六一話
年末・・・年末
『山で山賊が出た』恐らく伯父の発している言葉は真実である、しかしこの突飛な表現にテンドウはツッコミを禁じ得なかった。
「何言ってんすか、伯父上」
「俺も耳を疑ったさ! しかし物見の兵士がそう報告するもんだからよ、俺も首をかしげながらここまで来た次第よ」
「全軍が付かれているこの時分に虚実で騒がされたら堪ったもんじゃないですよ」
頭痛の種が増えそうな予感がした。しかしその海賊が敵対勢力で夜襲でもかけられたらそれこそ被害は甚大であるとテンドウは重い腰を上げてマサカリと百人未満の部隊を引き連れて情報を頼りに夜の帳の中へ出兵した。大将自ら出向くあたり革命軍の人手不足がしみじみとテンドウの心に突き刺さった。
到着したのは陣地から少し離れた場所にある山、険しく人も動物も滅多に近寄らないこの場所によもや海賊がいようとは誰も想像できなかった。
「ここら辺は確か該亭と言う地名だったか。ここらの土地じゃ一番海から離れている筈だが」
「テンドウよ俺は隊の半分を引き連れて調査する、お前はもう半分を頼む」
「・・・はい」
疑問が頭に引っかかったまま夜間の調査は行われた。馬を降り道なき道を踏み分けてテンドウ一行は一通り散策したが何もめぼしい成果は得られなかった。やはり偽の情報を掴まされたのであろうか。
「大将。コレ以上は無駄では・・・?」
「そのようだな。早く伯父上と合流しよう」
その言葉にその場の全員が頷き馬に乗って道を引き返し一番最初に分かれた場所に戻る、しかしそこにマサカリ達の姿は無かった。
「伯父上達はいない・・・長引いているのか?」
一応辺りを見回す、何の変哲もない景色。
「待つとする・・・か」
テンドウは部下達に休むように命じて少し辺りをほっつき歩いた。小枝が靴に踏みつぶされて軋むこぎみ良い音が響く。一分ほど歩いていると不意に足元の感覚が変わった事に気が付く。
「ん」
足元に目をやる。月明りに照らされた足元には顔面に大きな痣を作り気絶した兵士がいた、それも革命軍の。
「は? おい、どうしたしっかりしろ!」
「あ、あぁ・・・」
テンドウの叫びを聞き付けた部下たちも駆けつける。意識を取り戻しかけている兵士は口を動かして何か言いたげな表情を見せる。
「きょ・・・じん」
「は?」
「巨人・・・が」
「何言ってんだ、巨人でもいたってのか!?」
「あっ・・・あああ!」
突然兵士が錯乱したかと思うと後方に向かって指を指す。その方向に目をやると。
「え」
「逃げろテンドウ!」
「伯父上!」
敵意を宿した眼光の巨漢こちらに巨岩と見まごう拳を向けていた。
にゅういやあ




