聴取記録:リノリー・ベルモンヌ子爵令息~3月19日 午後2時45分 王城内聴取室
―フィール子爵令嬢があなたの腕を『復活』させたという話を誰かにしましたか?―
はい、生徒会メンバーのアレクサンドル殿下と、その時、殿下と一緒にいたビンセントに
―教会に報告する案件だとは考えませんでしたか?―
すみません、思い浮かびませんでした…
―まあ、いいでしょう…あなたの腕を治した際、フィール嬢は自分の事を『聖女』だと名乗りましたか?―
いいえ、彼女は自分が聖女さまだとは言っていません
―では、ベルモンヌ子爵令息。貴方が最初に彼女が『聖女』であると口にしたのですね?―
はい、そうです。
―彼女は何か言ってはいませんでしたか?―
何か、ですか?
何か…
えっと、確か…
そう、この事は誰にも言わないで欲しいと、確か、そう言っていました。
―誰にも言わないで欲しいと言われたのに殿下達に話したのですね―
あっ!
―忘れていたのですか?―
あの時は興奮していて…
―今、思い出したと?―
すみません
―私に謝罪する必要はありません―
…
―その他の人にこの話はされましたか?―
僕が話したのは殿下とビンセントにだけで
あ、でも、彼女が聖女さまであることは生徒会から全校生徒に向けて発表しました
―フィール嬢はさぞかし戸惑ったことでしょうね―
え…?
―話を戻しましょう。卒業式の日、バスティア侯爵令嬢を糾弾する側にいたのは何故ですか?―
バスティア嬢が聖女さまに無礼を働いたからです
敬うべき存在の方を迫害するとか言語道断ではありませんか!
だから、僕は卒業式に殿下がバスティア侯爵令嬢の悪事を皆の前でさらけ出し聖女さまを保護するという案に乗ったんです
―バスティア侯爵令嬢がフィール子爵令嬢に嫌がらせをしていたと考えたのは何故ですか?
え?何故って…皆そう言って…
―皆とは誰の事ですか?―
え…生徒会のメンバーや一部の令嬢達や…
それに殿下もそう仰ってましたし…
違うんですか?
―まだ調査の段階ですので、違うかどうかは定かではありません。嫌がらせについて、フィール子爵令嬢はなんと仰っていましたか?―
聖女さまはバスティア侯爵令嬢から嫌がらせなど受けていないと
―フィール子爵令嬢はまだ『聖女』と認定された訳ではありませんので、『聖女』と呼ぶのはお控えください―
あ、すみません
―フィール子爵令嬢自身が否定しているのに貴方は噂のほうを信じたのですね?―
え…?
―本日はありがとうございました。また伺う事があればご連絡いたします。
えっと…はい




