四十一話
あけおめ
帝暦1306年、年も明けて元人狼のチタンが秘密警察『B3』に補欠として加入して約一年経とうと言う時分、青の帝国に(下っ端にとっては)突然一ヶ月後に遠い異国からの使者が来るとの一報が入った。その件の国は青の帝国から見て遥か南方に位置する島国オリオスといい歴史で言えば三百余年程の独自の文化を持つ国家で民族的なルーツを辿れば青の帝国と同じ大陸の同じ地域に暮らしていた人々が新天地を求めて南方の島国へ移り住んだとされている。十将始め『B3』隊長ニシキ、近衛部隊長官マスタング、その他の部隊諸々の長は予てからその情報を共有しており帝暦が変わるとともに各々の部下にこの事を打ち明けた。
「オリオス国から使者が来るから秘密警察はその警護ね。あ、使者の泊まる所の警備は近衛部隊の人達に任せてるから俺等は主要人物の方の警護だね」
「情報がアバウトすぎじゃありませんか?」
「え、そぉ?」
「そーだぞフィアー、何でも聞こうとすんな、自分で考えろ、自分で」
「あっ・・・?」
ニシキのアバウトな説明に突っ込んだ副隊長フィアーにさらに突っ込んだ戦闘員のフールのお馴染みのイジりが炸裂したところで『B3』定例会議は本格的な確認作業に入った。
「んまぁアレだ、噛み砕いて言えば偉い人の周囲を守ればいいのよ。部隊は今のところ分けないで臨機応変に対応していく方針だ」
「えぇー非戦闘員のチープ除けば立った六人で要人守れなんてブラック過ぎますよ・・・」
「近衛部隊の連中に押し付けりゃ良いんじゃないスか?」
ちなみに年の瀬にチタンとトウジンが拳を交えたのは両者の蟠りは勿論、二つの部隊の連携をより円滑に取る為の一種の措置、早い話が和解の為のやや強引な方法としてニシキとマスタングが考えた結果であった。それ以降チタンとトウジンの二人には妙な親近感が芽生え友人と言えるほどの関係にはなりつつあった。
「今回はあくまでドンパチが目当てじゃなくてその逆だ、分かってると思うがフィアー、戦場と同じノリでフールと討ち取った敵の数を競おうなんて思うなよ?」
「思いませんよっ! てかなんでイジりの矛先俺に向いてんの!?」
「いいじゃん面白いし」
「当事者は堪ったもんじゃねえよ!」
「うるせえぞ、喚くな副隊長」
「そうだそうだ」
「う・・・」
ドグマとチープのカップルのダブルアタックにあえなく撃沈した副隊長は余所に定例会議は終了した。その後普段通りの午後の鍛錬に入った隊員達はオリオス国の通信使の事は忘れたかのように日常に馴染んでいった。かくして一か月は何気なく過ぎた訳だがこの時『B3』に待ち受ける運命を誰も知る由は無かった。
おめあけ




