聴取記録:王太子アレクサンドル・エラ=ブロックバルド殿下~3月19日 午前11時 王城内応接室
―突然のことでバタバタしており、聴取室の使用許可が間に合わず急遽応接室をお借りして聴取させていただきます―
場所などどこでも構わない、気にするな
―ありがとうございます。本日中には聴取室のご用意ができるかと思いますので…では早速いくつかお伺いさせていただきます―
ああ、良いだろう
―昨日の事です。何故あの場であのような騒ぎを起こしたのですか?―
エレオノーラは狡猾な女だからな、言い逃れのできない多くの貴族の面前での弾劾が一番効果的だと思ったんだ
現に今だってあんな非道な行為をしておきながら、一向に認めず否定し続けているではないか…素直に認めれば良いものを
-バスティア令嬢がやったという証拠があるのですか?―
ボロボロに引き裂かれた教科書や壊されたアリサの髪留めや汚されたハンカチなどは証拠として保存している
―その物をバスティア侯爵令嬢が壊したという証拠はあるのですか?もしや目撃者が?―
…見たという者は見つかってはいないが、私は彼女だと確信している
―被害者であるフィール子爵令嬢は犯人の姿を見ていないのですか?―
いずれも彼女がいない時間に行われた様だ
…卑怯者め
―確認されているのは物を壊されるという嫌がらせだけですか?
いや、幾人かの女生徒に取り囲まれ酷い言葉で罵倒されたこともあるらしい
これも恐らくエレオノーラの指示によるものだろう
彼女は女生徒達の頂点に居る様なものだからな
あいつがひと言呟くだけで取り巻きの女どもは尻尾を振って言うことを聞くだろう
―殿下、少しお言葉が過ぎます。すべて記録に残りますのでお言葉にはお気を付けください―
…すまない、気を付けよう
―フィール子爵令嬢からバスティア侯爵令嬢の所業だと訴えがあったのですか?―
いや、アリサは優しくて良い娘だからエレオノーラの筈がないと言っている。
―では、一連の嫌がらせがバスティア侯爵令嬢によるものだと考えているのは殿下だけだということですね?―
いや、私だけではなくサミュエルやビンセントにリノリーもエレオノーラの仕業だと考えている
―フィール子爵令嬢への嫌がらせの件についての質問はこれで終了です。続いて子爵令嬢が『聖女』であるという件についてです。彼女が『聖女』であると一番初めに口にしたのは何方ですか?―
リノリーだ
私はリノリーから彼女が聖魔法を使用したという報告を受けた
聖魔法で腕の怪我を治してもらったそうだ
聖魔法が使えるのは『聖女』のみだろう?なので、私達は彼女を『聖女』と認識したのだ
―怪我の治癒は水魔法でも行えますが、聖魔法で間違いないのですね?―
リノリーは聖魔法だったと言っている。あいつは魔法科の人間だ、間違えることはないと思うが?
―そうですか、では、ベルモンヌ子爵令息にもお話を伺う必要があるようですね。聴取室の使用許可が下り次第ベルモンヌ子爵令息にお話をお伺いした後、殿下には再度聴取室にてお話をお伺いさせていただきたいと存じます。恐らく明日になってしまうかと思われますが大丈夫ですか?―
問題ない
―お手間を取らせますが、よろしくお願いいたします―
明日は私は執務室にいるので使いをよこしてくれ
―承知いたしました―




