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私事について  作者: 賽
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⑨バイトリーダー(自称)

・アルバイトについて ⑨バイトリーダー(自称)


 私は1年契約のアルバイトで、基本的に1人で担当の仕事をしているのだけれど、1人だと繁忙期は手が足りなくなってしまうため、その時期だけ短期のアルバイトの方が雇われることになる。

 人数が増えると、1人当たりの仕事量は確実に減るので、肉体的には間違いなく助かる。ただ、短期の方と馬が合わなかった場合(私はこんな性格だし)、精神にはかなり負荷がかかる。


――――――――

 

・バックラーではない

 シフト表によると、その日から短期アルバイトの方が出勤することになっていた。

 私は上手くやれるか心配だったけれど、既に仕事が1人では処理しきれない感じになってきていたので、不安なのと同じくらい期待していた。

 けれど、始業時間を過ぎてもその方は現れなかった。


(……初めてだし、結構分かりにくい場所だから、迷っているのかもしれない)そう考えた。けれど、しばらくしても来る気配がなかった。(まあ実際、気配を感じ取れるはずもないのですが)そのわりに社員の人たちは、何事もなかったかのように普段通り淡々と仕事をこなしていた。


 私はさすがに気になって聞いてみた。すると、この間から何度か電話したけれど全てつながらなかった。おそらくもう来ることはないだろう。と言われた。


(なるほど……。皆はそれ知ってたから落ち着いていたわけか。シフト表も今の時点では直すか、微妙なところだったのか。他の人に影響がないなら、わざわざ印刷し直さなくてもいいか、といった感じだろうか)


 でも、なんというか、私にも早めに教えておいてもらえるとありがたいんだけれども。まあ、心の準備ができるか否か、の違いでしかないか。

 

 私は仕事に戻り、作業しながらこう考えた。


(いや、それだったら、時給2倍にしてよ)そんな単純な話ではないですが。


 この場合ってバックラーにはならないんだろうか。バックラーは最低1度は出社しないといけないんだろうか。


#


 社員の方の様子を見ていると、やはりこういったことには慣れているようだった。よくあることなのかもしれない。1人来なくなったところで、困るのは主にアイツだしな、という感じかもしれない。そんなに怒っているふうでもなかったので、辞退する旨を伝えれば、それ以上恨み言や嫌味を言われるってことはないんじゃないかなと思いました。最近だと、録音データから炎上するなんてこともあるかもしれないですし。ただ、実際どういった理由で連絡がつかなくなったかは分からないのですが。


――――――――


・合う、合わない

 上記からわかるように、社員の方とは基本的に仕事で必要なことしか話さないので、繁忙期を除いた期間は、なんというか人間らしい会話がほとんどなくて辛い。(業者の方とは少し話します)

 けれど短期のアルバイトの方がいる間は、普通に会話ができる。会話する余裕がある。話ができると、気持ちがすごく楽になる。会話がないと息が詰まっているような感じがする。


 ただ、ご存知の通り、私はコミュニケーション能力が低く、精神も弱い人間なので、合わない方と一緒に仕事をすると結構つらい。これは相手がいい人、悪い人とかいうはなしではなくて、ただ合わないだけなのだ。私がもっとできた人間なら、楽しく仕事ができるのだと思う。


 そもそも「楽しく」というのは欲張りかもしれない。『仕事量 / 人』(一人当たりの仕事量)は確実に減っている。であれば、それで十分なはずだ。


 精神的には辛い時は、現実的なメリットに意識を向けるようにしていた。

 製品の確認も、1人だとうんざりする量でも、2人だと半分になるし、出庫・入庫の作業も1人だと走り回らないといけないけれど、2人ならそれぞれの場所に待機していればいい。走り回るのは疲れるし、トラックや商用バンの間を縫って行かないといけないので急いでいると危ない。

 十分に助けてもらっているのだ。

 

 苦手な人が居るから仕事に行きたくない、とかそういう、他人に振り回されるのからは卒業しないといけないと思っているんですが、難しいですね。


――――――――


・もらっていないものを与える

 私が入りたての時、誰も懇切丁寧に仕事を教えようとはしてくれなかった。陰口みたいになるので詳しく書くのは止めておこうと思う。


 私は自分でマニュアルみたいなものを作って、覚えようと努力していたけれど、職場の人たちがフレンドリーでアットホーム(?)な感じだったら、そこまで必死にやらなかったと思う。


 短期のアルバイトの方でもメモを取らない方もいらした。もちろんメモを取っておいた方が確実でそちらの方がいいのは間違いないのだけれど。その方は分からないことがあったら、私に質問して、私はそれに答える。それで何も問題はない。短期のアルバイトだし、それで十分だと思う。私自身、「分からないことがあったら何回でも聞いてもらっていいので」とよく言っていた。こう言うのは、私も同じように言って欲しかったからかもしれない。


 私は短期のアルバイトの方が来られたら、親切に丁寧に仕事を教えようと決めていた。私のように居心地の悪い思いをしてほしくなかったからだ。

 たまに、私の時は誰もフォローしてくれなかったんだよなあ、なんか自分ばかり損している気がするなあ、とか変なことを考えたりもしたけれど、自分がしてもらえなかったからと言って、だから自分も他人にしてあげないというのは、なんか間違っているはずだ。もらっていないものを与える、というのは私にしては珍しく正しいことをしているはずだ。


 でも、ずっと善人ぶるというのは、疲れるときもあった。質問攻めにあったり、教えてもお礼を言われなかったりすると、嫌になったりもした。(所詮この程度の人間です)


――――――――


・加重平均


 いろんな人との出会いと別れがあるけれど、いい人との出会いの価値を重くして、それ以外の価値を軽くしたら、いい人生だったと思えたりするでしょうか。


(終)

読んでくださってありがとうございました。

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