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第49話 流れ星


言葉は。


約束を残す。


でも。


心は。


未来を残す。



府内城。


夜。


虫の音だけが静かに響いていた。


レオンは。


城門の前に立っていた。


身体はまだ完全ではない。


胸の痛みも残っている。


それでも。


歩ける。


それだけで十分だった。


宗麟。


鑑連。


アルメイダ。


整命部隊。


皆が静かに見送っていた。


誰も。


引き止めない。


---


ハリーが一歩前へ出る。


「もう。」


「無理はしないでください。」


レオンは静かに頷く。


それだけだった。


礼も。


誓いも。


約束もない。


しばらく見つめ合う。


そして。


レオンは背を向けた。


夜道へと歩き始める。


---


宗麟が小さく息を吐く。


「先生。」


「本当に良かったのか。」


「敵を。」


「帰して。」


ハリーは夜空を見上げた。


「分かりません。」


宗麟は驚く。


「分からぬのか。」


「はい。」


「人の心は。」


「誰にも分かりません。」


風が吹く。


木々が静かに揺れる。


「だから。」


「信じるしかないんです。」


宗麟は黙っていた。


ハリーは続ける。


「言葉で約束することも。」


「もちろん大切です。」


「でも。」


「もっと大切なものがあります。」


宗麟が静かに尋ねる。


「何だ。」


ハリーは微笑んだ。


「心です。」


「心が繋がれば。」


「言葉はいりません。」


「もし。」


「彼の心に。」


「整える未来が残っているなら。」


「いつか。」


「自分で答えを見つけます。」


宗麟は何も言わなかった。


ただ。


その言葉を胸に刻んだ。


---


一方。


レオンは山道を歩いていた。


静かな夜。


冷たい風。


見上げれば。


満天の星空。


足を止める。


夢を思い出す。


草原。


笑顔。


子どもたち。


戦のない未来。


そして。


ハリーの笑顔。


『一緒に整えよう。』


その時だった。


一筋の光が。


夜空を横切る。


流れ星。


レオンは願わなかった。


祈らなかった。


ただ。


静かに目を閉じる。


そして。


胸に手を当てた。


「……あれは。」


「夢じゃない。」


「未来だ。」


ゆっくりと目を開く。


「黄金の天秤。」


「俺が止める。」


誰にも聞こえない。


誰にも告げない。


その決意だけが。


胸の奥で静かに燃え始めた。


流れ星は。


もう消えていた。


だが。


レオンの中に灯った光は。


決して消えることはなかった。


---


その夜。


府内城でも。


ハリーは同じ夜空を見上げていた。


流れ星は。


もう見えない。


それでも。


小さく微笑む。


「……信じています。」


誰に向けた言葉でもない。


夜風だけが。


静かに答えていた。



約束は。


言葉で交わすもの。


信頼は。


心で育てるもの。

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