五十八話
おそくなってしまった
反社会組織スクレイパーズとの激闘を終えて平穏を取り戻した『B3』の面々とオリオス国王女ナギサと従者はいよいよ三か月の留学期間を終えて帰国の途につこうとしていた。三日後に帰国となりただただこれまでの日々の余韻に浸るナギサは寝室のベッドで呆然と窓から空を眺めていた。
「姫、失礼致します」
「お、スライルか」
「遂に明日オリオス国に帰りますね・・・」
「あぁ」
少し溜めてナギサは物静かに語りだす。
「ここに来たばかりの頃はどうなるかと思ったが色々な人の協力でここまでやってこれた、今まで過ごしたどの時間よりも濃密な三ヶ月間だった・・・」
「また・・・これますかね」
「さぁな、でもまた来たいな。青の帝国」
驚かされることもあれば、嬉しい事もあったし、悲しい事もあった、大詰めの頃には命の危険さえ感じたが結果良ければ何とやらである。
「でも全ては無駄ではない、この三ヶ月間で得た知識は絶対祖国の役に立つ、私は絶対に国を繁栄させる」
「そのためにも私は姫様を粉骨砕身支えましょう」
「頼んだ・・・スライルよ」
月は依然輝きを失わずに空にある、きっと祖国から見ても遠い異国の地から見ても綺麗に見える事には変わりないのだろう。明日は早くから出発するので姫君は早めにとこについた。
護衛最終日とはいえ気は抜けない、またスクレイパーズの魔の手が襲って来るかも知れない。チタンはフィアーと組んで屋敷の護衛に当たっていた。
「長い様な短い様な時間でしたね」
「あぁ。襲撃さえ無ければ本当に良い時間だった」
「副隊長一人で何十人も倒したらしいっすね」
「あれはフールに押し付けられたんだ」
「でも戦う様はまさに鬼神の如くって言ってましたよ?」
「お、おぅ・・・」
フィアーはやや虚ろな目でチタンに問うた。
「そう言えば姫君が事ある度にチタンの事を話題に出すんだよな」
「へえ、御姫様に気に入られるなんて俺も鼻が高いっすね」
「う~ん・・・あれは単純に気に入っているって言うよりも」
「よりも?」
「なんか少女漫画のヒロインみたいなキラキラした目立ったぜ」
「へぇ・・・え?」
「アレ絶対惚れてたって」
「ないないないない!」
「ふーん」
何を言われても俺はラン先輩一筋だし、それだけ心の中で呟いて夜通しの警備を終えた。
てへぺろ




