五十話
ご、五十話
『外に行きたい』
年端の行かない行かない幼子にしてみれば至極当然の願望である、しかしその少女は一国の姫君であるが故にその願望は今日と言う日まで遂にかなえられる事はなかった。しかし人目をかいくぐって遠い異国に来た今ならもしかして・・・という思いが少女を突き動かした。
「ダメか・・・?」
「外っすか・・・」
「話は聞かせて貰った!」
「へ?」
声の方に目をやると扉に凭れかかったニシキとスライルが居た。スライルは神妙な面持ちだがニシキはにやにやしている。
「ナギサさん、街へ繰り出したいようだね」
「そうだが・・・」
「その望み、秘密警察が全力で協力して叶えてしんぜよう」
「本当か!?」
「うむ、先ほど『少々特殊な方法』スライル君を説得した。異存はないそうだ」
『・・・』
よくよく見れば互いに痣がある。どうやら組み手で決めたようだ、やり方の荒っぽさに呆れるチタンであった。
「でもショウケイ王子がなんて言うか分かりませんよ? てかココで問題起こしたら国家同士の問題になりますよ?」
「あ? お前こんな面白そうな事見過ごすのかよ?」
「(だめだ・・・! 好奇心に負けて立場を忘れてる・・・! てかスライルさんも何とか言えよ!)」
スライルは何処か悟った様な面持ちでこちらを見つめていた。
「よぉし! 善は急げだ! ラン!」
「ここに」
「姫君が外出されるそうだ、コーディネートを頼む」
「了解」
「(もう知らん)」
『・・・』
まるで台風の様にあっという間にナギサを掻っ攫ったランは部屋に連れて行き衣装ケースを開く。軍服やトレーニングウェアが掛けられているがそれ以上に私服が多い。
「ぐふふ、さぁナギサ様お召し変えですよぉ」
「ちょっと待て!」
「え?」
「そもそも私とラン殿では服の採寸が異なるだろう!」
「あ、そこですか?」
「いや、何と言うか・・・私には華美な服は似合わないと思うし・・・」
「大丈夫です! ナギサ様お人形の様に可愛いですから少しブカブカでもソレはソレで受けは良いですよ!」
「え、えぇ?」
少しばかり考えてランはクローゼットをいじりながらボソボソ呟いていた。そこから約三十分間試行錯誤を繰り返している間ニシキ、スライル、チタンの三名はただ待たされるしかなかった。フール、フィアー、ドグマ、チープはそもそも事情を知らないで筋トレをしていた。
なんだな




