三十三話
あはは
皇帝からの招待を受けた軍の関係者が一堂に会したところで労いの宴は開始した。今回の功労者の秘密警察『B3』は皆の中心になっている事は言うまでも無く新人ながら活躍したチタンも高官たちに囲まれて身動きが取れない状態になっていた。元々他人と話す事が苦手なチタンは言うまでも無くたじろいていた。
「入隊から半年たらずでここまで武功を上げるとは流石ニシキさんの部下ってところですな」
「まったく羨ましい限りですよ、我々はレイ将軍に片っ端から敵を先に討たれてしまいますから」
「は、はぁ」
「俺も『B3』に移籍してーや」
「いやいや、移籍してもランちゃんには敵わないって」
「そーすか・・・」
今さっき判明した事であるが現在の青の帝国軍の各部隊には『B3』の士官学校出身組の同期性が以外と多くいることにチタンは気が付いた。今話しているレイの部下もランの同期生だという。辺りを見回してみてもフールやチープも同期生を思わしき人たちと楽しげに会話に花を咲かせていた。
「でも。俺なんて先輩達に比べたらまだまだですよ・・・」
「なにを言いますか、ニシキさんがチタン君は伸び城の塊だって言ってましたよ?」
「そうそうこのまま成長すれば確実に帝国指折りの実力者になるって」
「あ、マジすか」
ニシキに褒められていた事は素直に嬉しいがそろそろ社交辞令に満ちた会話が煩わしくなって来た。出される食事は美味しいが普段の詰所で食べるドグマの作ってくれる食事が恋しくなってきたチタンだった。やっとこさべた褒めの会話から抜け出して会場をぶらぶら歩いていると賑やかさとは無縁な隅っこで一人呆けているフールを見つけた、身内を見つけた嬉しさと何故一人でいるのかと言う疑問がチタンを突き動かしていた。
「先輩」
「ん? チタンか」
「どーして一人でいるんスか?」
「あいーいや・・・ちょっとな・・・」
普段明るいフールが何処か落ち込んでいる様な風に見えたのでなにやらただ事ではない様な気がして来たチタンだったが何となくではあったが疑問が頭の中で解決した。
「うん。さっき同期と話してたんだけどさ。また一人俺の同期が殉職したって聞いてさ・・・なんか覚悟していた筈なのにちょっと気分が萎えてしまってな・・・」
「そうでしたか・・・」
普段自分も置かれている状況が余りにも特殊な為に感覚が薄れていた、自分の先輩は一人一人が一騎当千の猛者の怪物ばかりで自分も順調に育てられていけばその怪物達と肩を並べる事になるのだ。曲がりなりにも自分が強者である故に負けるなどを考える事を忘れていたチタンはその延長線で自身が殉職する事を考えて戦っていなかったのだ。フールの話を聞いて自分の認識の甘さと戦争の怖さを一度に叩きこまれた様な感覚に陥った。
「軍人だから仕方ないとはいえ、悲しい事ですよね・・・」
「そうだな、良い奴だった。けど青の帝国を守る為に俺達は既に命を預けているんだアイツは少し早く役目を果たしたんだよ」
そうやや早口に言い終えたフールには何とも言えない哀愁を感じた。押し殺している深い悲しみが滲んでいるのが見て分かる。フールは頭を掻きながらチタンに言った。
「すまんな暗い話して、行ってこいよ俺はもう少しここににいるからさ」
「でも・・・」
「馬鹿野郎、実質俺達『B3』が主役みたいなモンなんだからよ、みんなお前の話を聞きたがっているんだから行ってこい」
「・・・はい、それじゃ。元気だして下さいよ? 先輩」
「お前に心配されるなんてな」
「ハハっ、心配しちゃいました」
事が起きたのはこの直後である。
うふふ




