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第48話 生かされた理由


命は。


救われた瞬間ではない。


生かされた理由を知った時。


新しい人生が始まる。



府内城。


朝日が静かに障子を照らしていた。


一人の男が。


ゆっくりと瞼を開く。


「……。」


ぼやけた天井。


重い身体。


胸に残る鈍い痛み。


「目を覚ましたか。」


聞き覚えのある声だった。


アルメイダである。


レオンは小さく息を吐く。


「……私は。」


「生きているのか。」


アルメイダは微笑んだ。


「残念ながらな。」


その一言に。


部屋の空気が少しだけ和らいだ。


---


襖が開く。


宗麟が入ってくる。


レオンは慌てて起き上がろうとした。


「動くな。」


宗麟が静かに制した。


「まだ毒が抜け切っておらぬ。」


レオンは唇を噛む。


「私は……敵です。」


宗麟は少しだけ笑った。


「そうだな。」


「だから何だ。」


その一言に。


レオンは言葉を失った。


---


再び襖が開く。


ハリーだった。


顔色は悪い。


目の下には深い隈。


歩く足取りも重い。


宗麟が苦笑する。


「先生は。」


「三日三晩。」


「ほとんど眠っておらぬ。」


レオンは驚いた。


「……私のために。」


ハリーは肩をすくめる。


「目の前に。」


「苦しんでいる人がいただけですよ。」


「敵とか。」


「味方とか。」


「そんなことを考えている余裕はありませんでした。」


静かな声だった。


だが。


その言葉は。


レオンの胸に深く突き刺さった。


---


ハリーは脈を診る。


「うん。」


「もう大丈夫そうですね。」


レオンは静かに尋ねる。


「なぜ。」


「私を救ったのですか。」


ハリーは少し考え。


優しく笑った。


「あなたが。」


「生きたいと。」


「身体が諦めていなかったからです。」


「私は。」


「その力を信じただけです。」


レオンは黙っていた。


返す言葉が見つからない。


---


その夜。


眠りについたレオンは。


もう一度。


あの夢を思い出していた。


青い空。


風が揺れる草原。


笑い合う子どもたち。


戦のない村。


傷を癒やす整命部隊。


そして。


ハリーの声。


『一緒に整えよう。』


夢ではない。


あれは。


未来だったのかもしれない。


レオンは。


静かに拳を握る。


「違う……。」


「黄金の天秤は。」


「あの未来を壊す。」


長い沈黙。


やがて。


レオンは。


初めて。


誰の命令でもなく。


自分の意思で呟いた。


「俺が……止める。」


朝日が。


静かに部屋を照らしていた。


新しい一日が。


始まろうとしていた。


人は。


命を救われた時よりも。


生きる理由を見つけた時。


本当に生まれ変わる。

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