聴取記録:アリサ・フィール子爵令嬢~3月22日 午前9時 教会内応接間
―『聖女』判定お疲れさまでした。それはそれは美しい光でしたね―
わたくしは、本当に『聖女』なのですね…
―この先は先日の卒業式での騒動や学園で受けていらっしゃったという嫌がらせなどのお話をお伺いいたします―
はい、なんでもお答えいたします
―『聖女』様と認定された今、本当の事なのは判っておりますが形式上お聞きします。リノリー・ベルモンヌ子爵令息から貴女が『聖魔法』で彼の腕を『復活』させたと伺いましたが、本当ですか?―
アレを『復活』というのかは存じ上げませんが、ベルモンヌ様の腕のお怪我を治癒させていただきました。
―ああいった治癒はこれまでも?―
擦り傷とかそういった小さな怪我の治癒は幾度か行ったことはありますが、あれほど酷い怪我の治癒はあの時が初めてでございます
魔法をあまり使わない様に義祖父から言われておりますので
―聖魔法を使ったことをベルモンヌ子爵令息に口止めしたのは何故ですか?―
義祖父からこの力の事は誰にも言わない様にと言われておりましたので、知られてはいけない事なのだと考えたからです
―口止めしたのにもかかわらず殿下達から『聖女』と言われ、ましてや学園内に公表されて嘸かし驚いたことでしょう?―
驚きというより恐ろしいと感じました
上位貴族の方々は下位貴族とのお約束など簡単に破ってしまう
そして、それを悪いとも思わないのかと少し怖くなりました
―バスティア侯爵令嬢に助けをお求められたとか?―
本当は謝罪を申し上げようとお声をかけさせていただきました
助けて欲しいと烏滸がましいことを口にするつもりはなかったのですが、逆にエレオノーラ様がわたくしを気遣って下さり、心配して覗き込んでくださるお顔を拝見している内についうっかり本音が…
―ところでフィール子爵令嬢はどちらの孤児院の出身でいらっしゃいますか?―
すみません、子爵家に引き取られる前の事はあまり記憶がないのです
ただ、義祖父がコモンノルド公爵様のお屋敷を辞する際に私を王都から領地に連れて帰ってきたと義父から聞いたことがございます
恐らく、わたくしの出自等については義祖父が一番詳しいかと
―義理祖父様は確か、コモンノルド公爵家の元侍従長でしたか…―
そうです
義祖母が侍女長だったそうです
―お疲れでしょうから本日はこの辺にしておきましょう。『聖女』様ということが判明しましたので今後御身は教会預かりとなりますが、手続等に出自や戸籍等の調査が必要となりますので令嬢が預けられていた孤児院を見つけねばなりません。おじいさまのセバスティアン・フィール様に来ていただきお話を聞いてからになりますのでその間、学園の寮にお帰り頂く事も可能ですがいかがいたしますか?―
では一旦寮に戻らせていただきます
―では教会の馬車で学園の寮までお送りさせていただきますね。義理祖父様が教会に到着致しましたら、フィール子爵令嬢にも教会に来ていただくことになりますので、ご了承願います。―
お手数をおかけしますがよろしくお願いいたします




