壊れるーーー!!」


別にカーティス公爵は暴れているわけではない。

ただ、激しく怒っているだけだ。

魔力量の多い彼は、負の感情が高まると魔力が大きく震えてしまうのだ。


謁見室の重厚な大理石の床が粉々になる。壁にヒビが入る。シャンデリアが大きく揺れ、今にも落ちそうだ。

玉座が半分に割れ、国王が床に倒れる。


「陛下ーーーっ」


ガシャーン!!


シャンデリアか床に落ちる。

割れたガラス製のシャンデリアの破片が、部屋中に散らばる。


室内にいた人間は、激しい揺れのため立ち上がれない。カーティス公爵は、ただ1人立ったまま、元玉座の前に座り込む国王を睨んだ。


「申し訳ありませんが、もう一度おっしゃっていただけませんか?

どうも耳が遠くなったのか、今、陛下がおっしゃったことが分からなかったようです」


「⋯⋯あ、その⋯⋯、だから、そなたの娘と王太子の婚姻の日取りを⋯⋯」


国王壊れた元玉座の影に隠れながら、しどろもどろに答えた。


ドゴーン!!


元玉座が粉々になる。


「申し訳ありませんが、もう一度おっしゃっていただけませんか?」


カーティス公爵の周囲の空気が重く濁る。


「そなたの娘とうちの息子の婚姻⋯⋯」


ドーン!

ガタガタ!

バリンッ!


「うわーー!!」

「屋根がなくなったーーーっ」


外から聞こえる騒音が、物騒だ。


「公爵、ユーリ嬢と殿下の婚約は無効ですよ」


教皇の言葉に、カーティス公爵の「攻撃」が止まる。

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