聴取記録:ルシェル・メイリール伯爵令嬢~3月23日 午後1時 王城内聴取室
フィール子爵令嬢に嫌がらせをしていたのは貴女ですね?―
わ、私は何か罪に問われるのでしょうか?
―学園内でのいざこざは教会の管轄ではありません。嫌がらせについての処分は学園側から言い渡されるでしょう。こちらの質問はあくまでも確認のため訊ねさせて頂いております―
…
―再度お尋ねします。フィール子爵令嬢に嫌がらせをしていたのは貴女ですね―
わたし、私だけではありません!!
確かに、私は、彼女の教科書を少し隠したけど
す、すぐ見つかるところに隠しただけで
そこまで酷いことはしてないでしょう?
アビゲイルのほうが、もっと酷いことをしてたわ
噴水に彼女の私物を沈めたのは、あの子よ!
―何故、フィール子爵令嬢に嫌がらせを?―
エレオノーラ様の為ですわ
平民のくせに王太子様や生徒会の皆様に色目を使ってお側に侍るなんてはしたない真似を許せるはずがございません
かよわい振りをして殿方の庇護欲をそそり誑かすなんて、さすが低俗な血を引く人間です
―お言葉を慎みなさい。フィール子爵令嬢はこの度『聖女』様に認定されることが決まっております。これ以上の侮辱は罪に問われますよ―
え?聖女さま?ほんとうに?
殿下達がそうおっしゃってはいたけど、あれって噓だったんじゃ
だって、だって、そんな…聖女さまって…
―貴女より格上のお家か、もしくは貴女と同等の血を引く令嬢ということですね―
そんな…だって…わたし、知らなくて…ほんとうに聖女さまだなんて
―バスティア侯爵令嬢の為と先ほど仰っていましたが、バスティア侯爵令嬢からは嫌がらせを止めるように諭されたのではありませんか?それでも貴女はフィール子爵令嬢への嫌がらせを止めなかった―
それは…
―バスティア侯爵令嬢の為でもあったのかもしれませんが、その実、自分が気に入らなかったからという気持ちもおありだったんでしょう?―
だって、エレオノーラ様があの子を諫めてくださらないから
―フィール子爵令嬢はバスティア侯爵令嬢に助けを求めておられたそうですよ―
え…?
助けを求めていた?
―はい。何度も何度もお断りをしているのに殿下が自分を側に置こうとするので他の方々に不快な思いをさせてしまって心苦しい。どうかバスティア侯爵令嬢のほうから殿下にやめる様に伝えていただけないかと―
エルモア様方の側にいるのは彼女の意思ではなかった…?
―ああ、貴女はビンセント・エルモア伯爵令息の婚約者でいらっしゃいましたか―
ええ、はい、そうです
―エルモア伯爵令息は殿下が望むからとフィール子爵令嬢を自分たちの側に置かれておられたようです。彼自身はフィール子爵令嬢の事は『とくに何とも思っていない』そうですよ―
え?彼女の事を好いてらっしゃるのでは?
―婚約者様とじっくりお話してみることをお勧めします。言葉に出さなければ伝わらないことはたくさんあります。ましてやあなた達はまだ未熟です、間違えることもございましょう―
わたし…フィール子爵令嬢には大変申し訳ないことを…
―謝罪は直接フィール子爵令嬢へ。学園寮にお戻りになられておりますから―
はい、ありがとうございます




