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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
秘密警察『B3』編
14/65

十四話

 俺が! 満足するまで! 書くのを! やめない!

 月明りが夜の帳を照らし出す頃。ホウスウは幹部に召集を掛けて会合を開いていた。話の内容は来週にも正式な加入が決まっている連合軍についての事である。



 「じゃあ野郎ども。俺等は来週にも使者を交わして正式な傘下となる。いいな?」



 上座に座するホウスウは最後のまとめの言葉を繕う。一同は顔を見合わせて何か言いたげな様相を呈する。



 「どうした? 意見があるなら言うんだ」



 ホウスウは発言を促す。そして一人が口を開く。



 「しかし若。加入して物資の援助を受けられるのは良いが元は軍人の高官だった連中が山賊おれらを心の中で見下してはいませんかい?」



 とある一人が意見を口にした。その言葉に賛同する物は続出した。

 


 「たしかにそれは思うな。いかに志を同じくしたとは言えども元々は良い所の出身である連中が俺達を見下して良いように扱って有事に際しては切り捨てられる事が考えられなくもないのでは?」

 「そうだ、盟主の赤国のムサシ、紫国のテンドウ、橙連邦のトウカンの三者がどんな腹づもりかは分かりかねる。まぁ北方異民族連のマースイと大海賊団のウォー・タイプ一味は同じならず者の穴の狢とみなせるが・・・」

 


 身分制度が存在するが故に生み出してしまった社会の軋轢、彼らの発言は的を得ていた。連合の盟主ムサシ始めどのメンバーも各国の名門ばかりである。そのような輩たちと肩を並べて戦えと言われても不安を感じるのは無理もない話である。社会のならず者、クズと散々に蔑まれてきた彼らの心にはいつからか憎悪を通り越したカタギと上の人間たちに対する一種の恐怖が影を落としていた。

 


 「しかしだお前ら、急に先代を失い、領地を減らすばかりの俺等はもうこのみちしか残っていねぇんだ。お前らの言う見下されない為にも親父の仇の秘密警察の戦力くびを引っ提げようにもだ、もう時間がないんだ。分かってほしい・・・」

 


 いかに性根が粗悪で乱暴なホウスウでも急逝した先代オシドリに変わって一味を安定させる為にこの様な道を選択したのは想像には難くない。

 


 「ですが若。あの女どうします?」

 「処分は追って下すさ。目の前の問題よりも遠目の問題を見据えた対応が必要だ」

 


 最終的な判断を下すホウスウ自身が一番不安なのは誰しもが理解していた。まだ二十歳と少しの若者の肩にはに大きな問題がのしかかっていた。夜の帳はついに場の静寂をも支配し始めたかと思えて生きた頃、一人の見張りの兵士が血相変えて会合を開いていた部屋に飛び込んできた。

 


 「頭っ! 一大事です!!」

 「どうしたぁ? 誰か飯でも喉に詰まらせたか?」

 「違います!! 敵襲です!!」

 「あああぁあ!?」

 


 見張りのその一言はその場を一瞬にして震撼させた。先日の作戦で先代がやられて一味は大打撃を受けたのに直接アジトが襲撃されたら大打撃どころの話では無く一味は一たまりもないだろう。場の混乱と動揺を収めるべくホウスウは檄を飛ばす。

 


 「野郎どもっ! 聞いたかぁ!? 迎え撃つぞぉお!」

 「応ッッ!!」

 


 渇を入れられた山の男たちは足早に戦場へと赴いた。






 夕日は山に隠れて日も暮れようかという時分。秘密警察『B3』と帝国警備隊の共同チームはもう山賊の残存勢力の掃討作戦に取りかかろうと言う直前だった。『B3』はアジトを直接襲撃して敵をせん滅、その討ち漏らしか逃走した兵士を捉えるのが警備隊の役目である。作戦の出発地点でニシキは部下たちに言葉を掛けていた。



 「いいかぁーお前たちぃ。この作戦は人様と世間様に迷惑を掛ける山賊君たちを殲滅させる事だ。今日はハメ外して思いっきり暴れても良いぞぉ~」



 「質問でーす隊長」

 「なんだドグマ?」

 「捕まっているランの身柄は?」

 「心配ご無用。既にチタンが自分に突撃の役目を任せてほしいという意を汲んでいます」

 「ほうほう。じゃあ俺達は後方支援ですか?」

 「暴れていりゃいい。仮にアジトで最初にランの姿を見つけた奴が助けてもよし。好きにしろ、それに伴う結果の責任は幾らでも取ってやる」

 「流石隊長。どっかの副隊長とは大違いの寛容だ」

 「フール手前ぇ・・・!」



  何時も通りフィアーとフールの口げんかが勃発しかけたが作戦の時刻が訪れると全員でアジトへ向かう。なおニシキは指揮を取ることと警備隊との意思の疎通の為に後方にて作戦を支持する。チタンは副隊長のフィアー、戦闘員のドグマ、フールと共にアジトを目指す。考えてみると敵として戦った経験ことはあっても味方として戦うのは初めての事である。何となくではあるがこの上なく頼もしい気持ちが沸いてくる。若干緊張気味の時分とは対照的に落ち着き払っているを通りこして散歩にでに出てきたのかと思う位明るい先輩を見て僅かに戸惑いを禁じ得なかった。無意識に呼吸が荒くなるチタンにフールは話しかけて緊張をほぐそうと試みる。

 


 「これが初任務だよな? 頑張れよお前がランを救って王子様になってやれ」

 「お、王子様って・・・」

 


 フールは真一文字に穿たれている鼻頭の傷を撫でながら語りかける。

 


 「教えてやるよ。俺さ、初任務で一番槍の武功を上げたんだけどさ。よく見てみると裏表前後逆でさ」

 「え」

 「ふっ、そんな事あったな!」

 「あぁ。アレは傑作だった、抱腹絶倒モンだったわ!」

 


 フィアーとドグマは感想を述べる。

 


 「全くだ、手袋も裏表逆だったしさ」

 「そんなミスを先輩が・・・!」

 


 チタンはその強さに憧れさえ抱いていたフールの予想外のエピソードに拍子抜けする。心なしか体の震えは止まり歯ぎしりも収まった。

 


 「ハハっ・・・俺もちゃんとしとかないといけませんね」

 「頼むぞ今回はお前が鍵だ。俺達はお前を全力で援護する」

 「はい」

 


 フールはチタンの頭をクシャクシャと掻きまわして得物の断海崩山号を片手で素振りの様な動作で振って見せる。柄が空を切り裂いく太い音が定期のリズムを刻む。もう歩いて十分もしない内にアジトに到着しようかと言う距離に至りフィアーが改まって口を開いた。

 


 「何と言うさ。何処となく気になっていたから聞くがチタン」

 「はい?」

 


 フィアーは言う。

 


 「お前、ランの事好きだろ?」

 


 予想だにもしない質問にチタンは吹きだしていた。どうにか平静を保とうともがく様を見て三人は悟った。

 


 「な、こんな時に何言ってるんですか!」

 「ん~いやさお前。訓練の休憩中とかさランの事凝視してたろ?」

 「分かる。もしかしたら? って思ってたら案の定だったな」

 「お前も隅に置く事が出来んなチタン」

 「うっ・・・」

 


 赤面してしまった。どう言い繕おうとも先輩たちの言うとおりである。

 


 「そのランを助け出してカッコイイ台詞セリフの一つでも言えりゃ完璧じゃねえか、なぁ?」

 


 ドグマがケタケタ笑いながら茶化して来る、繰り返し言うが彼らはこれから命を賭して戦うべく戦場に赴いているのである。これほど余裕の態度を取れると言うのには自分の腕に余程の自信があるのか、チタンはまだ疑問に思っていた。自分の命が掛かっているのに自分より曲がりなりにも後輩の事ばかり思っていると言う事はやはり実力に自信ありと言う事なのだろうが―――

 


 「おっし、着いたねぇ」

 「副隊長フィアー。足引っ張るなよ」

 「あ?」

 「先輩達・・・落ち着いてください・・・」

 


 かくして一行はアジトの入り口まで辿りついた。やたら重厚な扉に守られている。此処に来てようやくチタンは大勢に自分たちだけで突入する作戦の無謀さを実感した。が、それも介さずフィアーはドグマにある事を促す。

 


 「それじゃあドグマ。その馬鹿力で頼むわ」

 「うん」

 


 ドグマは獲物の峻龍をフールに預けて扉の前に立つ。そして二呼吸置いて腰を落として左手を前に出し握りかためた右拳の露わになった第二関節を天に向けて構える。ドグマの姿勢ソレはチタンがニシキから訓練で基礎の基礎を少しだけ習った東洋の『カラテ』と言う武術らしい。そのカラテと並んでランもジュウド―とかいう武術を身に付けているらしいが実際に目にした事はない。そのカラテは薄い板位なら簡単に拳で割れるらしいがその理論はなしの延長線上でいけばドグマは今からあの分厚い鉄の扉を拳一つ、正拳突きで吹き飛ばそうとしているのだろう。チタンは不安を感じてフィアーに尋ねた。

 


 「副隊長・・・! ドグマ先輩アレを拳で・・・」

 「そうだ。俺らがこっそり忍び込んで内側からカギ開けるより楽だろう。そもそも今回はドンパチが目的だからな」

 


 なんて拍子抜けな会話をしていると。

 


 「誰だ! おい皆! 曲者だぞ!」

 


 砦の見張り台に構えていた兵士に気付かれた。向こうは二、三人集まり弓矢を構えているが三人は動じない。ドグマは開眼して右拳をグンと突きだす。そのモーションとほぼ同時に、恐らく達人ドグマの拳が速すぎて錯覚を起こしているだけだが鉄の扉は鈍い大きな音をが鳴りながら遥か後方に吹きとんだ。吹き飛んだのは扉だけではないその周りの壁も少し持っていかれていた。人外と言っても差し当たりない腕力と技術にチタンは腰が抜けそうになった。

 


 「フールありがとう」

 「おつかれ、拳大丈夫か?」

 「うん」

 


 自分のやった事の重大さがいまいち解せていないのか、ドグマは特に表情も変えずにフールから峻龍を受け取る。目の当たりにしていたフィアーもフールも特に驚いていない。

 


 「(これが・・・秘密警察せんぱいたちの実力の末端・・・)」

 


 本当に腰を抜かしている見張りをよそ眼にフィアーは声を張る。

 


 「そんじゃあお前らぁあ! 今夜は思いっきり暴れてやんぞ!」

 「応ッッ!」

 


 眼前に集合しだした山賊の軍団に四人は突っ込んで行った。

 徹夜を続ける程度の能力

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