四十二話
っうう
帝暦1306年の二月下旬、まだ寒さの目立つこの頃青の帝国は遥か南方の島国オリオスの通信使を迎えた。軍港は派手に彩られて国賓を一目見ようと国民が大勢集まり祭りを彷彿とする賑わいを呈した。正装に身を包み使者を迎え付準備を整え整列している軍人達も含め群衆の数多の目に件の使者が乗った船が目に捉えられた瞬間場はワッと盛り上がり徐々に熱気を帯びて行く、六将ダイダルの艦隊に守られた朱に染まった異国情緒溢れるその船に誰もが目を奪われた。やがて入港し異国の服に身を包んだ官僚たちが姿を現すや否や歓声が一層大きさを増す。官僚の戦闘を行くものがダイダルに連れられて軍の高官達の元へ導かれ挨拶を交わす、挨拶されたのは十将の筆頭ツァオ、警備を司る近衛部隊長官マスタング、身辺を警護する秘密警察『B3』隊長ニシキであった。
「盛大なお出迎えに深く感謝いたします、先進国である青の帝国に学べる機会を得られたこの幸運にも」
「遠路遥々よくいらっしゃっいました、滞在中は我等帝国軍が陛下の意向に従いその安全を保障を保障します」
リーダーと思わしき男とツァオが握手を交わす、百九十.二センチのツァオ程長身ではないが百八十センチは下らない男は列をなびかせて宮殿に向かう、皇帝に挨拶する為である。歓迎の宴で判明したがあの男はオリオス国の第一王位継承者のショウケイ王子というらしくどうりて所作に高貴さがにじみ出ていた訳だと皆は納得した。警護に当たる軍人たちは宴の会場で各々の仕事に勤しんでおりチタンはランとフールと組み仕事に当たっていた。
「ねぇフール、ショウケイ王子って彫が深いって言うか男前だよね」
「あぁ、それにガタイもしっかりしてるしアレは相当な使い手だな」
「何言ってんですか、真面目に警護してくださいよ先輩たち」
「馬鹿か、折角のパーティーなのに参加できず仕事だぞ。こうして駄弁って無いとやってられねえよ」
「そーだよ・・・こないだの別のパーティーでは誰かが乱闘騒ぎ起こすし・・・」
「あ、あの、その・・・その節はスンませんした・・・」
「いやーあの時は驚いたわ、俺と話したその直後にチタンがトウジンと喧嘩してたからさ」
「・・・」
「そうそう、なんか知らないけど物凄い剣幕でさ」
「あぅ・・・・・・」
ここまでぼろかすに言われては立つ瀬も無いと情けなくチタンは周囲に目をやった。異国の官僚たちが青の帝国の高官達と立食しながら談笑している光景が何処までも続いていた。現状では異常なしと心の中で呟きかけた矢先ある人物が目に入った。その発見をフールとランに伝えた。
「あのフール先輩・・・あそこの・・・」
「ん?」
指さした先にはパーティーで料理を運んだりするウェイターがいた、やたら背が高いという点に目をつぶり他に怪しい点を探せばやはり挙動不審だと言う事がやたら目につく。談笑に興じる他の者には気にならないだろうが客観的に見てやはり気になる。チタン達はその男をマークして暫く行動を見張る事にした。
「あいつ・・・何が目的で・・・」
「決めつける訳ではないがヤバい奴かもな・・・」
最悪な話この場でショウケイを暗殺しようだなんてケースも十分にあり得るのだ。そんな事は何が何でも阻止せねばならないがまだ男が黒だと言う証拠が無い以上三人は何処となく煮え切れないような、かゆい所に手が届かないようなかんかくだった。
「あぁ・・・もどかしいな・・・もうぶっ飛ばしちゃおうかな・・・」
「ラン先輩、抑えて」
「お前の柔道では分が悪い、此処は俺が・・・」
「いやいやフール先輩も何言ってんですか」
「身長は二メートル前後、体重は目分量で百キロは確実に超えているね」
「ったく、ウェイターじゃなくてもっと兵士とか似合うのに化けろよ」
「まぁまぁ」
なんて話しているとウェイターが動いた、トレイに幾らかの料理を乗せて会場を後にする。この広い宮殿の何処に行くのかとチタンとフールは尾行に、ランはニシキに報告に向かった。長い廊下を何度も曲がり武具を置く倉庫に行きついた、鍵を開けようともたつく隙を突き二人はウェイターに声をかけた。
「おっと、何をなされてるんで?」
とチタンの方から声をかける前に相手が気が付くと振り返り明らかに敵意を込めた目線を向けていた。
「っ・・・!」
「おぉ・・・本気モンの目だわ」
「先輩・・・あいつ」
「あぁ強いな」
「っうおおおおお!」
刹那、男は食器を飛ばして飛び散った料理を眼潰し代わりに二人に特攻して来る。期せずして戦闘になった状況に男二人は極めて冷静に立ち向かった
うう




