五十四話
高校二年生になりました、書き始めて一年たったんですね
『姫! 御無事でしたか!?』
『あぁ・・・大丈夫だが少し休みたい・・・』
屋敷に帰って来るや否やスライスが形相を変えて心配して駆けよって来た。ニシキに抱えられた弱ったナギサを奪い取るようにして抱えて寝室へ連れて行き寝かせる。寝室に外出に伴った面々が一堂に会するとニシキはスライルに詰め寄った。
「スライルさん、あんた少しなら帝国の言葉わかるんだろ?」
「・・・・・・あぁ、ニシキさん」
「申し訳ない、こうなるとは俺の監督不行き届きだった」
「・・・!」
巨人はただ黙して拳を固めてニシキの顔面に大振りなパンチを御見舞した。肉が肉を打つ鈍い音が響く。さすがのタフガイも少し答えた様である。
「私の方も軽率でした、姫の持病に気が付けないなんて・・・」
「ッ・・・スライルさん余り自分を責めんな、うちの医者に治療は一通りして貰っているんだ安静にしていればすぐ良くなる」
「はい・・・」
「あんたも落ち着いて休んだ方が良い警備は増やしておく」
「かたじけない・・・」
先ほどの覇気は何処へやら、ぐったりとしたスライルは部屋を後にした。
所と時間は変わって屋敷に設置された用具を詰め込んだだけの『B3』の簡易トレーニングルームではフフィアー、フール、ドグマの3人が休憩で話しこんでいた。
「俺達が組み手してる時にあんな事してたんだな、隊長達」
「俺がフィアーをぼこってるときに・・・」
「いや、アレ組み手じゃないからね? お前ら2人が一方的に襲いかかって来ただけだからね? 一兵卒なら死んでるからね?」
「そんな事よりもスクレイパーズとかいうおっかねえ連中もいたもんだな」
「あぁ久しぶりに断海崩山号を振るいたかったな」
「あれれ? 副隊長の言葉無視?」
「資料では見た事あったが相当な過激派らしい、軍人崩れや格闘家を何人も抱え込んでいるらしい」
「ほぉ個人的にだが戦ってみたいもんだ」
副隊長を無視して話を進めるフールとドグマはそろそろ夕飯の準備かなと時計を見ると8時半だった、まだ平気だなスクレイパーズの話題を続ける。
「昼間チタンが襲撃を受けたがたかが10人じゃ俺達の後輩は倒せねえよ。アレは完全になめてかかった向こうの失策だ」
「まあ1年間死ぬ寸前まで追い込んで鍛えたからな」
「殺し合いなら隊長やフィアーにはまだ敵わないけど多分格闘技術は俺や戦闘員にも迫っているだろう、ランとも実力が拮抗しているしもっと経験を積めばもう1年か、
早くとも半年で追い抜くと思う」
「野生の勘?」
「うん、逆に言えば獲物は弱いうちに、あるいは弱らせて仕留めるに限る、執拗に追いかけまわしてな」
「あははなんかシリアスモードに入ってて副隊長ショボンだわ」
「熊は一度狙った執拗に追いかける、1日だろうが1週間だろうが。日に何回も襲撃することも珍しくないし、された事ある」
「ほぉ、その心は?」
「外に60、いや70人は誰かが居る」
荒れる夜の幕開けである。
ドグマの嗅覚は猟犬といい勝負




