十二話
キャラクターには二種類いる、文章に登場する前に既に細かい設定が頭の中で出来上がっているキャラクター、もうひとつは既に死因が決定しているキャラクターである
陣営の空気はまるでチタンの心持に比例して下降していく。チタンはニシキに面と向かって事態を報告できる度胸も合わせる顔も持ち合わせてはいなかった。
「それでチタンよ、報告はどうした? ダンマリしてちゃ何も伝わらんぞ」
「・・・」
もし自分にもっと力があればあの場でランを助ける事が出来たのかも知れなかった、そんな類の考えばかりが頭の中を徘徊しては火花のように残滓をチラつかせながら消える。
「第三偵察班・・・任務の途中・・・・・・敵襲に逢い・・・ラン先輩を、捕虜に・・・」
「それだけか?」
「っと・・・」
チタンの反省と後悔の気持ちに驚嘆の気持ちが混じり始めた、何故なら仲間が敵に捕らわれたと言うのにニシキ始め他の隊員もあっけらかんと落ち着き払っているのだ。自分はランの身が心配でこんなにも動揺していると言うのに何故こんな冷静なのだろうか。
「お前たちの任務はなんだ、敵地の情報を持ちかえる事じゃないのか? 敵陣営に何か変化があればそれを見て隊長の俺に報告する、そうやって黙り込む事じゃねぇだろうが」
チタンは恐る恐る口を開いた。
「その、敵は新たに護衛・・・を雇っていました三人。一人は小柄な少女、もう一人は大柄な拳法家と思しき大男・・・最後の一人は確認できませんでした・・・」
「で、その戦力は?」
「いずれも一流の腕前かと・・・、そいつらを戦力の軸に統率が取れていた様子でした・・・」
「そうか」
ニシキはそれだけ言って葉巻に火を付けるて白い煙を吐き散らす。暫くの沈黙の後フィアーが口を開いた。
「隊長、そいつらもしかして・・・」
「あぁ、どうやら三兄妹らしいな」
「ご存じなんですか?」
一服しているニシキに変わりフィアーが答える。
「あぁ、ちょっと有名な連中でな。山賊みたいな賊に手を貸す様なケースもあれば商人や政治家まで幅広く手を貸す護衛兄妹でな。三番目にシズカという少女、二番手にベンケイという大男、んで指揮官にヨシツネという長兄の三人だ」
「まさか今回の標的に付いていたとわな」
何時の間に葉巻をつい尽くしたニシキが葉巻を踏みつぶしながら言った。
「あの・・・隊長」
「ん?」
「今回の俺の失態は・・・どう償えば・・・」
チタンの言葉に対するニシキの答えは実に意外なモノだった。
「アホか、お前は」
「え」
予想外と言わざる終えない言葉に別の意味で言葉を失うチタン、ニシキは続ける。
「今回の件は力の及ばなかったお前の責任でもあるかもしれん。だが先輩として新米のお前を下手に危険に危険に晒して敵に後れを取ったラン自身の責任でもある、痛み分けじゃねえか」
「しかし・・・! 今こうしている間にも先輩は敵に酷い目に合わされているのかも知れないのに・・・!」
「更にアホかお前は」
最終的にはあきれ顔でニシキは言い放った。
「俺の部下に拷問一つで根を上げるような柔な輩はいない、寧ろお前はどうだ? 自分を信じて伝達と言う重要な任務を任せて命を救ってくれたランを信じずに動揺して次どうすべきかという考えを放棄しているじゃねえか」
「っ・・・!」
言われてみれば、とまでは行かなかったが少なくとも考え方が変化した、とだけは言えるのだった。あの時ランは自分を信頼していてくれた、それに気付けなかった自分の未熟さが嘲笑に値するものだったと今さらチタンは気付いた。
「そんじゃあ情報は集まった、作戦会議に移行するぞ―――」
クヨクヨして仲間の窮状を憐れむのではなく、その仲間の為に最善を尽くすべく行動する。これが自分のすべき事、そして自分の正直な思いとをチタンは悟った。
「(ラン先輩・・・俺が、俺が絶対助け出してみせます!)」
ギュッと握りしめた拳で必ずやこの思いを晴らすべくチタンたちは作戦会議に勤しんだ。
目は開いている筈だが視界が開けない、案の定目隠しをされているらしい。口の猿轡や自分を椅子に縛り付けている縄がキツく自分の地肌に食い込んでいる。肌寒い当たりどうやら衣服は簡易な下着だけで身ぐるみを殆ど剥がされているらしい。
「(そうか・・・私・・・)」
ランは少しづつ自分が今の状況に陥った理由を思い出していく。完全に思い出し終えてからタイミング良く誰ぞの足音が近づいてくるのに気が付いた。それが自分の数歩手前で止まったかと思うといきなり光が差し込んできた。
「御機嫌よう、囚われのスナイパーさん」
一番最初に目に飛ぶ込んで来たのは憎たらし笑みを浮かべたホウスウの姿だった。鬱陶しそうな長髪を耳にかける女々しい仕草のあとに続ける。
「こうして見ているとただの女だよなーアンタ」
目隠しに続いて外されたばかりの猿轡の感触に慣れないながらランも返す。
「口説いているつもりかしら山賊さん?」
「そりゃあ良いね! こんな稼業やっていると野郎ばっかりで女と中々縁が無
いんでな!」
ホウスウはこれでもかという距離まで顔を詰めよっていきなり話を切り出した。
「無駄な問答はここまでにしようやランちゃん? あんたにしてほしい事はアレだ。秘密警察『B3』の情報をゲロして貰う、そして俺達に力を貸して欲しい」
相手の要求はランの予想通りだった、捕虜を味方に取り込むのは無い話ではない。卑怯でもなく立派な兵法の一つだ。戦争をする者が兵法に従うとは言え全てが筋書き通りに行くとは限らない。当然の如くランの返答は―――
「断る」
きっぱりと、凛と、ハッキリと、濁りなく言ってやった。
「・・・」
ホウスウの表情は何かを決めた様な顔になったかと思うと何の前振りもなく大きくうねりを付けてランにパンチを放った。無抵抗のランは大きな音を立てる椅子ごと倒れる、頬の大きな痛々しい痣はランの美少女の顔を曇らせた、唇も切れている。ホウスウは再び問う。
「もー一回質問するぞぉ。俺達に付け、ラン。痛い目見たくなかったらなぁ」
切れた唇から流れる鮮血を舐め取り余裕を表情を絶やさないランは悠然と返答する。
「しつこい男ね、だから断るって」
「そうかそうか―――」
ホウスウは突然大股で歩み寄ったかと思うと次の動作でランの腹に乱暴な蹴りをお見舞いする。一発、二発、三発、四発と容赦なく蹴りがランに降りかかる。
「いい加減にしろよなぁ! 手前らに親父が殺されてから山賊団の領地が減るや傘下がどんどん離反して行ってよぉ!」
今度の一撃は鳩尾にヒットした。
「がはっ・・・!」
「その程度で根を上げるなんて、鍛え方が足りねえんじゃねえか?」
鍛えられたランもこの一撃には怯んだ、それとお構いなくホウスウは攻撃を止めない。
「それで仇打ちにと人狼の野郎を味方にしようとしたらどうだ!!?? お前らの仲間になっているじゃあねえか!! ふざけんなよ! どいつもこいつもよぉお!!」
最後にその足でランのその艶やかな銀髪を踏みにじりながらホウスウは一息に言いきった。息を整えながらナイフで拘束の縄を切断したかと思うと後方に構えていた仲間に合図を出した。
「いいぜ! その強気が何時まで持ちこたえられるのか試してやらぁ! おい野郎ども、俺らの味方になると言うまで好きにしていいぞぉ」
「待ってました!」
「久しぶりの女だぁ~ヒッヒ!」
ホウスウが監獄から下がると部下たちは下品な笑みを携えてランに歩み寄る、下半身の隆起した部分を見るに自分のこれからの運命が簡単に予想できた。敵に捕らえられた女性軍人が慰み者になるなんて掃いて捨てられる程前例があるのだ、実際士官学校に在籍中にも教官の口から、特に女子生徒は耳にタコが出来るほど聞かされていたことを思い出す。
「おっ良く見りゃあ良い女じゃん」
「全くだ、大将が傷ものしちまったけど・・・まぁ俺等は首から下だけでも十分楽しめるからなー」
そう言って男たちは下半身の履き物を脱ぎ捨てて一糸纏わぬ姿を晒す。特に主張が激しい股下の部分にランは目線を注いだ。アレにこれから自分は―――身ぶるいを禁じ得ない。
「そんじゃあお嬢ちゃん、たっぷり楽しませて貰うぜぇ」
「離せっ! けだもの!」
所詮は多勢に無勢、アッサリと組み伏せられて自分の恥部を相手に晒す構図となる。初めての羞恥の体験にランはただわめいて抵抗するしかなかった。
「見たところ、まだ処女っぽいなコイツ」
「何それ、上がるぅ~」
「やっ、やめろ!―――」
二時間後、後に残ったのは、うら若き乙女の鮮血と愉悦に満ちた男たちの高らかな笑い声のみだった。ランはぐったりと床に寝そべり目に生気が見受けられなかった。陰部からの流血がおびただしくあの男二人に散々に嬲られた。これが慰み者の運命か、とさえ考えられなかった。
「おうお前ら、案配はどうだい?」
少し間を置いてからホウスウが牢獄を尋ねてきた。過程と結果を部下は報告する。
「あっ大将。それが三十分過ぎたあたりから気絶してしまって・・・」
「収穫ゼロか」
「ヘイ・・・」
ホウスウは部下をやって水を汲ませてランに浴びせるとランは朦朧とした意識を正常に取り戻した。
「逆賊共め・・・・・・」
曖昧な意識の中でようやく出てきたランの罵りにホウスウは何事も感じていないかのように返す。
「何とでも言えよ、あんたが俺らに組するまで続けるけどね」
ぐったりとしながらも鋭い視線でランは睨みつけながら返答する。
「私はね、無駄な問答が嫌いなの山賊さん」
二時間前の様に暴力を浴びせられるうのかと思ったがホウスウの行動は真逆だった。
「ふん、野郎どもコレを俺の部屋に連れてこい」
ランは抱えられて廊下を引きずられる。どの道自分は慰み者になると言う決定事項は変わりないのだろう、ここら辺で元々疲弊しきったランは意識を失った。
ランちゃんはレズ受けがいいです




