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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
北方騎馬民族連編
38/65

三十八話

年内最後よ

 不意に始まった秘密警察『B3』と帝国近衛部隊との謎の食事会は特別盛り上がるだけでなくそれぞれの長が酒を酌み交わして終わった。近衛部隊側のトウジンに関しては途中退室している、この事をチタンは始終疑問を感じいた。



「(正直な話、俺アイツの事苦手だから助かったっちゃ助かったよな・・・)」



 恐ろしく長期な物に感じた催しもつつがなく終了した事を安心しつつ一行は料亭を出た。ニシキとマスタングの両雄の背中を拝すチタンは今後の展開がいまいち不安だった。何がさて二件目での食事を終えた三人は次なる目的地に脚を進めていた、一時は次はどんな店なのだろうと浮かれていたチタンであったが歩き続けるにつれて人通りの少ない場所に向かっていくのが分かった。恐る恐るニシキに聞いても。



 「ついてからのお楽しみな」



 としか言われない。事の真偽を確かめる術は無いので黙って二人の背中を追っていくと帝国の西に位置する練兵場に辿りついた。



 「あれ、ここって・・・」

 「お、いたいた」



 ニシキの目線の先には見覚えのある人物が忙しくシャドーをやっていた、暗かったので確信は持てなかったが目が慣れて来るにつれて嫌な汗と共に謎が解けた。



 「うむ。イイ感じに温まってるようだな、トウジン」

 「オス、長官」

 「んじゃあチタン、俺が相手になるからちゃっちゃと準備体操終わらせんぞ」

 「え・・・いやいやちょっと待って下さいよ!?」




 まるで世界が三人を中心に回っているかのように感じていたチタンは思わず口を開いた、やれやれと言わんばかりの表情でニシキが上着を脱ぎながら言った。



 「いや、何って。タイマンに決まってんじゃん。お前とトウジン君の今後の関係の為に俺とマスタング

で話し合って素手喧嘩すてごろで解決させりゃいいじゃんってなったのよ」

 「へ? いや、タイマンって・・・あの時は完全に俺の逆恨みで・・・」



自分の非を認めているチタンにとってこの決闘は何の意味も持たない物だった、無駄な血が流れるだけの無益な戦い、そう思っている。するとトウジンが凄んで叫んだ。



 「逃げるのか人狼ッ! あの宴での貴様は何処へ行った! 俺は貴様に一方的にやられた事が悔しくて長官とニシキさんに土下座してまでこの決闘の場を設けて貰った、しかし貴様は敵前にしてその牙を隠し逃げる言い訳をしている、見損なったぞ腰ぬけめ!」

 「・・・」

 「ここまで言われちまったぜ? どーする?」

 「戦う理由が・・・ありません・・・俺の身勝手で招いたトラブルです・・・」

 「ほう?」



 

 ここで何かを思いついた顔をしたニシキをマスタングとトウジンは見逃していなかった。突然踵を返してチタンの胸ぐらをつかんだかと思うと声を張り上げて語りかけた。



 「てめぇ! いつからそんな弱気な男になったんだ!? 少なくともこの半年間で俺はお前を何処に出しても恥ずかしくねえような強い男に鍛え上げたつもりだ、てかお前めっちゃ強いよ、青の帝国で数えらる位の兵だ! ソレがどうだ、自分が悪いだか何だか知らんが弱気になりやがって! 自分の非がどうした、戦場じゃそんなもんまかり通らねえんだよ! 自分を太く通せ!」

 「うっ・・・」

 「それとお前! あの時トウジンに戦いを挑んだのは好きだったランにちょっかい掛けられてたからだろうが!!」

 「へ」



 静寂が訪れた、チタンは赤面した、というか自分がランが好きなのだとバレていたのかという驚きの方が大きかった。



 「好きな女に手ぇ出されて喧嘩も出来ねぇ奴なんざ男じゃねえ! 人狼の名が聞いて呆れる!」

 「うぅ・・・えぇ・・・その・・・」



 刹那ほどの時間でチタンの頭の中では様々な葛藤が行われた、とりあえず逃げたい、しかし逃げればランの事を好きだと認める、だが好きだと言う事がばれている以上逃げても意味が無い、なら戦うしかないのか? 要するに投げやりになったチタンは―――



 「ああぁああぁぁああぁぁああ!! ります! りますから!」



 無造作にシャツを脱ぎ捨てて、臨戦態勢に入った。


 

 「ようし、十分後だ。かかってきな」

 「かかってこいやああああ!」

 

信念は何時かな

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