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⑥
~3か月後~
深い夜の静寂の中、ルカスは机の上で最後の仕上げを終える。
彼が作り上げたのは、掌に収まるほどの小さな小さな魔術具だった。
「・・・できた・・・・。長かったぁ・・・・。」
ルカスは、安堵と達成感で作業机に倒れこんだ。
以前の調理鍋のような巨大な鉄の塊ではない小さな小さな魔術具。まだ複雑な魔術回路は組めないため機能も一つしかない。けれど、彼にとっては、半年の苦闘のすべてが詰まった、かけがえのない宝物だった。
ルカスはエリアスに投げつけられた『初等部基礎』の教科書を開いた。表紙は何度も読み返したせいで擦り切れ、ページを開けばエリアスのメモにさらに追加する形でびっしりと彼自身の考察が書きこまれていた。
ルカスはふらつく足で立ち上がり、完成した魔術具を大切そうに胸ポケットへしまう。
もう、魔力に頼るだけの自分ではない。
「・・・魔術は、広くあれ・・・・・。」
口の中で、その言葉をそっと反芻する。
窓の外では、王都の夜明けを告げる鐘が鳴り響いていた。
ルカスは顔を洗い、身なりを整える。埃を払った作業着を着込み、あのフォン・ヴァルテンベルク家の工房へ向けて、まっすぐな足取りで家を出た。




