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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
蕉海ウォー・タイプ海賊団編
23/65

二十三話

新章突入、勢い乗ってリア充殺す

 橙連邦近郊の蕉海での青の帝国海軍部隊と世界最強の大海賊船団ウォー・タイプ海賊団連合との合戦は細部は一部の人間が情報の細部をもみ消してダイダル率いる海軍の勝利という形で彩られた。海賊団は消息不明となりダイダルは青の帝国の英雄として取り上げられた。しかしウォー・タイプことハイルイとの決闘により大怪我を負い無事では無かったのだが。軍部は早速英雄に治療を兼ねた休暇を与えた。青の帝国最高レヴェルの病院に入院しているダイダルは退院までの退屈な時間を窓から見える不変の景色を眺める事で過ごそうと思っていた予定という未定を潰すつもりだったが今日と言う日にとある来客があり穏やかには過ごせなかった。その来客とは―――



 「・・・」

 「あぁーメル? そんなに泣くなよ? なッ? 心配かけて済まなかったと思っているよ・・・?」

 「グスッ・・・馬鹿」

 「ごめん・・・」

 「ッ・・・どうして・・・」

 「え」

 「どうしてダイダルさんは何時も戦う度に大怪我して帰って来るの・・・?」

 「いやソレが仕事だからさ・・・でも僕は何ともないし―――」

 「何が無事なんですか!? 海賊に左肩を槍で貫かれたって、どう考えても尋常な怪我な筈ないじゃないですか!」

 「ごめんな、お腹の子供にも・・・心配かけたな」

 「馬鹿馬鹿馬鹿・・・こんな体になって・・・」

 「メル・・・」

 「私が、どれだけ心配したと思ってるんですか・・・? 戦いには勝利したとは聞きましたがダイダルさんが重傷と新聞で読んだ時には・・・もう涙が・・・」

 「僕の事をそんなに心配してくれて、有難う」

 「たしかにダイダルさんは青の帝国を守る重要人物です・・・だけど、私はダイダルさんが傷ついてほしくは無いんです・・・うぅ・・・何よりも、お腹の子供の為にも・・・」

 


 メルの涙交じりの懇願にダイダルはただリアクションを見失った。大粒の涙をボロボロと零すメルはダイダルの逞しい腕を握りしめて泣きじゃくった。ふと目をやって目に付いた膨らんだの中にいるお腹の子供を抱えた体で自分の事を心配してくれる妻の頭をダイダルは優しく撫でた。にわかに涙が収まったメルは照れながら返す。


 「頭撫でるのは・・・反則です・・・」

 「(かっ可愛い・・・!)」

 「約束してください・・・お腹の子供の為にも・・・絶対に死なないでください・・・」



 愛する妻の涙の懇願に『海の天災』と恐れられているダイダルも心が動かない訳が無かった、メルの手を握り返して強く言い返す。

 

 

 「分かった。僕は絶対に君たちを残して死んだりはしない。約束する、国も守るしメルもお腹の子供も守る」

 「本当ですか・・・?」

 「当たり前だ。だからもう泣かないで」

 


 ダイダルはメルの涙を拭き強く抱きよせる。今しか味わう事の出来ない平穏な時間がずっと続けば良いと二人は思った。誰も踏み居る事の出来ないテリトリー内には医者でさえも治療が目的でも入る事を躊躇った。病室の外では見舞いに来ている十将のメンバーが立ち往生していた。



 「ったく・・・見舞いに来てみりゃ・・・ダイダルの野郎。入りづらいじゃねえか」

 「いいじゃないか、愛する妻との大切な時間だ。今回の戦いの一番の功労者のダイダルにはそのくらいは有っても良いだろう」

 「みんなで見舞いに行こうって言ったら案の定、陸軍フェルゼンは来なかったな」

 「立場と言う物ががあるだろう。気持ちは渡すさ」



 十将の筆頭、ツァオと、十将三番手の憲兵団団長のリュウセイは壁に凭れながら言葉を交わしていた。先ほどから刺さっている看護婦からの眼差しは気にならない。



 「神虎シェン・フーもエグイな。敵じゃなくって良かったと思うぜ、毎回」

 「アイツの作戦のお陰で俺達十将が常勝と言われている節もあるんだ。感謝しなくてはな」

 「海からダイダルと共に帰還して早速次の戦いの作戦会議だぜ? 十将おれらって物凄くブラックと思われるぜ?」

 「連合軍がよからぬ事を企んでいる今日こんにち軍隊おれたちに休んでいる暇はない。帝国領内うちがわの安全は憲兵団おまえたちに一任しているんだ、頼むぞ? リュウセイ」

 「わーってるよ・・・えぇーっと今回ウォー・タイプを撃破したから・・・次遠征するのは・・・あぁッ、七将レイか」

 「レイだな」

 「文明から離れた蛮族どもに近代兵器のレイの軍をぶつけるとは大人げないな」

 「国の憂いを晴らす為に躊躇う必要はない」

 「そーかね・・・」



 次なる戦いの舞台。それは青の帝国から見て北西に位置する騎馬民族が自治する土地。その地名を西涼セイリョウと言い古くから青の帝国と戦いの歴史を持つ。帝国は文明から離れた生活をする彼らを蛮族、匈奴と蔑み連合軍に加担すると分かるや否や早速攻撃対象に定めたのだった。討伐隊の大将には近代兵器を整えた七将レイを据えた。



 「にしてもさ・・・俺達が戦って国力は消耗するし。平和が一番だよな・・・」

 「その平和の為に戦っている」

 「(その考えって。忠誠って言うよりは信仰だよな・・・ロリ皇帝に毒されたか・・・?)」



 二人は時を見計らってダイダルの病室に入り見舞いを済ませて詰所に帰った。青の帝国は晴天だが遠い西涼の地は曇天だとある占い師が言っていた気がするリュウセイだった。







 

 原作者は三国志が好きである。特に武将が逞しい馬に乗って敵と戦うバチバチの戦闘が好きだ。騎馬と聞くだけで興奮を禁じ得ない変態である。こんな吉川栄治の三国志第四巻以来の作者が突然コメントする暴挙を犯したのはコレから登場する騎馬民族のキャラクターに人一倍強い思いを込めているからであり、また歴史を語る上で重要性を含む、長きにわたって近代に至るまで戦場の主力として駆けた馬への一種の敬意と。ケンタウロスな美人人妻が好きなケモナーとしての使命を背負っているからと思う。




 一般的には未開の地と知られるその地は青の帝国ではよく比喩的な表現に用いられる。例えば子供をしつける場合『蛮族に食べられるぞ』と。実際に食人習慣カニバリズムは彼らには無いが如何に彼らを野蛮で低俗な連中と見下しているかがうかがえる。だが貿易などで交通網が発達した現代において少なからず西涼の地に文明が届いていないとは言い切れなかった、なので正しく言うのならば『文明と離れている』のではなく『文明を拒絶している』と言える。



 

 かつてまだ青の帝国が成立したばかりの事。西涼の騎馬民族逞しい騎馬を武器に幾度となく帝国と刃を交えて来た。結果は戦う度に引き分けとして歴史に記されている。そして一世紀前に和議を結んで戦わない時期を得て現代の戦乱の時代に突入して再び火花が散ろうとしていた。



 西涼に点在する幾つかの民族や小国家と志を同じくして大規模な同盟を組んだ。仲間たちから盟主に抜擢された北方騎馬民族連の金剛バジュラ族のマースイは今日も盟主としての職務に励んでいた。



 「さて。我等北方騎馬民族連が生き残るか滅びるかの瀬戸際にお前たちは・・・」

 「族長・・・申し訳ありませんでしたアァァ!」

 「お前たち・・・俺は情けないぞ。こんな事で一々軍法会議を開くなんて・・・」

 「その・・・余りにも殺伐とした戦場にあって気が触れた我々の小隊は・・・」

 「女っ気が無いのは重々承知だ。我慢しろ」



 盟主マースイが今若輩の戦士を叱責しているのは言い様によっては実にどうでもいい理由だった。前日の夜中、どうやら軍にふしだらな行為を働いた不届き者がいるらしいという噂が広まった。罪状は女性の入浴を覗いたとの事、何故男たちの軍隊に女性が居るのかと言う疑問は別として軍の風紀を乱す者を放ってはおけないとマースイは容疑者を問い詰めたところ自白した。



 「まぁアレだ、確かに将軍ねーちゃんは見てくれだけは人によるが良いからな・・・」

 「族長・・・如何なる処罰も小隊長の私が甘んじて受けます・・・」

 「おいっマースイ入るぞッ!」



 いよいよ判決を下そうとした矢先に突然女性の声が天幕に届いた。足早に割り込んで来たその女性は族長であるマースイに伏さずにズカズカと歩み寄り椅子の肘かけに足をかけて怒鳴った。



 「私の裸見た野郎を勝手に処罰しようとしてんじゃねえ! 身柄を渡せ!」

 「ね、ねーちゃん・・・それはちょっと・・・」

 「戦場ここで『ねーちゃん』は止めろッ!! ヒスイ将軍と呼べ!」

 「しょ、将軍。いちおう軍法会議の最終決定権は族長であり盟主の俺に・・・」

 「関係ねぇ! こんな風紀を乱す奴がいちゃ戦の足並みが乱れるんだよ! 盟主おまえは生ぬるいから私が直々に処罰してやる!」



 北方騎馬民族連盟主マースイの姉、ヒスイ将軍は知らない、男たちにとってヒスイその人に直接お仕置きをされる事がどれだけ喜ばれるかと。男勝りで何かと一般とはズレのあるヒスイにとってそれは想像に難い事柄だった。



 「ったくよ。手前らも男ならそんなウジウジしてないで、裸見たいなら正直に言ってみろや! 私で良かったら何時でも脱いでやるわ!」


 

 そう言ってヒスイは鎧着の上半身を乱暴に脱ぎ捨て一糸纏わぬあられもない姿を晒す。鍛えられた筋肉は勿論、大きく揺れる胸のソレがその場にいるマースイも含めて男たちのオスの部分を感化させる。言わずもがな覗きを働いた一兵卒たちは慌てふためくがマースイは落胆の色を隠さずにヒスイに服を着させる。



 「将軍・・・この者たちには厳重な処罰を与えるとして・・・服を・・・」

 「おう、悪かったなカッとなっちゃった。お前ら! もうこんな事すんじゃねえぞ? 戦いが終わったら女作って楽しめ」

 「はい・・・」



 マースイの取りなしで事なきを終えて一兵卒たちは天幕を重い足取りで退出してゆく。その後ろ姿を見届けて姉弟きょうだいは大きくため息をついた。ヒスイは呟く。



 「おい族長」

 「ん?」



 ヒスイはマースイに耳打ちする。先ほどの怒号とはうって変わってか細い声で―――



 「二人きりだから、お姉ちゃんって呼んでもいいぞ?」

 「・・・」



 戦場の騎馬乙女と称される荒々しいヒスイのイメージとはかけ離れた、母親のような包容力のある優しい声だった。






 六将ダイダル(の嫁)・メル・(22)

   149センチ 

   ?キログラム

    B型

  特技・暗記、暗算、因数分解

 嫌いな物・『作者の伝えたい事は何か?』的な国語の問題

 (VC・茅野愛衣)

   Bカップ



 実家は青の帝国の高級官僚の家系で学校も名門女子大の幼稚舎から通っていた超お嬢様。高校の時修学旅行で遊覧船に乗っていた時に海賊に襲われて乱暴を働かれる寸前の所を当時海軍の出世頭だったダイダルに助けられて一目ぼれする。『海軍の高官なら・・・』と父親が人脈をフル活用してダイダルに接触を図り十九歳で結婚した。育ちが良い故に子供が出来る過程と仕組みを親からはぐらかされていたらしくダイダルと初夜を迎えるまで作法を知らず『東南アジアの絶滅危惧種のコウノトリが赤ちゃんを運ぶ余裕がある筈ないだろ・・・』と夫に突っ込まれた。控えめながら夫への愛情が深く出勤前に行ってらっしゃいのキスを求めるも身長差56センチの差はあまりにも大きく子供扱いされては拗ねている。夫婦で歩いていると兄妹と間違われる。

  







 

いけピジョン! まちおこしだ!

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