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お城の自慢の庭を生中継したら王太子殿下が男と熱いデートをしていた  作者: 水桜


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10/18

それぞれの翌日3

トラブルは突然起きるものである。

貴族の子息令嬢や、裕福な平民の子らが通う学院ば、その日、招かれざる客の対応を強いられていた。


「離せっ、俺はここの学生だ。リグルド・ヴェント侯爵令息だ。

止められるのはおかしい。

この事はヴェント家から抗議するぞ」


学院の正門で、1人の男が門を守る3人の警備員と揉めていた。


「リグルド・ヴェント様には、既に退学処分が出ています。

もう学生ではありません」


リグルドは、昨日の生中継で王太子の恋人の1人だった男だ。

格式と品格を大切にする学院は、リグルドの在籍を許さなかった。もちろん、王太子もお断りした。


「は? 何で退学? しかも処分て?

私は名門ヴェント家の次男で、王太子の側近なんだぞ。

私を処分するってことは、ヴェント家と王家を敵に回すことになることが分かってるのか?!」


警備員の言うことが信じられず、叫びながら抗議する。


「先ほど、ヴェント家から緊急の連絡は受けております。

『謹慎中の愚息が制服を着て出ていったようだ。そちらに迷惑をかけるようなら、拘束して牢に入れて置いてくれ。至急、迎えに行く』とのことです」


警備員は、ヴェント家からのメッセージを読み上げた。


「牢って⋯⋯、その連絡は偽物だ」


ありえない。

迷惑をかけるとか、拘束して牢とか、私のことをそんな風に言うなんて、ありえない。


「今すぐお帰りになるか、ヴェント家から迎えが来るまで牢で待つか、どう致しますか?」


リグルドが門前で騒ぎ始めて直ぐに、ヴェント家に連絡を取っていた。

警備員たちにとって、いくら当主自ら「捕まえていい」と言っているとはいえ、高位貴族を捕縛はしたくない。

近いうちに貴族でなくなるかも知れないが、今はまだ、高位貴族だ。

そろそろ迎えが到着するだろう。早く来てほしい。


「ユーリ・カーティス嬢を呼んでくれ。彼女と話がしたい」


彼女なら、偽の連絡であることを証明できるはずだ。

私の価値を、彼女なら理解しているはずだ。


「ユーリ・カーティス様ですか?

お伺いは致しますが⋯⋯、少々お待ち下さい」


警備員の1人が、リグルドの要求を伝えるため学院の職員室へ向かった。


「おい、私をこんな所で待たせる気か?」


路上で待たされるなんて屈辱だ。


「申し訳ございません」

 

謝るが、中へは入れない。

危険を遠ざけるのが彼の仕事なのだ。



「リグルド様ですか⋯⋯」

授業の間の休憩時間であった為、リグルドの要求は担任教師により、ユーリに伝えられた。


「まあ、リグルド様。どういうつもりでユーリ様をお呼びになるのかしら」

「リグルド様、ご自分の立場がお分かりにならないのかしら」


ユーリと休憩時間を楽しんでいた令嬢たちが嫌悪感を表わす。


「もしかして、私に勝利宣言でもしたいのかしら?

俗な言い方になってしまうけれど、『おまえの婚約者を奪ってやったぜ』となるでしょう?」


貴族令嬢らしからぬことを言っているが、最高の淑女であるユーリにかかると下品に聞こえない。


「なら、リグルド様には『人生の敗北宣言』をしてあげなくてはいけないわね」


所用でユーリ達から離れていたエリザベスが戻り、話に加わる。


くすくす、楽しげに笑う少女たちは、敗北人生を送るしかないリグルドに対する同情や憐れみはない。


リグルドにも婚約者はいたのだ。

王太子同様、婚約者を冷遇し続け、婚約破棄の話し合いが始まっていると噂だ。


リグルドに好感を持つ理由はなかった。


「カーティス嬢、私たち教師としては、面会要求は受け入れないことをお勧めします。

ただ、ここでつけたいというなら、門越しに、今日来ているカーティス家の騎士、学院の警備員を側に置いて話をすることもできます。

どうしますか?」


教師の問いかけに、ユーリは迷わず返事を返した。


「会う理由がありませんわ。

今までリグルド様と言葉を交わしたこともありませんもの。

話すこともありません」


「わかりました。

そのように伝えましょう」


数分後。

門前のリグルドは、ユーリの返答に異議を申し立てたが、誰も相手にしなかった。

そして、迎えに来たヴェント家の騎士に馬車に押し込まれた。


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