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俺×恋=0になります。  作者: 光黒猫
第一章 俺×春=新しい出会いが待っています。〜新生活編〜
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24話 俺×救出=一件落着です。

上高が標的だと知ってから数日は、千堂立ちの動きをとにかくマークした。


生徒会の仕事をしつつ、時間があれば教室に寄って上高の近くにいる。それだけでも少しは緩和されているような気がした。


そして上高には隙があれば、積極的に話しかけていた。


「上高さん、何か困ってることない?」


「え、なにもないよ。楽々浦くんこそ、生徒会忙しいのに私になんか話しかけるの時間がもったいないよ」


本人のネガティブな心はこちらにも伝わるぐらい、深く落ちきっていた。

そんな彼女を放って置けるわけもなく、どんなに避けられようが話しかけた。


「生徒会なんて気にしないでいいからさ、何か困ってることあったらなんでも相談してよ」


「……う、うん、ありがとう」


そうして話しかけていくうちに、上高も会話に反応してくれるようになった。

そして、千堂の名前は直接でないものの、クラスで嫌がらせを受けていることを本人から聞けた。


「私、よくモノを無くしちゃうんだよね……自分のせいでもあるけど、誰かにやられてるような」


「そうか……そしたら、俺も一緒に探すよ!」


「……え、でも悪いよ」


「気にしないでって!俺だってやりたくてやってるし」


上高は顔を俯かせながら、「ありがとう」と小声で感謝する。確実に距離は近づいていた感覚があった。


白ヶ崎にも協力してもらい、真守がそばにいられない時は上高が1人にならないようにサポートもしてもらった。

隣に誰かいるだけでも千堂たちの動きがなくなると同時に、そこへ追い打ちをかけるように真守の生徒会という立場を利用した立ち回りで完全にいじめを鎮圧しつつあった。


だが、そんなことは長くは続かない。

面白くないと思う千堂たちは、もっと陰湿ないじめをするようになり、真守や白ヶ崎が見えないところで嫌がらせをするようになった。


上高の顔は晴れることはなく、だんだんと暗くなっていくような感じが目に見えてきた。

そんな上高を完全に追い込もうと、とうとう、千堂たちが真守の見えるところで嫌がらせを実行した。


その日の昼休み。

相変わらず真守は上高町子の様子を見るために、B組の教室の近くをうろうろしていた。


白ヶ崎には「危ないことしないでよね」と言われたけど、放っておくわけにもいかない。


教室の前を通りかかった瞬間、中から聞き慣れない笑い声が聞こえた。


「ねぇ、上高ちゃん。今日も机の中にゴミ詰めといたよ〜」


「ほんと可愛い反応するよね、あの子」


真守は足を止めた。

教室の後ろの方で、上高が自分の机の前に立たされていた。


周りを千堂を含む女子3人が囲んでいる。上高は俯いたまま、肩を小さく震わせていた。机の中から取り出されたのは、くしゃくしゃになったプリントと、食べかけのお菓子の袋、そして大量の紙くず。


「これ……全部私の机に……?」


上高の声は小さくて、ほとんど聞こえない。


千堂がわざと大きな声で笑った。


「だって上高ちゃん、空気読めないからさ。いるだけでイライラするんだよね〜」


真守は現行犯で千堂たちを追い詰めようとする。


「おい、ちょっと待てよ」


声が自然と大きくなり、女子たちが一斉に振り返る。真守は上高の前に立ち、千堂たちを睨みつけた。


「いじめはもうやめろ。こんなことして何が楽しいんだ?」


千堂が鼻で笑う。


「は? 楽々浦君、生徒会パワーで偉くなったつもり?」


「偉くなったとかじゃねえ。ただ、間違ってることは間違ってるって言ってるだけだ」


真守は上高の腕を軽く引いて、女子たちの輪から離した。


「大丈夫か、上高さん?」


上高はびっくりしたような顔で真守を見上げ、小さく頷いた。


「……ありがとう、楽々浦くん」


その声はか細くて、でも確かに「助かった」という気持ちが込められていた。


真守は周りの女子たちに向かって、もう一度はっきりと言った。


「これ以上、上高さんに近づくな。次に何かあったら、ちゃんと生徒会に報告するからな」


千堂たちは舌打ちをしながらも、その場を離れていった。教室に静けさが戻る。


真守は胸を撫で下ろした。


(よし……これでひとまずは大丈夫だな)


上高はまだ震えていた手をぎゅっと握りしめて、真守に頭を下げた。


「本当に……ありがとう。助かったよ」


「気にしないで。次、また何かあったらすぐに俺に言ってね」


真守はそう言って、軽く笑ってみせた。上高は小さく微笑み、席に戻っていった。


真守は教室を出ながら、心の中で呟いた。


(生徒会の名前を出して脅した。これで少しはマシになるはず……)


教室はいつもの昼休みの喧騒に戻っていった。


その頃——


教室の少し離れた場所で、白ヶ崎は一人、窓際で真守を見つめていた。


(ばか……本当に危ないことしないでよね)


真守がB組の教室に入っていくのを、遠くから見ていた白ヶ崎は、胸の奥がざわつくのを感じていた。部屋で「協力する」と言った手前、何もできないと感じる自分がもどかしい。


「……真守くん、絶対に無茶しないで」


小さく呟いた声は、誰にも聞こえなかった。


真守はそんな白ヶ崎の気持ちなど知らず、軽く息を吐いた。


(よし……これで一件落着だな)

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