謎のモニター
家宰の指示だと言い、使用人たちがカーティス家の応接間に複数のモニターを運び込んでいた。
4つのモニターが並んだところで、家宰は室内に戻ってきた。
設置されたモニターを満足そうに見つめる両親に、ユーリは疑問を投げかけた。
「こんなに用意して、何を見るんですか?」
両親は、全て知っているようだけど、私は何も聞いていない。
「ふふふふーーーっ、ディナーの余興よぉ。
今夜はここで、夕飯にするの。
ユーリちゃんお見送りディナーにしたかったけど、こっちを見ながらの方が楽しそうだったからねぇ。
簡単に食べられるメニューにしてもらったの」
楽しそうに笑う母親。モニターの数は4つ。生中継された元王太子と3人の恋人たち。
「お熱い恋人たちのその後、ですか?
お母様、好きそうですわね。でも、たった1日で4人とも結果出ましたの?
廃嫡とかされても、まだ荷造り中ではなくて?
ちょっと物足りなくないですか?」
というか、映像で何を観るの?
家で泣いてるところを生中継?
ヤケおこして、何かやらかしてるところを生中継?
疑問が顔に出ていたのか、お母様とお父様は楽しそうに笑って答えてくれた。
「ユーリちゃん。実はねぇ、今日一日、あの4人にはカメラをこっそり付けていたのよぉ。
いろいろな結末があったらしいのよぉ。本人だけじゃなくて、周りにもいろいろあってねーっ、ふふふっ、バカ息子を持つと大変よねぇーっ」
「まずは、編集済みのあいつらの一日を振り返ろう」
⋯⋯お母様。思いきり楽しんでますわね?
お父様も、元王太子を嫌ってるから、彼と恋人たちの破滅が楽しくてしょうがないのですね?
私も元婚約者は嫌いだから、破滅の一部始終を見れるのは嬉しいけどね。恋人たちの破滅は、正直どうでもいい。私には関係ないし。
いや、恩人ともいえる恋人たちの今後だけは、最悪にはならないように祈っておこう。ほんの少しだけ、悪いと思うから。あのアホを止めることができたのに、私はやらなかったから。
「皆様方、そろそろアペリティフをお持ちしてもよろしいでしょうか」
家宰が、カーティス一家に慇懃に頭を下げた。
「うむ。最高のワインを開けてくれ」
今日は、婚約からの解放記念と私の旅立ちのお祝いなのだから。
最高に良いワインで気持ちよく酔いたいわ。
「さて、まずは誰から観る?
ユーリ、おまえは誰から観たい?」
「そうね⋯⋯」
どういう順番にしようか。
メインは最初にするか、最後にするか。
楽しい上映会が始まる。




