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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
秘密警察『B3』編
17/65

十七話

 なんで小説書くか。コレしか出来ないからだ

 見上げて空、見下して木製の床、左右を見渡して真っ青な大海原、ついでに斜めも見渡して大海原、自分はこんな綺麗な折に閉じ込められているのかと気持ちが塞がれてまさに八方塞がりの体現者こそ『海の皇帝』と人々にアダ名され、この乱世に仇なされて紆余曲折あり打倒帝国を掲げた男。十五代目ウォー・タイプ海賊団船長ウォー・タイプ(本名はハイルイ)である。この世界において『陸の天下は青の帝国が、海の天下はウォー・タイプ海賊団が』とさえいわれるほどの規模と実力を誇る大海賊は現在世界三大海洋に数えられる桃海を航海中である。傘下の海賊船七十隻を従えて橙連邦を経由して赤国の連合軍本拠地に合流するのだ。しめて部下の数は五万人、いずれも世界各地で名を馳せる海賊はいまや官軍として潮風を身に纏い悠然と船を進める。



 「大船長。掃除終えたそうです」

 「うむ」



 大船長と呼ばれる男はハイルイその人だ。部下からの報告を受けて掃除が終わったばかりと言う食堂へ赴きその三白眼を目を皿にして観察する。やがてコートを脱いでシャツの腕をまくり部下の手から箒と塵取りを奪い取って掃除を始める。


 「お前たち何を突っ立ている」

 「え」

 「全然なっていない!! やり直すぞ!!」

 「はっはい!」


 ハイルイの渇で部下たちは再び掃除に取り掛かる。これがウォー・タイプ海賊団の風物詩と揶揄される掃除する船長である。噂によるとウォー・タイプ海賊団の船『穿海はかい』号には武具よりも掃除に関する道具の方が多く積まれていると言われている。大船長ハイルイは世襲制の海賊団の中にあって下積みから経験した大船長は歴代でもハイルイだけでる、几帳面に雑用ばかりやって来たハイルイからすれば船の掃除の行き届き具合が気になるのは無理もない話だった。


 「オイッ!! ソコの!!」

 「ハイ!?」

 「窓の拭き方が下手過ぎるぞ!! 貸せ!」

 


 突然ハイルイの怒号がしたかと思うと入団一年目の新米が窓の拭き方で叱責を受けていた。気迫のこもった教え方に新米は若干涙目になる、戦闘の訓練でも此処まで厳しくないのに・・・、とでも言いたげな顔だった。


 「いいか? 窓ってのはただ表面を拭けば良いんじゃない、ちゃんと木枠の部分や鍵の取りつけられた金具に付着した汚れもふき取るんだ。やってみな」

 「はい・・・」

 「声が小さい! 俺が下積みの頃はもっと厳しかったぞ!!」

 「はっ、ハイ!」


 その周りで掃除を手伝うそこそこの古株たちは特に気にする仕草も見せず手慣れた手つきで掃除を続行する。新人は鼻をすすりながら窓に喰らい付いて拭き掃除を続ける。ハイルイはその光景を見て食堂の担当に終わったら報告するように告げて部屋を後にする、他の雑務を片付ける為である。廊下で仲間と合流して船長室へ歩き出す。その内副船長のシュウが訪ねてきた。


 「大船長。相変わらず厳しいですね」

 「バカ者。厳しくしなければ何事も身につかん。仮に海賊生活に根を上げてカタギに戻ったとしても掃除一つで根を上げるような輩がカタギの世界でもまともに働いて暮らしていけると思うか? シュウよ」

 「思わないです」

 「だよな? だから俺はお前がガキの頃に厳しくした」

 「ご指導有難うございました・・・」

 「まぁお前の弟の方はもう少し教育が必要なようだが」

 「俺っすか!?」


 会話の流れの中で入って来たのは副船長シュウの双子の弟の舎弟頭ユウだった。この双子はハイルイがまだ一端の戦闘員だった時に教育を任された元孤児たちだった。若き日のハイルイに鍛えられた双子はすくすく成長して今では知略の兄は副船長、腕っ節の弟は舎弟頭という役にハイルイが十五代目ウォー・タイプの名を襲名すると共に就いたのだ。今では一味の両翼を担う貴重な戦力である。


 「して大船長、橙連邦の連中は俺らを受け入れるでしょうかね」

 「同盟組んでいるんだ。疑うなよ」

 「でも橙連邦って各国の中でも一番青の帝国と付き合いの長い国でしょ? もしかして敵と通じているなんて・・・」

 「ユウ、変な事を言うな」

 「でもシュウ兄ちゃん。帝国あちらには凄腕の軍師がいるって話だよ? 一計講じられてもおかしく無くない?」

 「それはそうとお前たち。最近の航海の様子はどうなんだ」

 「はぁ。ここ一週間で突然小競り合いが止んで少し気味が悪い、と言ったところでしょうか」


 

 シュウの言う小競り合いとはこの場では青の帝国海軍部隊との戦闘を指す。赤国の同盟に参加する事を決めて合流すべく赤国への旅路の途中にソレをさせまいと海軍の追手が妨害をして来る。海軍の軍艦に遭遇して交戦した傘下の船は七十隻中五十二隻といよいよ対策を考えなければと思っていた矢先にその小競り合いがぴたりと無くなったのだ。これは敵の策略なのかは誰にも知る由はない。


 「少なくともあと二日も船を進めれば橙連邦に到着する。それまでの無事を祈ろう」

 「俺もう魚には飽きたっす」

 「お前は三日くらい何も食わなくても平気だろうがユウ」

 「・・・」


 一般的に海賊とはある国家の統治権の有効性の有無でソレと見なされる場合がある。その海域の国が海賊を統治すればそれは海賊とは呼べないし、国によっては海賊を買収して水軍に吸収した一団を海賊と形容する場合もある。形は様々ながら彼らは商人としての一面も有しており商品ものは色々で奴隷から異国の特産物まで多種多様、仮に商売が干上がっても武装してどこか余所を襲えば良いし縄張りから通航料を取るのも手である。また前記の様な勢力から護身の為に自ら武装して海賊行為をする例も見られた。一概には言えないだろうが海賊かれらはその時代を映し出す鏡とも言える、その時代が裕福で人民の心まで豊ならば彼らの様な存在は生まれる事も無いだろうし現代いまの青の帝国を中心とする動乱の時代ならば彼らの様な力を持った集団が力に物を言わせて生きてゆく。



 ウォー・タイプ連合の海賊旗は一つの髑髏に剣と槍が交差したマークである。これは初代ウォー・タイプとそのの腹心を表しており、まだ小さな勢力だった頃腹心達が槍と剣を取り初代大船長を支えた逸話に由来している。十五代目の時代で腹心に当たるのがシュウとユウであった。ハイルイが育て上げた双子は戦場に置いて圧倒的な戦力となる、兄の長槍使いと弟の剣士は紛れも無く当代きっての使い手である事は人々が知るところだろう。身長が二百三十二センチの双子は百八十九センチのハイルイの背後を常に守っている。これがハイルイが鉄壁と言われる由縁である。




 「大船長。今回は赤国へ向かう航路ですが途中で海軍との交戦も覚悟してたってのに呆気ないですね・・・」 

 「無事なら良いんだ。被る被害は少ない方が良い」

 「そうだよ兄ちゃん。船長の言うとおりだって」

 


 ハイルイの言う事はそれはそれで正論だったがシュウの言う言葉にもそれなりに無視しきれない要素を含んでいた。ここまでの航路で連合艦隊が海軍の妨害を受けたのは合計十回、妨害と言えるほど事は受けていない、ただ威嚇射撃をされてしばしば航路を変更したくらいだったが損害は弾薬が少し、といった具合である。少なくともハイルイの中ではこんな姑息な事を思いつくのは青の帝国では一人くらいしか心当たりが無い、それは十人の大将軍の副将神虎シェン・フーである、策略に富んだ狡猾な男に潰された連中の話はよく耳にする。赤国主宰の同盟に合流させまいとする作戦が既に練られているとすればもう発動されていて自分たちは術中に嵌っているのかもしれない。何がさて此処までの航海で大した被害も被らずに目的地に到着できたことにハイルイは安堵を覚えるのだった。






 ウォー・タイプ連合海賊団・大船長・十五代目ウォー・タイプ(本名ハイルイ)(37)

  189センチ

  99キログラム

  (VC・大安洋貴)

   血液型不明

  大切な物・船、部下

  嫌いな物・汚いモノ


・桃海を掌握する大海賊。傘下の海賊団は七十を超えて各々の縄張りを合わせると世界の海面積の六割に達するので実質世界の制海権を持っている。幼い頃に故郷を十四代目ウォー・タイプ海賊団に襲撃されて家族と離れ離れになり雑用をさせられており仕方なく真面目に働いていたら思いのほか出世して今では十五代目の名を襲名している。雑用時代に似たような境遇の子供と仲良くなったがその子供とも離れ離れになり孤独に耐えながら生きて来た。掃除に五月蠅く少しでも手を抜くと本気で怒られる、あまり装飾品は好まず実用的な行くそうにこだわり部下からは『もう少し大船長らしくして下さい・・・』と言われている。副船長のシュウと舎弟頭のユウの教育係になってからほぼ今の部下思いの人格が出来上がったとされる。海賊らしからぬ一面も持っており遭難した船なんかを見つけると助けずにはいられない。

 単純に可愛い女の子よりも、良い子と形容される子のほうが萌える

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