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お城の自慢の庭を生中継したら王太子殿下が男と熱いデートをしていた  作者: 水桜


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19/20

虹の君メルス・パルクールの悲しい一日 1

1人目は、ちょっと影の薄い男、メルス・パルクール侯爵令息に決めた。王太子(当時)の側近の中でも、大人しい性格ゆえに一歩引いている地味気味な存在だ。

例の生中継では、(元)王太子と熱烈な抱擁をしていた男だった。

第一王女殿下の婚約者の友人である彼は、本来、真面目な努力家だった。同い年の伯爵令嬢に婿入りが決まっており、仲は良くもなく悪くもないといったものだった。

今回の問題児4人の中で、一番マトモだった筈の男だった。


「恋は盲目とは言うけれど、その通りね」


浮気とは縁のない人だと思ったのに。


「パルクール家の次男クンね。真面目系イケメンだったわねぇ。学院の成績も良く性格も良好、文官として出世株候補『だった』わね」


残念ねぇ、と母親はモニターに映る大人しそうな少年を見つめた。


〘虹の君メルス・パルクールの悲しい一日〙


メルスの横顔と、凝った装飾文字のタイトル。


「虹の君って⋯⋯」

なんか華やかな感じがする響きだけど⋯⋯。

彼らしくない呼称。


「メルスくんとハレンチ男は、噴火の虹の前で熱ーく抱き合ってたのよぉ。だ・か・ら、『虹の君』なの♡」


このタイトル考えたのって、お母様?

編集も監修してる? しかも、なんか自信作みたい。


「メルスくんの今日一日を1時間にまとめてあるのよぉ。

なかなか楽しくて悲しい内容でねっ、前菜としてぴったりよ」


はじまり、はじまりーと、お母様は、映像をスタートさせた。


映し出されたのは、パルクール家の食堂のようだ。


メルス様とパルクール侯爵夫人が食事をとっている。メニューから見て、朝食のようだ。

黙々と食事する2人に、給仕する使用人たちは気まずそうだ。

前代未聞の理由で学院を退学になったメルス様を、家族も使用人たちも持て余しているのがモニターから伝わってくる。


「メルス。私は出かけるけれど、あなたは謹慎よ。外出は禁止だし、誰かを家に呼ぶのもダメ。手紙のやり取りも認めません。わかったわね?」


侯爵夫人の厳しい視線、冷たい言葉。

家を存続させるために、侯爵夫人は息子に厳しい指導をすることにしたようだ。

⋯⋯遅すぎですわよね? 手遅れといってもいいと思いますわ。


一人息子を切り捨てれば、簡単に解決するが。

簡単に捨てられないのだろう。


「ですがっ⋯⋯。

ユーリ嬢に謝罪だけでも⋯⋯」


バカね。

メルス様って、勉強はできてもそれたけね。

私に謝罪なんて、何の意味もないわよ。

私が許して、メルス様のために奔走すると思っているのかしら。

今までだったら、婚約者の側近だからと気を使ったのかもしれない。でも、今は全くの無関係。私がメルス様を助ける理由はない。


「メルスくん、ユーリちゃんに何を言いたいのかしらねぇ?」


お母様が、画面の中のメルスに向かって呟く。


「だってねぇ〜、謝罪って⋯⋯。『あなたの婚約者とお付き合いしてます。私たち愛し合っちゃいました。ごめんなさい』って言いたいのよねぇ。

ユーリちゃんにマウント取りたいのかしら?

それとも、あなたの愛しい婚約者が愛した男を愛人として受け入れろと、謝罪を装った要求かしら? メルスくん、貴族としては完全に終わりだもの」


⋯⋯お母様、私より凄いこと、考えていたわね。


「ほぅ、ずいぶんと舐めた真似をするものだな」


お父様ね眉間にシワが寄るのが分かる。


「お父様、お母様。彼はあのアホの恋人ですよ。そこまで深くは考えていないと思います」


断言するユーリに、両親が顔を見合わせる。


「ユーリちゃん、あなたが一番辛辣ね」


?

私がいた、平和的だと思うけれど?


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