四十話
貴重な四十話目をこんな事に使っちゃったよ
とりあえず、自分が寝そべっている事は目を開ける前に分かった。記憶を辿る限り自分は近衛部隊のトウジンと決闘をしていた筈である、考えられる可能性は決着が付き気絶して何処かに担ぎこまれたと言う事だけである。頭痛をこらえながら身を起こすと見慣れた『B3』の詰所の自分の部屋の景色が広がった。
「あれ・・・俺・・・」
「あ、目ぇ覚めた?」
「え」
声の方向に振り向いて思わず声を上げた。目線の先にはランが居たのだ。それも少しあきれ顔でこちらを見ていた。
「隊長から聞いたよ・・・トウジンと喧嘩したんだってね・・・」
「え、あぁいやっアレは喧嘩って言うか・・・」
「喧嘩は喧嘩でしょうが! あんなに無茶苦茶にぶん殴り合ってアンタはグレてた頃の私の弟かッ!」
「さーせん・・・」
「まったく・・・それに何か私の事叫びながら戦ってたとか・・・」
「いやぁ、殴り合いよりもソッチの方が盛り上がっちゃって!」
「あぅ・・・」
「あの、そんでもって聞きたいんスけど・・・」
「ん」
頭を抱える先輩にチタンは尋ねた、昨日の勝敗を。
「あぁ・・・勝敗ね・・・」
「へい」
「んまぁ・・・私から言うよりも・・・ちょっと! あんたから言いなさい!」
「?」
すると扉からあの鬱陶しそうな前髪をくねらせたトウジンが現れた、無論チタンの攻撃で手負いな為に顔が少々歪んでいるので判断に時間を要したが。
「あんた・・・」
「ランちゃんが言えって言うからわざわざ来てやったんだからな・・・」
「(え・・・ツンデレ・・・?)」
「ほーら、早く言うの。こんな下らない争いを終わらせなさい」
「う・・・っまぁ昨日の決闘。お前は覚えていねえみてえだがお前の勝ちだ・・・」
話を聞くに昨日二人は足を止めてぶん殴り合い続けた、戦いは接戦を極めたが偶然張ったチタンの一撃がトウジンの顎に命中して結果トウジンは脳を揺らされ戦闘不能、体力が限界に達していたチタンも倒れて相討ちと判断されかけたが戦場に置いて『先に倒れる=命を失っている』というシビアな戦闘経験豊富な大人二人の審判で先に倒れたトウジンの負けとされた。
「納得はいかねえけどな・・・今回は人狼、お前の勝ちだ・・・本当に納得いかねえけど・・・」
「うるせえ、こんなボロボロになって何が勝ちだ、多分前歯欠けたわ」
「ったく、ともかく俺は今後長官のもとで更なる修行を積む。全てを終えた時お前にリベンジする。分かったな? だから・・・」
「あ?」
「だから! それまで誰にも負けんじゃねえって言おうとしたんだよ!」
「(やっぱツンデレ?)」
「ははっ、すっかり仲良くなっちゃって」
その一言を言い終えると、ランは突然部屋の出口に向かって歩き出す。
「え、先輩何処行くんスか?」
「忘れたの? 今は午後練の時間だよ? チタンは手負いだから今日一日は休んでなさい。トウジンと話してなさいな」
「はぁ!? そりゃないぜランちゃん!」
「(いや、俺も御免だから)」
「そんじゃあねぇ~」
取り付く島も無く去っていくランに二人は呆然とするのみだった、トウジンはベッド近くの椅子に腰かけて急に語りかけて来た。
「それはそうとさ・・・ジャージのランちゃんって可愛いよな・・・」
「は」
「だからさ、あの短パンから見え隠れするスパッツと言い発達したしなやかな筋肉が良いよな・・・」
「なに遠い目で語ってやがる」
「うるせえ、確かにお前はムカつくが俺レヴェルのコアなランちゃんファンに近い臭いを感じるんだ・・・」
「んまぁ・・・たしかに首筋とか鎖骨とか・・・エロいよな・・・」
「それ。訓練中に髪の毛縛りあげる仕草とか艶めかしいよな!」
「いや個人的には炊事当番でのエプロンとかヤバい」
「は。名にソレ超気になる」
こうしてチタンは好敵手(?)を得たのだった。そして新たな物語の始まりは刻一刻と迫っていた。
オリオス国のお姫様は必ず出てきます信じて下さい




