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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
北方騎馬民族連編
30/65

三十話

ふぅ・・・

 話はニシキとマースイの話し合いが決着する数十分前に遡る。護衛と言う立場で付いて来たチープの足が疲労で震えだした頃、先輩の身を案じてチタンが声をかけるより前に北方騎馬民族連側のすらりと精悍な顔立ちで首筋のタトゥーが特徴的な護衛がチープの様子を気にして声をかけて来た。



 


 「あなた・・・そんな重たそうなもの背負って長時間立ってるけど大丈夫なの・・・?」

 「あ、大丈夫です・・・多分・・・」




 重たそうなものとはチープが護身用に開発した武器の『毒霧ポイズン・コール』の事だろう。言葉では取り繕っても顔の疲労は隠し切れていない。チタンはこう提案する。




 「先輩、俺が持ちますよ」

 「いや・・・ここで情けないところ見せたら軍の威信に関わる・・・!」

 「そりゃそうですけど・・・!」

 



 そうは言っても十分醜態を晒している気がするが突っ込まずにいた。すると第一印象から『イケメン』と仮定した方から手を差し伸べて来た。



 「ちょっと待って君がこの塊を持って、私がこの子を介抱するから」

 「え」

 「え」



 

 反論もする間もなく『イケメン』は『毒霧ポイズン・コール』を降ろさせて自身はチープを抱えてどこぞへ行こうとする、それも御姫様だっこで。敵の塩を送ってもらうどころかここまで気を使われたら軍人としてこの上ない辱めになりかねないので慌てて止めに入るが。




 「ダメだよ。この子どう見ても軍人じゃない非戦闘員だし、このまま立たせてたら倒れるよ? いくら敵でも弱っている人を見殺しにするのは戦士のする事ではない」

 「いやいや、悪いですって! 先輩は俺がッ・・・」

 



 現に件の非戦闘員は安堵の表情を浮かべてぐったりとしていた。『イケメン』は振り切って言う。




 「じゃあこの先の空き部屋で休ませて来るから」

 「あ、ちょ!」




 もう一人の護衛に「諦めろ、将軍はああなったら止められんと」諦めを促されてチタンは食い下がってしまった。もしもあの武士の情けを装った敵の策だとしたらチープはまんまと敵の捕虜にされてしまった訳だある。取り返しのつかない事になったかもしれんとチタンは落胆する。やがて事を終えたニシキとマースイが退出して来る。ニシキはチタンを見つけるなり話書けて来る。





 「おいチタン、チープは何処行った? 『毒霧ポイズン・コール』だけ残して」

 「それが・・・」



 説明が終わった後。




 「あー・・・やっぱアイツには過労だったかぁ・・・」

 「スンません、俺が付いていながら・・・」




 なんてやり取りをしていると突然マースイが二人へ寄って来て言った。




 「すいませんニシキさん、うちの姉が勝手な振る舞いをしたそうで・・・」

 「いや気にするな。将軍の居場所はどこだ? そこに部下もいる筈だ」

 「はいコチラです」

 「(あ、さっきの『イケメン』って女性だったんだ)」



 各々の思いが交差する中マースイの案内でヒスイの居ると思われる天幕へ到着するなり中からヒスイが顔を出した。




 「あれ? もう終わったの?」

 「あぁ終わったよさぁ将軍ニシキさんの部下を解放するんだ」

 「いやぁウチの部下が世話になってるようで」

 「(介抱してた奴を解放www自重しろwww下らんギャグ自重しろwww)」



 天幕の中ではぐったりとした非戦闘員が布団で横になっていた。額には濡れた布が置いてある。ニシキはチープをチタンに背負うよう命令してヒスイに礼を述べる。




 「すいませんなヒスイ将軍、情けない限りです部下を介抱していただいて」

 「いや、こちらこそ御節介だったようでして・・・」

 「あと」

 「ん?」

 「マースイといい、貴女と言い・・・よくここまで立派に成長なされました。カンスイを彷彿とするよ」

 「あ・・・」

 「おっとコレ以上は、じゃあ我々はこれにて」




 その一言だけを残して秘密警察の一行は去って行った。取り残された姉弟には今後降伏の決まった北方騎馬民族連の面々の説得と言う使命が残っているがそれはまた別の話である。




 

ラウンドツウ

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