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終わり良ければ全て良し。


「僕の…僕の体を返せ!!」


「黙ってろ!!」


 魔法を放っていたダーディムが大きな声で自分自身と言い合いをし始めた。


 何だ?

 何が起きてる。



「僕が動きを止めるっ!早く早く」


「黙れ雑魚がっ!!」


 勇者か…

 勇者の自我が戻ったのか。


「ウォォォォォォ!!デス・デイン!!」



 くっそ…

 魔法が邪魔だな。



「うぉぉぉぉぉぉ!!今だ!!早く」


 よし!

「ウォォォォォォ!!」

 スパンッ!!

 横一閃。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 バリンッ!

 首飾りの水晶が壊れた。



 どうだ?

 これで終わったか?

 気を抜くな。



「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ。」


「お前は誰だ?」


「ハァハァハァありがとう。僕は勇者だよ。ハァハァハァ」


「ふぅー。戻ったか?」


「ありがとう。元に戻れたよ。それにしても、貴方は国王軍の騎士ですか?それとも新たな親衛隊ですか?」


「ハハハ(笑)俺は貴方の後に召喚された勇者ですよ。」


「えっ!?そうなの?」


「えぇ。一応、貴方は魔人を作った大悪人となってますからね。その大悪人を倒す為に召喚された勇者ですよ?」


「そうか…それは悪かったね。ブレスレットを装着してから何処かに閉じ込められて、何とか自我が戻っては閉じ込められての繰り返しで…」


「そうですか…まぁ取り敢えず帰ります?」


「でも、僕も帰って良いのかな?」


「俺が口添えしますよ?だから大丈夫です。」


「ありがとう。なら、お世話になるよ。あっ待って……」


「どうしました?」


「呼んでる…」


「えっ!?」


「誰かが呼んでる。」


「誰も呼んでませんよ?」


「あのさ、異世界召喚をしていいかな?たぶんだけど、あの娘を召喚した時に巻き添えを受けたんじゃないかな?時空の狭間で誰かが呼んでるんだ。」


「ちなみに魔人ですか?」


「わからない。だけど、人だと思うよ?」


「なら、一応は警戒しておきますのでどうぞ。」


「なら、いくよ。【勇者召喚】!!」


 足元に大きな魔法陣が展開され女性の影が見えた。



 また、女の子?

 魔人じゃないよね?


 えっ!?

 まさか…


「ゆ…うじ?」


「夢っ!?」


「雄治なの?」


「うん。俺だよ。」


「やっと会えた!!雄治ー!!雄治!!」

 魔法陣から現れた女の子は雄治に駆け足で近付き勢いよくハグした。


「でも、何で夢が?」


「うわぁぁぁぁん。会いたかったよ~」


「僕もわからないけど、そっちの魔人の難しとも知り合いなんだよね?なら、たぶんダーディムが君の周りの人を召喚しようとしてたんじゃない?」


「そんな事が出切るんですか?」


「まぁ、僕は賢者だからね。」



 何それチートじゃん!!

 ズルくね?

 俺なんか無能なのに。

 マジでズルいわー。


「あっそうだ。あの魔人の娘はどうする?流石に一緒には帰れないと思うよ?出来る限りの事は譲歩するけど…」


「いえ、大丈夫です。アイツは元の世界で浮気してた…謂わば元カノなんで、あのままでお願いします。」


「わかった。なら、彼女はそのままにしとくけど、何か怖いから内側からは絶対に破れない結界を張るね。」


「えぇ、お願いします。」






「あっそう言えば自己紹介がまだでしたよね?俺は戸川 雄治と言います。彼女は黒川 夢です。幼馴染です。」


「よろしく。僕は早川 瑛太と言います。助けてくれてありがとう。本当に助かったよ。」


「ねぇ雄治ここは?」


「後で説明するよ。」


「ねぇっねぇっ雄治っ!!雄治っ!お願いっ!!聞いて。雄治っ!!お願い。お願いっ!!」


「うん。わかった。それと、あのうるさい真っ二つの人って雄治の元カノなの?」


「あぁ。俺達と同じでこの世界に召喚されたみたいだけど、魔人として召喚されたみたいなんだ。だからアイツは置いていくしかない。」


「だからか、下の口だけじゃくて上の口もうるさいのね!!」


「ッ!」


「ごめん、雄治…」


「知ってるの?」


「うん…雄治が帰って来ない、私の部屋にいるのかって雄治のお母さんが私の家にある日突然、来てね。」


「そっか…母さんも心配してくれてたんだ…」


「当たり前でしょ!!それに私だって心配して……毎日…毎日、駅前で雄治の写真のビラを配って雄治の行方を探してたんだからっ!!!」


「夢…」


「それに、拓也君もそうだよ。拓也君も一緒にビラを配ってくれたよ。」



「拓也もか…夢もみんな、ありがとう。NTRを知った翌日の朝にこっちの世界に勇者として召喚されたんだ。」



「そうだったんだ…でも、無事で良かったよ。こうやって雄治に会えたし。」



「心配かけてごめんね。」



「会えたから許す(笑)でも、雄治のご両親と拓也君には無事を伝えたいけど、元の世界には帰れるの?」



「どうなの賢者様?」



「う~ん。難しいかな?」



「そんな…」



「俺のせいで夢までこっちの世界に召喚される事になってごめんね。」



「横から失礼だけど、別に君のせいじゃないと思うよ。悪いのは全部アイツなんだから。」



「それでも、夢は俺の身近の人だから巻き込まれたんですよね?」



「あくまで僕の憶測だけどね。」



「雄治、気にしないで。私はどの世界でも雄治が居てくれるだけで満足だから。雄治が無事で本当に本当に良かったよ。」



「そろそろ帰らない?2人共、疲れてるでしょ?僕も疲れたし。」



「そうですね。帰ろっか?」



「うん♪」



「ごめんっ!!雄治!ごめんねっごめんねっ。お願い待って。雄治っ!!待ってお願いっ!聞いてよっ!!雄治、待って!!」



 3人は真っ二つになっている千夏を素通りした。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「雄治っ!待ってよっ!!お願い、話を聞いてっ」


 ポタ


 ポタ


 雄治…


 行かないで……


 私を置いて行かないで……


 ポタポタ



 ポタポタ


 わかってる。私がクズで馬鹿でゴミなのは。

 でも、会えたらもう一度……

 欲が出てきちゃった…



 雄治…

 ごめんなさい。




 私の事、魔人って言ってたよね?

 …


 …


 雄治も、あの娘も変わらない。

 でも、私は…私だけは……

 きっと化け物みたいな見た目なんだろうな…





 私は一生ここで1人で生きて…

 わかってる。

 頭では理解出来るけど、心が追い付かないよ…


 誰も助けてくれない…

 誰も見向きもしない。


 雄治…

 本当にごめんなさい。







 浮気や不倫の終着駅は何処だろう?

 不倫なら慰謝料による制裁か?

 それとも、表面上で過ちを許し復縁か?



 どれも違う。



 答えはこの女みたいに一生孤独に、2度と手に入らない過去の柔らかい温かさを思い浮かべながら過ごす事なのではないだろうか?



 自分から裏切り股を開いた女は幸せになってはいけないのか?

 答えは…はい。絶対になるな。



 一生、虫けらの様に惨めにドブ水も飲み道端に落ちてる何かの糞でも食ってればいいのだ。



 男に体を許す事を経験の一部と唱える人もいる。

 社会に多様性が求められる中で浮気や不倫さえも経験として主張する人も居る。

 社会では男女平等社会を躍進しており、男の浮気も女の浮気も一緒だと主張する人々が居る。



 確かに最愛のパートナーを裏切り、心を殺すという行為は同じ。全て同じ。

 そこに、男も女も無い。



 だが、女性は子供を身籠る可能性がある。

 そこが、大きく違うのだ。



 最終的に浮気や不倫した女はこの女の様にお決まりのセリフ口から詐欺師の如く饒舌に述べ、お決まりの中絶という行為をするのだ。



 なら、中絶せずに産めば良いのだ。

 やる事やらない限り子供は授からない。

 なぜ授かったのか?

 やったからだ。



 一時的な快楽とは言え、好きになったのだろ?愛したのだろ?なら、その男のDNAを後世に残せ。

 元鞘にすがるな。

 元鞘に赦しを問うな。



 赦しを懇願して良いのは淑女のみだ。

 この女は淑女なのだろうか?

 否。

 只の売女。

 只の遊女。



 お前が快楽に溺れただけ。

 お前の男を見る目がなかっただけ。

 ただそれだけの事。



 笑顔を見せるな。

 喜ぶな。

 下を向き、2度と顔を上げるな。



 輪廻転生で次の人生など、この女には無い。

 魔人として召喚された彼女は傷を再生できる能力も当然ながら持ち合わせている。

 だが、雄治の氣を纏った刀で斬られた以上、胴体の再生は不可能。

 額の魔石を壊せば死ねる。

 だが、それを1人孤独に居る事になった彼女が知るすべは無い。

 寝て、雄治との幸せな夢を見ても覚めれば、当然雄治は居ない。触れる事も出来ない。



 彼女の姿こそ真のざまぁなのかもしれない。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「雄治殿っ!!」

「雄治殿!」


「雄治殿!」

「雄治っ!!」

「勇者殿!」


「雄治様!」

「雄治様っ!!」

「雄治様!」


 雄治の帰還に国王、ハデル、親衛隊、聖女達が歓喜したが…

「待てっ!!そなたはダーディム!!」


「あっ国王様待ってください!この人はデモンに操られていただけなんです。だから、ダーディムではありません!!」


「何っ!デモンじゃと…」


「えぇ、今回の敵はデモン・ガドリックです。そして瑛太さんは召喚されてから魔法学院校長のセブルスに奴が封印された結晶を装飾したブレスレットを装着されダーディムになったんです。」


「本当か…?」


「えぇ、本当です。ご迷惑お掛けしました。」


「まぁ雄治殿が言うてるからのう…取り敢えずそなたの話は後で聞こう。それでそちらのお嬢さんは?」


「彼女は私の幼馴染で黒川夢と言います。」


「よろしくお願いします。」


「…うむ。色々と整理が出来んが……ハデルよどうするか?」


「え~と。先代勇者の瑛太殿から詳しい話を聞いて処分を検討するのがよろしいかと…」


「あの~。難しいかもですけど、なるべく瑛太さんの処分を軽くして貰えると助かります。彼も被害者ではありますので…」


「うむ。雄治殿の頼みだが……」


「国王様、我々親衛隊も彼と戦闘した際に何かに抗ってる様子を覚えております。恐らく雄治殿が言ってる事は正しいかと…」


「そうか…」


「それより、国王様。雄治殿にただいまとお疲れ様を伝えませんか?」


「そうだな。ダーディムの事で頭がいっぱいいっぱいになっておった。すまぬ雄治殿。そして、無事に帰って来てくれてありがとう。デモンを倒してくれてありがとう。」


「こちらこそ、色々とありがとうございます。ここまで何とか頑張れたのも皆さんのお陰です。ありがとうございました。」


「本当にそなたは強く偉大な男じゃな。」






 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「雄治殿、夢殿おめでとう。」



「はい。ありがとうございます。」

「はい。」



 ダーディムとの戦いから1年の時が過ぎた今日、王都はいつになく騒がしい。街の至る所でお祭り気分な人に催しが開かれていた。



 この世界を救った英雄戸川 雄治の結婚式が行われようとしていた。



「なぁ、夢。」


「な~に雄治?」


「本当に俺で良かったの?」


「うん。雄治がずっとずっと好きだったから。」


「そっか。」


「ただ、この姿を両親に見せられないのが少し心残りかな?」


「…」


「そんな、顔しないで。それでも、私はここに来れて幸せなんだから。2人で幸せになろうね♪」


「うん♪」

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