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第26話 整命部隊始動

強い兵を集めるより。

弱った兵を立ち上がらせる方が難しい。

だが。

そこに本当の力が眠っている。

府内城。

 宗信の家族救出から数日。

 城内には少しずつ活気が戻っていた。

 宗麟も。

 鑑連も。

 以前より表情が柔らかい。

 だが。

 問題は山積みだった。

 兵糧不足。

 兵の疲労。

 慢性的な人材不足。

 島津軍との差は依然大きい。

「どうする」

 宗麟が静かに言った。

「兵は足りぬ」

「金も足りぬ」

「時間も足りぬ」

 重い空気が流れる。

 その時。

 ハリーが手を挙げた。

「人はいます」

 全員が見る。

「どこにいる」

 鑑連が聞く。

 ハリーは笑った。

「見えてないだけです」

 広間が静まる。

「見えてない?」

「はい」

 翌日。

 大友軍の兵たちが集められた。

 足軽。

 炊事係。

 馬番。

 荷運び。

 負傷兵。

 老人。

 若者。

 普段なら注目されない者ばかり。

 鑑連は腕を組む。

「何が始まる」

「選抜です」

 ハリーは一人ずつ見ていく。

 歩き方。

 呼吸。

 目線。

 姿勢。

 返事の仕方。

 人との接し方。

 すべて。

「あなた」

 炊事係の男を指差す。

「はい!?」

「部隊長候補です」

 周囲が吹き出す。

「飯炊きだぞ?」

「部隊長?」

 だが。

 ハリーは真剣だった。

「この人は全員の顔を見ている」

「気配りができる」

「指示が正確」

「人がついてくる」

 男は言葉を失った。

 今まで。

 一度も褒められたことがなかった。

 次。

 馬番の老人。

「あなたは補給隊」

「え?」

「道を知っている」

「馬を知っている」

「人より地形を見ている」

 老人が驚く。

「なぜ分かる」

「歩き方です」

 ハリーは笑った。

 宗麟は黙って見ていた。

 不思議だった。

 武勇を見ていない。

 家柄も見ていない。

 だが。

 人材が浮かび上がっていく。

 まるで。

 地中に埋まった宝を掘り当てるように。

 その日の夕方。

 清太がやって来た。

「先生」

「俺も入れますか」

 ハリーは笑った。

「もちろんです」

「将になる男ですから」

 清太の顔が真っ赤になる。

 だが。

 少し嬉しそうだった。

 その頃。

 島津陣営。

 レオンは報告書を読んでいた。

「大友軍が妙なことを始めました」

 部下が言う。

「妙?」

「炊事係や馬番を集めています」

 レオンが眉をひそめる。

「何の意味がある」

 部下も首を傾げる。

「分かりません」

 だが。

 レオンは直感した。

 まただ。

 またハリーだ。

「……気を付けろ」

 小さく呟く。

「見えていない場所で」

「何かが動いている」

今回、

整命部隊が始動しました。

ハリーは強い人を探していません。

埋もれている人を探しています。

炊事係。

馬番。

荷運び。

老人。

若者。

誰の中にも役割があります。

次回、

第27話「眠れる獅子たち」

整命部隊の訓練が始まります。

そしてハリー流の呼吸法、 疲労回復法、 脂肪をエネルギーへ変える整え術が兵たちへ伝わっていきます

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